2026-10-03 コメント投稿する ▼
売春防止法見直し:『買う側』罰則導入へ 70年の不均衡是正なるか
制定から70年という歳月を経て、売春防止法の抜本的な見直しに向けた議論が本格化しています。 長年、売春行為そのものには罰則がなく、勧誘などを行う「売る側」のみが処罰対象とされてきたこの法制度上の不均衡を是正する動きが加速しています。 現在の売春防止法は、売春行為そのものを直接禁じるものではなく、売春の勧誘や周旋といった行為を処罰の対象としています。
売る側だけを処罰する不均衡の歴史
現在の売春防止法は、売春行為そのものを直接禁じるものではなく、売春の勧誘や周旋といった行為を処罰の対象としています。具体的には、路上などで客待ちをしたり、客を誘ったりする行為(いわゆる「立ちんぼ」など)がこれに該当し、6月以下の拘禁刑または2万円以下の罰金が科せられます。しかし、この法律が施行されて以来、約70年間、売春の「需要」を生み出す「買う側」の行為には罰則がありませんでした。
過去10年間にわたり、「勧誘等」での摘発件数は年間200件を超えて推移していますが、これはあくまで「売る側」の行為に対するものです。この構造的な不均衡は、売春問題の根本的な解決を妨げる一因となっており、長年にわたり改善を求める声が上がっていました。
高市総理の指示で議論が進展
こうした長年の課題に対し、具体的な動きが出始めたのは、2025年11月の国会でのことでした。当時、衆議院予算委員会において、この「買う側」への罰則がない現行制度のあり方について質問がなされ、高市早苗総理大臣が、当時の平口洋法務大臣に対し、規制の在り方について検討するよう指示しました。このトップダウンでの指示が、これまで進展が見られなかった法改正の議論を大きく前進させる契機となったのです。
法務省の検討会が「買う側」規制を提言
この流れを受け、法務省に設置された有識者検討会は、2026年9月、「買う側にも規制を設けるべきだ」とする報告書をまとめました。報告書は、路上売春などの社会問題化している実態に対し、需要を抑制する観点から「買う側」へのアプローチが不可欠であるとの認識を示しています。これは、売春問題の解決に向けて、これまで見過ごされがちだった「需要」側へのメスを入れることを意味しており、大きな一歩と言えるでしょう。
国際社会の動向と日本の課題
興味深いのは、欧米諸国など多くの国々では、「買う側」を処罰対象とする「スウェーデン方式」などが採用されており、売春の需要を断つことが問題解決の有効な手段と考えられています。日本のように「売る側」のみを処罰対象とする法制度は、国際的に見ても少数派と言えます。
今回の見直しにあたり、日本が抱える具体的な課題は、まず「どのような行為を『買う側』の処罰対象とするか」という定義の問題です。さらに、捜査機関がどのようにして「買う側」の行為を立証し、実効性のある罰則を科していくのか、その具体的な方法論の検討が不可欠となります。また、罰則強化だけでなく、困難な状況にある女性たちへの支援策をどう整備していくのか、という点も同時に議論されるべき重要な論点となるでしょう。
法改正への期待と今後の焦点
売春防止法が制定されてから70年。今回の法務省有識者検討会の報告書は、そのあり方を根本から見直す大きな契機となる可能性を秘めています。路上売春の根絶や、性暴力、人身取引といった深刻な問題の温床となりうる売春の実態改善に向け、国会での法改正に向けた議論が今後どのように進展していくのか、国民の注目が集まるところです。「買う側」への罰則導入が実現すれば、長年にわたり指摘されてきた法制度上の不均衡は、ようやく解消へと向かうことになるでしょう。
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