2026-05-27 コメント投稿する ▼
大学「年内入試」に面接必須化 文科省通知 学力低下に歯止めはかかるか
文部科学省は2026年5月27日、今年度の大学入試から総合型選抜・学校推薦型選抜(年内入試)で面接を必須とする通知を各教育長らに発しました。2024年に一部私大が実質学力試験のみで合否を決める推薦型選抜を年内に実施し「ルール違反」と指導を受けた経緯を踏まえた措置です。昨年度に学力試験を実施していた大学には2年間の猶予期間を設けます。大学入学者の53.6%がすでに総合型・推薦型で入学する実態が続く中、面接のみでは学力担保に不十分との声も根強く、大学入学共通テストにおける最低点基準の設定など、より踏み込んだ制度整備を求める意見も上がっています。
「一般試験の早期化」に歯止め、年内入試で面接が必須に
文部科学省は2026年5月27日、今年度の大学入試から総合型選抜・学校推薦型選抜で面接を必須とする内容を各教育長らに通知しました。これらの入試は大半が年内に合否が決まるため「年内入試」と呼ばれており、大学と高校の団体でつくる大学入学者選抜協議会が毎年度実施要項を決定し、文部科学省が通知する仕組みとなっています。
個別の学力試験は原則2026年2月1日から3月25日に行うこととされており、それ以前の年内に完結する入試が「年内入試」の枠組みに当たります。総合型・学校推薦型選抜は本来、「一般選抜とは異なる観点や方法で時間をかけて丁寧に選抜する」という趣旨で設けられた制度です。
ところが近年は一部大学で学力試験の比重が極端に高くなり、実質「一般試験の前倒し」に過ぎないと高校側から強い反発が上がっていました。今回の面接必須化はこうした状況への対応で、ディベートやプレゼンテーションも面接とみなし、オンラインでの実施も認めるとしています。
昨年度の入試で学力試験を実施していた大学については、急な制度変更への対応を考慮し、2年間の猶予期間を設けます。
「ルール違反」指導が引き金、東洋大の事例が制度見直しを加速
今回の制度見直しの直接的な引き金となったのは、2024年に発覚した首都圏の一部私大による「ルール違反」です。東京都の東洋大学など複数の大学が、調査書や面接を実質的に形骸化した状態で学校推薦型選抜を年内に実施し、文部科学省が「ルール違反」として指導する事態となりました。
これを受け、2025年度実施の入試では面接や小論文などと組み合わせることを条件に、年内入試での学力試験実施を容認する方針が導入されました。しかし、条件を加えても実態は変わりませんでした。東洋大の場合、220点満点のうち「国語か数学」と英語の2教科が計200点を占め、調査書と小論文がそれぞれ10点という配点となっており、ほぼ学力試験のみの選抜と変わらない内容でした。
東洋大の配点を見たら国語と英語だけで200点。面接や調査書はほぼ飾り。条件付きで容認した意味がなかった
文部科学省はこうした実態を踏まえ、年内入試本来の趣旨を徹底するために面接の必須化に踏み切りました。
毎年ルールを変えても大学側がうまく抜け道を作る。文科省がもっと厳しく制度設計しないとイタチごっこが続くだけ
大学入学者の過半数が年内入試、学力担保に根強い懸念
文部科学省によると、2024年度実施の入試では総合型選抜の92.6%、学校推薦型選抜の77.4%がすでに面接や討論を採り入れていました。残る約7〜22%の大学では面接なしで運用されており、そこへの対応が今回の通知の核心部分です。
さらに深刻な問題があります。2024年度の大学入学者全体の53.6%が総合型か学校推薦型選抜で入学しているという事実です。すでに半数以上の大学生が、いわゆる「学力試験によらない選抜」を経て大学に入学している計算となります。
大学生の半数以上が年内入試で入ってると初めて知った。基礎学力のない学生が増えているという話も、これを見ると納得してしまう
年内入試が主流化する中で、大学生の基礎学力の低下を懸念する声は現場から絶えません。高校までに習得すべき数学・英語・国語の基礎力が不十分なまま入学し、授業についていけない学生が増えているという報告は複数の大学教員や研究者からも上がっています。
面接必須化だけでは不十分、共通テストによる最低基準の設定が急務
今回の面接必須化は、年内入試を本来の趣旨に立ち返らせるための前進として評価できます。しかし、面接で志望動機や意欲を確認しても、大学での学習についていけるだけの基礎学力が担保されなければ、教育の質は保証されません。
大学への財政支援も含めた税金の投入は、学生が大学で確かに学び成長することを前提として行われるものです。面接必須化とあわせて、大学入学共通テストにおける最低基準点の設定など、学力面での一定ラインを設ける仕組みを整えることは、今後の入試改革で欠かせない論点です。
入学する学生数を無制限に受け入れるのではなく、定員を適切に絞り込み、入学した学生を責任を持って育てる姿勢を大学側に求めることも、本来の高等教育の在り方に立ち返るうえで重要な視点です。「大学に行けばよい」という量の拡大路線ではなく、質を伴った育成に税負担のあり方を見直す議論が必要です。
面接を必須にしても学力の最低基準がなければ意味が薄い。共通テストで足切りラインを設けて税金のムダ遣いを減らすべきでは
今回の通知で年内入試の質的向上が実現するかどうかは、各大学がどのように面接を設計するかにかかっています。制度の「抜け道」が再び生まれないよう、文部科学省が実態をしっかりと監視し続けることが求められます。
まとめ
- 文部科学省が2026年5月27日、今年度の大学入試から総合型・学校推薦型選抜での面接を必須とする通知を発出
- 昨年度に学力試験を実施していた大学には2年間の猶予期間を設ける
- 2024年に東洋大など首都圏の一部私大が実質学力試験のみの推薦型選抜を実施し「ルール違反」と指導を受けたことが直接の引き金
- 2024年度実績で大学入学者の53.6%が総合型・学校推薦型選抜を経て入学
- 面接はディベートやプレゼン、オンラインも可
- 大学生の基礎学力低下への懸念は根強く、共通テストによる最低基準設定など学力保証の制度整備が今後の課題