2026-05-31 コメント投稿する ▼
国民・榛葉幹事長の改憲論、本質論争うべき「9条」から逃げるのか
榛葉幹事長のような、いわゆる「改憲勢力」に属する政治家には、こうした安全保障環境の変化を踏まえ、自民党に対して、より踏み込んだ、そして国民の安全に直結する改正案、例えば、第9条2項の削除などを具体的に要求し、議論をリードしていく姿勢が期待されていました。国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、憲法改正の議論で「合区解消」などを優先すべきと発言しました。
「合区解消」先行論の背景
榛葉幹事長は、憲法改正の発議に必要な衆参両院の3分の2以上の賛成を得るためには、まず「間口を絞って議論を進めるべきだ」と主張しています。具体的には、現在、参議院選挙区における合区(複数の県を一つにまとめた選挙区)の解消を最優先課題に挙げました。これは、一部の地方の声が国政に届きにくくなっている現状を改善したいという、地域政党としての側面も持つ国民民主党らしい主張とも言えます。
また、高市早苗首相が示唆した緊急事態条項の創設についても、合区解消と並んで早期議論の対象とする考えを示唆しました。こうした選択肢を優先することで、改憲に慎重な層や、より具体的な改正内容に賛同しにくい層の抵抗感を和らげ、まずは「改憲のプロセス自体」を前に進めたいという意図がうかがえます。
「お試し改憲」への疑問符
しかし、筆者である有元隆志氏は、榛葉氏のこうした主張に対し、強い疑問を呈しています。それは、憲法改正という大きなテーマにおいて、本来最も議論されるべき核心部分、すなわち「国防の根幹に関わる第9条」などから意図的に距離を置こうとしているように見えるためです。
有元氏は、合区解消や議員任期延長といったテーマを優先する姿勢を「お試し改憲」や「本丸を避ける改憲」と表現し、批判しています。これは、国民の関心や政治的なエネルギーを、より本質的で、かつ国民の安全保障に直結する議論から、相対的に影響の小さい、あるいは国民の関心が薄いテーマへと誘導しようとしているのではないか、という疑念に基づいています。
安全保障環境と憲法9条の課題
現在の東アジア情勢は、極めて緊迫度を増しています。隣国による一方的な現状変更の試みや、核・ミサイル開発の進展など、日本の安全保障環境は厳しさを増すばかりです。このような状況下で、憲法9条が自衛隊の存在を規定する上で、あるいは国際社会における日本の役割を考える上で、どのような意味を持つのか、改めて議論し、必要であれば改正することが、喫緊の課題であるとの認識が、安全保障に関心を持つ層には広がっています。
榛葉幹事長のような、いわゆる「改憲勢力」に属する政治家には、こうした安全保障環境の変化を踏まえ、自民党に対して、より踏み込んだ、そして国民の安全に直結する改正案、例えば、第9条2項の削除などを具体的に要求し、議論をリードしていく姿勢が期待されていました。しかし、今回のインタビューでの発言は、その期待とは異なる方向性を示したと言わざるを得ません。
国民民主党の立ち位置と今後の展望
国民民主党は、立憲主義を重んじつつも、現実的な安全保障政策を志向する「改革保守」とも言える立ち位置をとっています。そのため、改憲論議においても、自民党と足並みを揃えつつも、独自の主張を展開しようとしているのかもしれません。
しかし、今回の榛葉氏の発言は、結果的に、改憲議論を矮小化させ、国民の関心を本質的な部分から遠ざけてしまうリスクをはらんでいます。憲法改正は、国のあり方を左右する重大なテーマです。一部の政治家が、自らの政治的立場や党利党略のために、この議論の焦点をずらそうとするならば、それは国民に対する誠実さを欠く行為と言えるでしょう。
今後、憲法改正を巡る議論がどのように進展していくのか、注視していく必要があります。榛葉幹事長が、今回の発言の真意を改めて説明し、より建設的な議論に繋がる道筋を示すことが求められています。
まとめ
- 国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、憲法改正の議論で「合区解消」などを優先すべきと発言しました。
- これは、改憲に必要な賛成を得るため、議論の範囲を絞るという意図があるとされます。
- しかし、筆者はこれを「お試し改憲」と批判し、安全保障に関わる憲法9条改正という本丸から逃げる議論だと指摘しています。
- 厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、より本質的な憲法改正論議の必要性が高まっています。
- 榛葉氏には、自民党に対し、9条改正など踏み込んだ議論を要求する姿勢が期待されていました。