2026-05-25 コメント投稿する ▼
自民党「国力研究会」波紋:政策勉強会か、政局の踏み絵か 報道過熱に発起人困惑
設立の主な目的は、高市首相が目指す「国論を二分するような大胆な政策」について、党内の議員間で認識を共有し、政策議論を深めることにあるとされています。 「国力研究会」に対しては、党内からも警戒感や疑問の声が上がっています。
「国力研究会」の設立目的と実態
この「国力研究会」は、自民党所属の国会議員347人が参加して設立されました。会長には加藤勝信前財務大臣が就任し、党幹事長代行の萩生田光一氏が幹事長として実務を取り仕切っています。設立の主な目的は、高市首相が目指す「国論を二分するような大胆な政策」について、党内の議員間で認識を共有し、政策議論を深めることにあるとされています。
萩生田幹事長代行は、設立総会で「政局を期待する声もあるが、それは全くない。みんなで力を組み、政権を支えるよう頑張っていく会だ」と強調しました。また、加藤会長も記者からの質問に対し、「あくまでも勉強会の発足だ」と述べ、政局との関連を否定しています。参加者の多くが党所属議員の8割超に達することからも、党内の政策議論への関心の高さがうかがえます。
メディア報道と党内の温度差
しかし、こうした設立趣旨とは裏腹に、一部のメディアでは「国力研究会」が政局に直結するかのような報道が相次いでいます。報道の中には、「『反高市』をあぶり出す装置」「来秋の党総裁選で高市首相の無投票再選を狙うための動き」「首相を支持するかどうかの踏み絵」といった見出しが躍りました。
このような報道の過熱に対し、発起人である有村治子総務会長は記者団に対し、「総裁選に絡んでとか、ずいぶん政局絡みで報道されることにちょっと戸惑いを覚える」と率直な心境を語りました。彼女は、この研究会は「ひとりひとりの主体的な思いで入会を決めるもので、強制されるものでもなく、それぞれの信念で活動ができればよい」と述べ、あくまで個々の議員の自由な意思に基づく政策議論の場であることを強調しました。
憶測を呼ぶ発起人選定
一部メディアで政局絡みの見方が強まった背景には、発起人メンバーの顔ぶれも影響しているようです。次期総裁選への出馬が取り沙汰されている林芳正総務大臣や、独自の党内グループを立ち上げた石井準一参院幹事長といった有力議員の名前が、発起人リストに含まれていませんでした。
このような状況を受け、議連設立を麻生太郎副総裁に働きかけたという山田宏参院議員は、産経新聞の取材に対し、「産経新聞が(報道で『高市支持グループ発足へ』と報じたことで)勉強会なのに、異常な反応になった」と指摘しました。発起人の選定についても、「『この人に声をかけよう』と自然に広がっていった。最初から『この人を外す』考えで作ったものではない」と説明し、憶測を否定しました。
高市首相周辺議員の動向
一方で、高市首相に近いとされる議員の中にも、一定の距離を置く動きも見られます。古屋圭司・衆院憲法審査会長は、今回の議連への参加を見送りました。古屋氏は自身のSNSで、「党派を超えて憲法改正議論を取りまとめる立場を考慮した」と説明し、「公正・中立の立場に徹することが責務故、参加は控えている」と綴っています。40年来の高市首相との関係を公言し、最近も官邸で改憲について意見交換したという古屋氏の動向は、党内でも注目されています。
党内からの警戒感と懸念
「国力研究会」に対しては、党内からも警戒感や疑問の声が上がっています。村上誠一郎元総務相は、記者団に対し、この議連のあり方を「大政翼賛会みたいだ」と批判しました。また、船田元・元経済企画庁長官はSNS上で、「入会したかしないかでレッテル貼りが行われたり、敵と味方を区別する道具に使われるとしたら、いかがなものか」と疑問を呈しました。あるベテラン議員も、「面妖な会だ」と周囲に漏らすなど、党内で「分裂」を生みかねない流れに対する懸念が根強く存在していることがうかがえます。
今後の見通し
「国力研究会」が、当初の目的である「政策認識のギャップを埋める」ための勉強会として機能していくのか、それとも政局絡みの「踏み絵」としての側面が強まってしまうのか、今後の動向が注目されます。参加者の主体的な意思が尊重され、建設的な政策議論が行われる場となることを期待する声がある一方で、党内の派閥争いや総裁選を巡る思惑が絡み、さらなる混乱を招く可能性も否定できません。発起人である有村氏が語った「それぞれの信念で活動ができれば」という言葉が、現実のものとなるか、注視していく必要があります。