2026-06-09 コメント投稿する ▼
予備自衛官兼業特例法案が参院委で可決 山添拓議員が「立法事実なし・軍事優先の公務侵食」と批判
「予備自衛官等兼業特例法案」が2026年6月9日の参院外交防衛委員会で6党の賛成多数で可決されました。日本共産党の山添拓参院議員は反対討論で「軍事優先の論理を公務の現場に公然と持ち込むもので許されない」と強調しました。質疑では、法案の根拠となる「許可が得られなかったケース」を防衛省が把握していないことが判明し、法文に書かれていない「調整」を制度の根拠とする矛盾も露呈しました。
軍事優先の論理を公務の現場に持ち込む法案 6党賛成で委員会可決
国家・地方公務員の職務専念義務の免除と兼業の許可に特例を設け、予備自衛官等への任用を拡大する「予備自衛官等兼業特例法案」が2026年6月9日の参院外交防衛委員会で、自民党(自民)、日本維新の会(維新)、立憲民主党(立民)、公明党、国民民主党、参政党の賛成多数で可決されました。日本共産党(共産党)と社会民主党は反対しました。
共産党の山添拓参院議員は反対討論で「軍事優先の論理を公務の現場に公然と持ち込むもので許されない」と強調しました。法案は2026年4月3日に閣議決定され、2026年5月19日には衆院本会議を与野党の賛成多数で通過していました。
予備自衛官とは、普段は一般市民として生活しながら、有事・訓練の際に招集されて後方支援や災害援助などにあたる非常勤の自衛官です。現行制度では、公務員が予備自衛官を兼業するには、任用時と招集ごとの2段階で任命権者の許可が必要です。法案はこれを任用時の「承認」1回にまとめることで、招集のたびに上司の許可を得ることを不要にするものです。
防衛省によると予備自衛官の充足率は定員に対して約7割、即応予備自衛官は約5割と、人材不足が深刻な状況が続いています。政府はこの充足率向上を名目に法案を提出しましたが、その必要性を示す根拠が問われることになりました。
「立法事実がない」 山添氏が政府の矛盾を追及
山添氏は質疑で、法案の本質を鋭く突きました。法律をつくるには「現行法では不都合が生じているという事実(立法事実)」が必要です。山添氏は、国家・地方公務員である予備自衛官が招集命令に応じるにあたり上司の許可を得られなかったケースは何件あるのかとただしました。
しかし防衛省の広瀬律子人事教育局長は「防衛省として把握していない」と答弁しました。山添氏は「許可を不要とする法案なのに許可が得られなかった例が分からないというのは立法事実がない」と批判しました。法改正の必要性を示す根拠が示せないまま、法案が進んでいることを鋭く問題視したものです。
「軍事優先の論理を公務に持ち込むという批判は的確だと思います。誰のための公務なのか」
「立法事実がないまま法案を通すのはおかしい。山添議員の追及はまさにその核心をついていた」
「予備自衛官の充足率が低いのは事実だとしても、公務員に軍事的義務を優先させる手法は問題がある」
「法案に書かれていない『調整』を根拠にするのは都合が良すぎる。法の支配という観点から問題です」
「住民の命と安全を守る公務員が軍事に動員されやすくなるなんて、地方行政が心配になります」
法文にない「調整」を根拠にする矛盾 防衛省自らが認める
質疑でさらに問題が明らかになりました。予備自衛官制度の資料では、招集命令を受けた予備自衛官は「雇用先や自衛隊と調整する」と記載されています。小泉進次郎防衛相は「防衛省が予備自衛官等と事前に調整を行うことを通じ、予備自衛官等が勤務先との間で調整を行う」と説明しました。
しかし、山添氏が「その『調整』は法案に書かれているのか」と追及すると、防衛省の小野功雄大臣官房長は「法案には規定がない」と認めました。法律の条文に書かれていない「調整」を制度の根拠としていることは、法の支配という観点から重大な問題です。
公務の本務は住民の命を守ること 山添氏が本質を問う
山添氏は「公務労働者は住民の命と安全、暮らしを守ることを本務とする存在だ」と指摘しました。兼業する場合には本務に支障のないよう任命権者がその都度判断して許可することが現行法上当然であり、その権限を事実上奪い、法文のどこにもない『調整』を行うことは自衛隊の都合を通常の公務に優先させることになると厳しく批判しました。
自衛隊の人員不足への対応は必要としても、公務員が軍事目的で招集されやすくなれば、地域の行政サービスや災害対応への影響も懸念されます。住民に向き合うべき公務の現場に軍事的な論理が侵食していくことへの警戒は当然であり、今後の参院本会議での採決が注目されます。
まとめ
- 2026年6月9日、予備自衛官等兼業特例法案が参院外交防衛委員会で6党の賛成多数で可決
- 共産党・山添拓議員と社民党が反対。山添氏は「軍事優先の論理を公務に持ち込むもの」と反対討論
- 法案は公務員が予備自衛官兼業の際、招集のたびに必要だった許可を任用時の承認1回に簡略化するもの
- 防衛省は「許可が得られなかったケース」を把握しておらず、法改正の必要性を示す立法事実が存在しないことが判明
- 法案に書かれていない「調整」を根拠にする矛盾を防衛省自身が認める
- 予備自衛官の充足率は約7割、即応予備自衛官は約5割と不足が続く