杉並区が保育園270施設に電気錠を設置 1億2千万円で園児抜け出し対策

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杉並区が保育園270施設に電気錠を設置 1億2千万円で園児抜け出し対策

東京都杉並区は2026年5月14日、岸本聡子区長が区内の保育施設約270か所を対象に電気錠の設置など園児の抜け出し防止対策を行うと発表しました。2025年5月以降、区内3つの保育施設で園児が敷地外に出る事案が相次いで発生したことへの対応で、対策費1億2142万8000円を2026年度一般会計補正予算案に計上し、2026年5月22日から始まる区議会定例会に提出します。区立施設には電気錠を直接設置し、私立などには100万円を上限に補助を行います。保育士不足が続く中、設備面の整備で子どもたちの安全を守る取り組みとして、他の自治体への波及も注目されます。

区内3園で相次いだ抜け出し事案 1億2千万円超の対策予算を計上


東京都杉並区の岸本聡子区長は2026年5月14日の定例記者会見で、区内の保育施設における園児の抜け出し対策として、計約270施設に電気錠などを設置する方針を明らかにしました。

区によると、2025年5月以降、区内3つの保育施設で、預かり中の園児が職員が目を離している間に敷地外に出てしまい、近隣の住民によって発見・保護されるという事案が相次いで発生しました。

岸本区長は記者会見で一連の事案の発生について「重く受け止めている」と述べ、電気錠の設置を含めた対策を速やかに進めていく方針を示しました。対策費として1億2142万8000円を2026年度の一般会計補正予算案に計上し、2026年5月22日から始まる区議会定例会に提出します。

子どもが保育園の外に出てしまったと知って、ぞっとしました。どの施設でも起きうることで、早急な対策が必要だと思います

区内では以前から、地域の議員が園児の安全管理問題に警鐘を鳴らしていた経緯があり、今回の補正予算計上はそうした声も反映した形となっています。

電気錠・カメラ・パーティション 270施設に整備を展開


今回の対策は大きく2つの枠組みで実施されます。まず区立保育園22園と区立子供園4園などの区立施設については、施設の主要な門扉に自動施錠機能付きの電気錠を直接設置します。子どもが手でレバーを回すだけでは開かない仕組みにすることで、職員が目を離した一瞬の「すき間」をなくすことが目的です。

一方、私立保育園など計242施設については、電気錠、パーティション(仕切り)、見守りカメラの設置など、抜け出し対策にかかった費用を施設ごとに最大100万円を上限として補助します。施設の構造や状況に合わせて、各園が適切な対策を選択できるようにする仕組みです。

保育園の入口にカメラや電気錠があれば、少しは安心して子どもを預けられます。ハード面の整備はずっと求めていたことです

このほか、安全管理に関するアドバイザーの派遣や、保育職員への研修も実施する予定です。設備を整えるだけでなく、職員の危機管理意識と対応スキルを高めることで、ソフト面からも安全を強化します。

保育士不足が背景に 人的対応だけでは限界がある現実


園児の抜け出し事案は、杉並区だけの問題ではありません。全国の保育現場でも断続的に発生しており、那覇市内の公立こども園では2024年5月、3歳の園児が門扉の鍵を自ら開けて外に出て、近くの歩道で保護されました。東京都武蔵野市でも2025年9月、園児が門の針金を外して隙間をすり抜けて外に出る事案がありました。

こうした問題の背景には、保育現場の深刻な人手不足があります。少ない職員で多くの園児を見守る中では、別の子どもへの対応中に一瞬目を離した隙に事案が起きるケースが多く、人的な見守りだけでは限界があるという現実が保育現場に広く共有されています。

保育士が一人で何人もの子どもを見ている場面があります。もっと人を増やすことも大事ですが、設備が整うだけでも現場の負担はずいぶん変わります

特に幼児は、大人の行動をよく観察しており、一度見ただけで鍵の開け方を覚えてしまうことも多いとされています。従来の物理的な鍵では、子どもが自分で開けてしまうことを完全には防げません。電気錠は子どもが簡単には操作できない仕組みになっており、門扉のセキュリティを大幅に高める効果が期待されています。

サムターン式の鍵は小さい子でも開けられてしまいます。電気錠や暗証番号式にするだけで、ずいぶんリスクが下がると現場では感じています

子どもの命を守る整備 他の自治体への波及にも期待


広島市では以前、保育中に保育施設から抜け出した園児が近くの川で亡くなるという痛ましい事故が起きています。万が一、車道や水辺に近い場所に出てしまえば重大事故につながりかねず、「未然に防ぐ」体制の整備は子どもの命に直結する問題です。

杉並区が今回区立施設への直接設置と私立施設への補助を組み合わせた包括的な対策を講じたことは、全国の自治体に先行事例として参考にされる可能性があります。保育施設の安全対策を補助金の形で支援する仕組みは、中小規模の私立施設にとっても設備投資の障壁を下げる効果が見込まれます。

今後の課題は、設備整備と並行して保育職員の配置基準の改善や処遇向上を通じた人材確保を進めることです。ハードとソフトの両輪で取り組まなければ、子どもの安全を長期的に守ることはできません。2026年5月22日から始まる区議会定例会での予算案の審議を経て、早期に対策が実施に移されることが望まれます。

設備も大事ですが、保育士の人数も増やしてほしい。設備だけでなく、働く環境の改善も一緒に進めてほしいと思います

まとめ


  • 東京都杉並区は2026年5月14日、区内の保育施設約270か所を対象に電気錠などの抜け出し防止対策を行うと発表した。
  • 2025年5月以降、区内3つの保育施設で園児が敷地外に出て近隣住民に保護される事案が相次いだことが背景にある。
  • 対策費1億2142万8000円を2026年度一般会計補正予算案に計上し、2026年5月22日からの区議会定例会に提出する。
  • 区立保育園22園・区立子供園4園等には自動施錠機能付き電気錠を直接設置。私立保育園など242施設には電気錠・カメラ・パーティションの設置費用を100万円を上限に補助する。
  • 安全管理アドバイザーの派遣と職員研修も実施し、ソフト面でも安全意識を高める。
  • 園児の抜け出し問題は全国の保育現場共通の課題であり、保育士不足の解消と設備整備の両面からの対策が求められている。

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2026-05-15 10:18:52(植村)

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