2026-05-08 コメント投稿する ▼
山添拓議員が「国家情報会議」設置法案の廃案を訴え 人権侵害・戦争国家・世論誘導の三重の危険
政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能を強化する「国家情報会議」設置法案が2026年5月8日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党(共産党)の山添拓政策委員長は同日、国会内で記者会見を開き、この法案が戦争国家体制づくり・市民への人権侵害・時の政権による世論誘導という三つの重大な問題を抱えていると告発。「参院で徹底審議のうえ、廃案に追い込みたい」と強く表明しました。
戦争国家体制づくりの一環 日米軍事連携を情報面で強化
「国家情報会議」設置法案は、政府のスパイ活動の司令塔として内閣に「国家情報会議」を新設し、内閣官房に「国家情報局」を置くものです。首相を議長に官房長官・外相・防衛相らが参加するこの組織は、これまでの内閣情報調査室(内調)を格上げして、各省庁から情報を一元集約する強い権限を持つことになります。
法案は2026年4月23日の衆院本会議で、自民党・日本維新の会・中道改革連合・国民民主党などの賛成多数で可決され参院に送付されました。日本共産党(共産党)はただ一貫して反対し続けています。
情報機関を強化すると言えば聞こえはいいが、それが市民を監視するために使われてきた歴史を私たちは忘れてはいけない
山添拓政策委員長(弁護士出身・2期)は「安保3文書」に基づく大軍拡を進めるための情報収集機能の強化であり、日米の軍事的連携強化の一環だと批判しました。敵基地攻撃能力となる長射程ミサイルを運用するためには、攻撃対象となる国の意思や軍事動向を収集する情報活動が不可欠になります。山添氏はこの法案が、そうした情報機能の整備と一体で推進されていると指摘しました。さらに「外国が日本で行うスパイ活動は違法とし、日本政府が行うスパイ活動は強化するというのは、道理がなく矛盾に満ちた発想だ」と強く批判しました。
市民監視と人権侵害 第三者チェックの仕組みがない
第二の問題は、市民の監視を強め人権侵害を拡大する危険です。高市早苗首相は衆院審議で「政府の政策に反対するデモの参加者が監視対象になることは想定し難い」と答弁しましたが、過去には実際にそれが行われてきた歴史があります。
イラク戦争時には、自衛隊派遣に反対する市民運動を自衛隊情報保全隊が広く監視していたことが裁判で違法と断じられました。大垣警察による市民監視事件や大川原化工機の冤罪(えんざい)事件など、恣意的(しいてき)な市民監視・違法な情報収集は繰り返されてきました。恣意的とは、法律の枠を超えてその場の判断で勝手に行うことを意味します。
過去に何度も違法な市民監視が行われて、裁判でも違法と認定された。それなのに反省も謝罪もなく、さらに権限を強化するとはどういうことか
専修大学名誉教授(公法学)の白藤博行氏も「国家諜報機関が国民のプライバシーや生活の核心部分をスパイしても、国会や第三者機関がチェックする仕組みさえない乱暴な法案だ」と厳しく批判しています。山添氏も「第三者によるチェック機関が存在しないまま、情報収集機能をさらに強化することは許されない」と強調しました。参院本会議でも、過去の違法行為について高市首相から反省の弁は一切ありませんでした。
世論誘導・政界工作の拡大 高市政権のもとで一層深刻
第三の問題は、時の政権による世論誘導や政界工作の拡大につながる危険です。山添氏は、自民党総裁選や総選挙において高市陣営が対立候補への中傷動画の拡散に関与していたとの報道があることを指摘しました。
情報機関を握る政権が、自ら世論操作に関わっていたと報じられているのに、その政権がさらに情報機能を強化するというのは、非常に危険だ
この法案がスパイ防止関連法の制定や対外情報庁(日本版MI6)の創設に向けた第一段階と位置づけられていることも重大です。山添氏は「高市政権のもとで提出されたこの法案の危険は、一層深刻だ」と強調しました。
兵庫県弁護士会も同法案に反対する声明を出しており、「監督機関の設置など人権保障のための規定の整備がないまま制定されることに反対する」と明確に述べています。市民の自由と民主主義を守る観点から、法曹界からも強い異議が上がっています。
国民を守るための情報機関が、国民を監視するために使われる。そんな国にしてはいけない
山添氏は「参院での徹底審議を通じて、この法案の危険性を国民に広く知らせ、廃案に追い込む」と力強く述べました。今後の参院審議の行方が注目されます。
まとめ
- 「国家情報会議」設置法案が2026年5月8日に参院本会議で審議入り。衆院では与党・維新・国民民主などの賛成多数で可決済み。
- 日本共産党の山添拓政策委員長が「廃案に追い込む」と宣言し、三つの重大問題を告発した。
- ①戦争国家づくりの一環:安保3文書に基づく大軍拡・日米軍事連携の情報面での強化。
- ②市民監視・人権侵害の拡大:自衛隊情報保全隊事件など過去の違法監視への反省なし。第三者チェック機関も存在しない。
- ③世論誘導・政界工作の危険:高市陣営の中傷動画関与報道を踏まえ、情報権限の集中は民主主義への脅威となりうる。
- 法曹界からも「人権保障の規定整備なしに制定することに反対」との声明が出ている。