2025-04-23 コメント投稿する ▼
那覇市が障がい者グループホーム2施設の指定取り消し 給付金不正請求で福祉信頼揺らぐ
那覇市、障がい者グループホームの指定取り消し 給付金不正請求が発覚
那覇市は4月4日、北谷町のコンサルタント会社「奏ホールディングス」の関連会社である「奏コンサルティング」が運営する障がい者グループホーム(GH)2施設に対し、福祉サービス事業者の指定を取り消す処分を行った。取り消し日は6月30日とし、利用者の転居先確保のための調整期間を設けている。
不正請求の詳細と監査結果
那覇市の監査によると、奏コンサルティングが運営する「奏・GHナハ前島」(定員6人)と「奏・GHナハ樋川」(定員20人)では、以下の不正が確認された。
- 世話人の配置が人員基準を満たしていないにもかかわらず、減算せずに給付費を請求。
- 夜間支援等体制加算について、実際は1人しか配置していないにもかかわらず、複数名を配置していると虚偽の申請を行い、過度な給付請求を実施。
- 医療連携体制加算についても、要件を満たしていないにもかかわらず、加算の請求を行った。
- 指定申請時に、勤務見込みのない従業者を配置するとして虚偽の申請を行った。
- 監査に対し、関連書類の提出を拒否し、代表取締役が質問に詳細に答えないなど、不誠実な対応を取った。
市は、これらの不正に対し、障害者総合支援法第50条に基づき、指定取り消しの処分を決定した。
利用者への影響と今後の対応
指定取り消しにより、両施設の利用者計26人は、新たな入居先を探す必要がある。那覇市障がい福祉課は、奏コンサルティングに対し、利用者の転居先確保を責任を持って行うよう指導している。ただし、精神障がいや知的障がいを持つ人々を対象とするGHは空きが少なく、転居先の確保が喫緊の課題となっている。
県内で相次ぐ不正請求と行政処分
奏ホールディングスが関与するGHの不正請求問題は、那覇市内の2施設にとどまらない。沖縄県は、うるま市に事業所を持つ「アゴラ」(東京都)が運営するGHにおいても、不正請求が確認されたとして、7月31日付で福祉サービス事業者の指定を取り消すと発表した。アゴラは、実際は1人しかいない夜間支援員を7人としていたなどの不正が発覚しており、県は不正に得た給付額の1.4倍の返還を命じている。
- 那覇市は、奏コンサルティングが運営するGH2施設の福祉サービス事業者指定を6月30日付で取り消すと発表。
- 不正内容には、世話人や夜間支援員の配置に関する虚偽申請、加算要件を満たさないにもかかわらずの給付請求、監査への不誠実な対応などが含まれる。
- 利用者計26人の転居先確保が急務であり、市は事業者に対し責任を持って対応するよう指導。
- 同様の不正請求問題は県内他地域でも発覚しており、うるま市のアゴラ社に対しても指定取り消しと返還命令が出されている。