2025-04-18 コメント投稿する ▼
【学術会議の独立性は守られるのか?】市來伴子氏が政府提出法案に徹底追及
学術会議法案に「独立性を脅かす懸念」 市來伴子氏が政府案を追及
2025年4月18日、日本学術会議を特殊法人に改組する政府提出の法案が、衆議院本会議で審議入りした。立憲民主党の市來伴子衆院議員は、会派を代表して質疑に立ち、政府の意図や制度の設計に対する懸念を率直に訴えた。
「なぜ法人化なのか」根本的な疑問
市來議員はまず、そもそも学術会議を特殊法人に変える理由がどこにあるのかを問いかけた。背景には、2020年に当時の菅政権が、学術会議から推薦された6人の会員候補の任命を拒否した問題がある。任命拒否をめぐっては理由も不明確なまま。市來氏は、「まずはその経緯を明らかにすべき」と指摘し、石破首相の著書にもある「手続きの透明性」の必要性を強調した。
「企業的経営」に学術会議はなじむのか
法案では、学術会議を企業的経営を前提とする特殊法人に位置づけているが、市來氏は「学術会議が営利性や効率性に基づく組織に本当になじむのか」と疑問を呈した。
学術界からの強い反発
審議直前の4月15日には、日本学術会議が総会を開き、法案に対して強く異議を唱える声明を発表。「政府が科学者の手で作られた現行法を廃止しようとしている」として、独立性への懸念を表明した。会長の光石衛氏は「76年の歴史の中でも極めて重要な決議」と述べている。
「独立」の文言が削除された意図は?
法案の業務規定からは「独立して」の文言が削除されている。市來氏はこれを問題視し、「なぜこの一言を削ったのか。独立性をわざとあいまいにしようとしているのではないか」と政府の意図を問いただした。
「監事」への過度な権限集中
新たに設けられる「監事」は、他の特殊法人と比べても異例の強い権限を持つ。会長の代わりに代表権まで持てる立場となっており、市來氏は「監事の立場を超えた権限ではないか。制度設計として危うい」と懸念を示した。また、再任制限がない点についても、「一人の人物が長く居座る可能性があり、健全な組織運営にそぐわない」と批判した。
会員選考に「政府の手」が入る仕組み
新たな会員選考の仕組みでは、政府が一定の関与を持つ構造となっている。とくに「候補者選考委員会」の構成について、市來氏は「初期の段階から政府が介入することで、学術会議の性格そのものが変質してしまう」と指摘し、独立した選考の必要性を訴えた。
評価と監視が生む“学問の萎縮”
内閣総理大臣が任命する評価委員会の存在も、独立性を脅かすとの声が上がっている。日本弁護士連合会も「学問の自由を揺るがす危険がある」として警鐘を鳴らしており、市來氏も「政府が学術を評価する構図自体が間違っている」と断じた。
その他の制度設計にも課題山積
助言委員会や事務局への人選に政府が関わる可能性、官僚の出向の有無、連携会員の位置づけなど、細かな点でも不透明さが残る。加えて、法案には立ち入り検査や罰則規定も盛り込まれており、市來氏は「こうした強い介入策は、むしろ会議の活動を萎縮させる」と疑念を示した。
「社会の課題の解決」とは何を指すのか
新法人の目的に「社会の課題の解決に寄与する」とあるが、市來氏は「その“社会の課題”とは具体的に何を指すのか。政府の政策に都合のいい科学だけが求められるのでは困る」と問いかけた。
学術の独立性を守れるのか
最後に市來氏は、「科学は政府の都合ではなく、自由な思索と真理の探究によって進歩するもの。耳の痛い意見をも受け入れる度量こそ、民主主義の本質だ」と述べ、拙速な審議ではなく、徹底した議論を求めて質疑を締めくくった。