2026-05-28 コメント投稿する ▼
階猛氏「国会機能維持と解散権は矛盾」 衆院憲法審で解散権制限を正面提起
衆院憲法審査会は2026年5月28日、憲法改正の「今後のテーマ」を巡って討議しました。中道改革連合(中道)の階猛・幹事長は「国会機能の維持と内閣による衆院解散権の行使は矛盾する」と指摘し、「内閣の解散権を制限するための法規範を、憲法または法律に明記する必要がある」と訴えました。自民党(自民)の新藤義孝・与党筆頭幹事が緊急事態条項の条文起草を改めて呼び掛ける中、階氏の発言は自民が主導する改憲論議に新たな論点を突き付けるものとなりました。高市早苗首相が憲法改正に強い意欲を示すなか、緊急事態条項と解散権制限を巡る各党の立場の溝が浮き彫りになっています。
「矛盾する」 階猛氏が解散権制限を憲法審で正面提起
衆院憲法審査会は2026年5月28日、「憲法改正の今後のテーマ」について各党が意見を交わしました。
中道改革連合(中道)の階猛・幹事長は、大規模災害時の国会議員任期延長を柱とする「緊急事態条項」をめぐる議論の文脈で、「国会機能の維持と内閣による衆院解散権の行使は矛盾する」と指摘しました。
階氏はさらに「内閣の解散権を制限するための法規範を、憲法または法律に明記する必要がある」と訴え、緊急事態条項の議論と切り離せないテーマとして解散権の制限問題を正面から提起しました。
階氏は立憲民主党出身の衆院岩手1区選出議員(当選8回)で、2026年2月に発足した中道改革連合の新執行部で幹事長を務めています。過去のアンケートでも「首相の衆院解散権の制約」を憲法改正が必要な項目の一つに挙げており、今回の発言は同氏の一貫した持論に基づくものです。
国会機能を維持しながら解散は自由というのは確かに矛盾している
緊急事態下に解散できるなら「国会維持」の意味がない
階氏が指摘する「矛盾」とは、どういうことでしょうか。
緊急事態条項は、大規模災害や感染症の大規模な蔓延などにより適正な選挙実施が困難な状況に陥ったとき、議員の任期を一定期間延長して「国会機能を維持する」ことを目的としています。
しかし現行の憲法解釈では、内閣は憲法7条を根拠に衆院を自由に解散できるとされています。「首相の専権事項」ともいわれるこの慣行が温存される限り、緊急事態の真っ只中であっても、内閣が政治的な判断で解散に踏み切ることは理論上可能です。
緊急事態に内閣が解散権を行使できるなら、任期延長の意味がない
階氏はこれを「矛盾」と呼んでいます。国民の安全が最優先されるべき非常時において、議員の身分を守りながら同時に内閣が解散権を「カード」として持ち続けることは、緊急事態条項の理念と相容れないという論旨です。さらに、非常時を口実にした政治的な解散権の行使を招くリスクも排除できません。
「7条解散」の慣行と問われる解散権の正当性
内閣による衆院解散権の問題は、歴史的にも繰り返し問題提起されてきたテーマです。
憲法7条3号は天皇が「衆議院を解散すること」を国事行為として定めていますが、天皇は国政に関する権能を持ちません。実際の解散のほとんどは不信任決議(憲法69条)とは無関係に、内閣の一方的な判断で行われてきました。この「7条解散」は法的根拠をめぐって学説上も長年論争が続いており、最高裁も「高度な統治行為」として司法審査の対象外としています。
解散権の恣意的な行使こそが日本の議会政治を歪めてきた根本原因だ
解散権を縛るルールがないまま緊急事態条項だけを創設すれば、非常時における政治的解散に「合法的な外装」を与えかねません。この点を正面から問い直した階氏の提起は、改憲議論の質を高める意義を持っています。
改憲を急ぐ自民と慎重な中道 溝は埋まるか
自民党の新藤義孝・与党筆頭幹事は「土台をさらに具体化する作業に入っていく必要がある」と述べ、条文起草への移行を改めて呼び掛けました。
衆院法制局などが作成した緊急事態条項のイメージ案では、大規模災害や感染症の大規模な蔓延、内乱、外部からの武力攻撃などを「選挙困難事態」として想定しており、任期延長の期間の上限は1年または6カ月を目安とする案が示されています。
高市早苗首相が憲法改正に強い意欲を示す中、自民は参院での発議に向けて参政党やチームみらいとも協力を探る構えです。
しかし、中道は「むしろ課題が浮き彫りになった」として慎重な議論を求め、解散権制限という新たな論点も加わったことで、各党の立場の隔たりは容易には縮まりません。
改憲議論を急ぎたい自民と、じっくり議論したい中道の構図がはっきりしてきた
憲法改正には衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成による発議と、国民投票での過半数の賛成が必要です。緊急事態条項の中身だけでなく、解散権の制限という論点が加わったことで、議論の幅はさらに広がっています。
階猛さんの主張は筋が通っている。憲法改正の優先順位を正しく設定してほしい
まとめ
・2026年5月28日の衆院憲法審査会で、中道改革連合の階猛・幹事長が衆院解散権の制限を憲法または法律で明記するよう求めた
・国会機能の維持と内閣の解散権行使は「矛盾する」と指摘し、緊急事態条項の議論と連動した論点として問題提起
・自民党(自民)の新藤義孝・与党筆頭幹事は緊急事態条項の条文起草に移行するよう改めて呼び掛けた
・衆院法制局のイメージ案では、大規模災害・感染症・内乱などを「選挙困難事態」として想定。任期延長の上限は1年または6カ月
・高市早苗首相が改憲に強い意欲を示す中、自民は参政党・チームみらいとも協力を探る
・中道は慎重な議論を求めており、解散権制限問題が加わることで各党間の隔たりは引き続き大きい