2026-07-27 コメント投稿する ▼
茂木外相、内閣改造で進退の岐路 首相の座遠のく「留任」の現実味
しかし、茂木氏が外務大臣として留任することには、大きなジレンマも伴います。 外交の継続性という点では評価されるものの、来年(2027年)に予定されている自民党総裁選をにらむ上で、外相というポストに留まることは、党内での首相候補としての地位を確固たるものにする機会を逸することになりかねません。 高市首相としては、安定した外交路線を維持するため、茂木氏の留任を望む声があることは認識しているはずです。
国際情勢の激変と外交の重要性
現在、世界は米国のイラン攻撃や中国の東・南シナ海における覇権主義的な行動などにより、国際秩序が大きく揺らいでいます。このような不安定な国際情勢下において、外交手腕の重要性はますます高まっています。特に、日本の外交政策の継続性を担保することは、国家の信頼性を維持する上で不可欠と言えるでしょう。こうした観点から、経験豊富な茂木外務大臣の留任を望む声も少なくありません。
手腕を評価される茂木外相の功績
昨年10月の高市政権発足に伴い、約4年ぶりに外務大臣に再登板した茂木氏は、その豊富な経験を生かし、精力的に外交を展開してきました。2026年2月28日に始まった米国のイラン攻撃に際しては、事態の早期沈静化に向け、イランをはじめとする中東諸国との積極的な電話外交を展開しました。さらに、チャーター機による中東地域からの邦人退避作戦も主導するなど、迅速かつ的確な対応を見せました。
3月の米国での首脳会談の際、トランプ米大統領から日本人記者について「彼は良い記者なのか」と尋ねられた際、茂木氏は「ソーソー(まあまあです)」とユーモアを交えて答えることで、場の緊張を和らげたエピソードは、その臨機応変な対応力を示すものとして話題となりました。また、7月にトルコで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の関連会合では、高市首相が茂木氏を自らの代理に指名するなど、首相からの信頼も厚いことがうかがえます。
日ASEAN外相会議など、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携強化は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の実現に向けた日本の重要な取り組みであり、茂木外相はこの会議で日本の姿勢を力強く発信しました。会議では、昨年11月の首相の台湾有事に関する国会答弁を機に途絶えていた中国の王毅外相と短時間ながら接触しました。また、ウクライナ侵略で関係が冷え込んでいるロシアのラブロフ外相とも言葉を交わすなど、激動する国際社会における日本の存在感を示す機会も作っています。
留任のジレンマ、首相への道
しかし、茂木氏が外務大臣として留任することには、大きなジレンマも伴います。外交の継続性という点では評価されるものの、来年(2027年)に予定されている自民党総裁選をにらむ上で、外相というポストに留まることは、党内での首相候補としての地位を確固たるものにする機会を逸することになりかねません。首相経験者や、それに準ずる有力なポストに就いていない現状では、総裁選で現職の首相に対抗する勢力を築くことが難しくなるでしょう。
茂木氏は、かつてその気難しい性格から霞が関の官僚の間で「瞬間湯沸かし器」と呼ばれ、恐れられていた時期もありました。水はエビアン、夜食はペヤング、タバコは最優先で吸える環境を整えるといった、細やかな「茂木トリセツ」がまことしやかに語られていたほどです。しかし、近年はそのような姿は鳴りを潜めているとされます。海外出張中の航空機内では、外務省職員に「眠れていますか」と気遣うなど、周囲への配慮を見せるようになったという証言もあり、人間的な変化も指摘されています。こうした変化が、今回の処遇にどう影響するのかも注目されます。
71歳という年齢も、茂木氏にとっては無視できない要素です。次期総裁選で首相を目指すとなれば、今回の改造で重要なポストに就き、その手腕を示すことが最後のチャンスとなる可能性もあります。外相として国際社会での実績を積み重ねるか、それとも党内での影響力を高めるポストに移るか。茂木氏自身にとっても、岐路となる内閣改造と言えるでしょう。
首相の座への道
高市首相としては、安定した外交路線を維持するため、茂木氏の留任を望む声があることは認識しているはずです。しかし、同時に党内の求心力維持や、次世代への橋渡しといった課題も抱えています。茂木氏を外相に留めることで、国際的な信頼は維持できるかもしれませんが、党内での首相待望論を抑え、自身のリーダーシップを盤石なものにするためには、別のポストを用意することも選択肢として考えられます。
あるいは、党幹事長や政務調査会長といった、党内の実権を握るポストに就けることで、総裁選に向けた茂木氏の基盤を事実上強化する可能性もゼロではありません。しかし、そうなれば「留任」という選択肢は消滅します。茂木氏が目指す「首相の座」を考えると、外相留任が最も安全策に見えながらも、実は最も遠回りになるという皮肉な状況に置かれているのです。高市首相の決断が、茂木氏の政治生命の今後を大きく左右することになるでしょう。
まとめ
- 高市首相が内閣改造を行う中、茂木外相の処遇が焦点。
- 国際情勢の不安定さから外交の継続性が求められている。
- 茂木外相は外交手腕を発揮し、信頼を得ている。
- 留任すれば外交は安定するが、首相候補としての地位を失う可能性も。