2026-06-11 コメント投稿する ▼
中東情勢会議、エネルギー安定供給へ道筋 高市総理、G7で国際協調を提言
2026年6月11日、高市早苗総理大臣は官邸で第10回中東情勢に関する関係閣僚会議を主宰した。 ナフサを原料とする化学製品についても、供給体制の強化が進められている。 工務店からは、塗料・シンナーだけでなく、ユニットバスや塩ビ管についても供給の相談が寄せられている。 さらに、資材供給に課題を抱える園芸農家に対しても、同様に目詰まり解消に向けた取り組みが進められている。
原油調達の安定化へ、抜本的対策進む
中東情勢の緊迫化は、日本のエネルギー供給網に大きな影響を与える懸念があった。しかし、政府はこれまで進めてきた原油調達先の多角化戦略が着実に成果を上げていることを明らかにした。
高市総理大臣は、中東だけでなく、米国やカナダ、メキシコといった北米、さらに中南米、アジア太平洋、中央アジア、アフリカなど、調達先の選択肢を大幅に広げたと説明した。これにより、7月には原油調達量が前年の平時と比較して約10割まで回復する見通しが立った。
特に注目されるのは、米国からの調達量が前年比で10倍以上に達する見込みである点だ。かつて、日本の原油輸入の9割以上がホルムズ海峡を経由していた状況を鑑みれば、この度の、全量をホルムズ海峡を経由しないルートからの調達体制への移行は、石油業界関係者の尽力による画期的な成果と言える。
こうした調達先の多角化と米国からの供給増により、今月も国家備蓄の放出は行わないことになった。さらに、仮に8月以降の代替調達が前年比75%にとどまったとしても、備蓄を効果的に活用することで、当初の想定よりも1年程度供給期間を延長し、2028年3月末まで石油の安定供給が可能となる見通しが示された。
化学製品・潤滑油の供給網も再構築
原油価格への影響も懸念されたが、ナフサの国際価格は落ち着きを取り戻している。4月には一時、トンあたり1000ドルを超えていた価格は、直近では700ドル台まで下落し、中東情勢発生以前の約1.2倍の水準となった。
ナフサを原料とする化学製品についても、供給体制の強化が進められている。特に、塗料やシンナーの製造に必要なトルエンやキシレンについては、例年の需要の1.8倍の供給を可能とする新たな仕組みが稼働を開始した。
既に塗料・シンナーメーカーからは、増産への期待や、シンナー確保の目途が立ったといった前向きな声が寄せられており、早ければ6月18日にも増産が開始される見込みだ。
一方で、依然として懸念の声が聞かれる潤滑油についても、対策が講じられている。全ての業種を対象に、主要メーカーから直接販売する新たな仕組みが導入され、既に開始されている。
政府は、石油製品のスムーズな流通を実現するため、業界団体や企業に対し、協力体制の構築を呼びかけている。具体的には、塗料・シンナー分野で円滑な流通に協力する企業を「目詰まり・偏り解消協力団体・企業」として公表し、そのネットワークを全国に広げていく方針だ。
川下事業者・医療分野へのきめ細かな支援
サプライチェーンの末端、いわゆる川下事業者への支援も急ピッチで進められている。工務店からは、塗料・シンナーだけでなく、ユニットバスや塩ビ管についても供給の相談が寄せられている。
これらの課題に対し、ユニットバスの標準納期での供給再開といった情報提供を行い、供給網の「目詰まり」解消が進められている。自動車整備工場やバス・トラック・タクシー事業者からも、シンナーの入手状況が改善してきたとの報告がある。
パンや菓子などを販売する店舗においても、事業者間の情報共有を促進するなどして、19件あった供給の目詰まりのうち10件の解消が完了した。
さらに、資材供給に課題を抱える園芸農家に対しても、同様に目詰まり解消に向けた取り組みが進められている。金子大臣、鈴木大臣、赤澤大臣ら関係閣僚には、アンケート調査などを活用し、現場の声を丁寧に聞き取り、迅速な対応が求められている。
医療分野においても、きめ細やかな支援が実施されている。分包紙や薬剤容器の不足懸念に対し、在庫切れリスクのある薬局への分包紙の優先供給体制を整備した。
医療用手袋については、需要の高いSサイズ2000万枚を追加で放出するとともに、最大の輸入元であるマレーシアが日本への安定供給を確約した。中長期的な供給確保に向けた取り組みも進められている。
中小企業・小規模事業者に対しては、資金繰り支援策が拡充されている。建築工事業などを追加し、全業種の半数にあたる583業種を対象に、民間金融機関からの融資に対する信用保証で、限度額2.8億円の別枠が設けられ、全国の信用保証協会で相談受付が開始された。
G7サミットで国際社会に提言へ
国民生活を支える様々な分野での課題解決に向けた政府の取り組みが進む中、高市総理大臣は、国際社会における日本の役割についても言及した。
総理は、6月13日から欧州歴訪を開始し、英国、イタリアの首脳と会談した後、フランスで開催されるG7サミットに出席する予定だ。
今回のサミットにおいて、高市総理は、アジアを代表する立場から、世界のエネルギー安全保障、特に原油市場の安定化に向けたG7が主導すべき国際協調策として、以下の3点を提案する方針を明らかにした。
第一に、国際社会が協力してエネルギーの安定供給に取り組むこと、不当な輸出制限に反対し、自由で透明な貿易を確保することの重要性を訴える。その基盤となるホルムズ海峡をはじめとする全てのシーレーンにおける自由で安全な航行の確保を強調する。
第二に、日本が先行して推進している、アジア諸国などの石油備蓄強化支援と、国際エネルギー機関(IEA)との連携を強化する必要性を提案する。
第三に、中東などの産油国と消費国との間の連携を一層強化することの必要性を訴える。
これらの提案を通じて、高市総理は、日本が提唱する「パワー・アジア」の理念を国際社会全体へと広げていく考えを示した。今回の閣僚会議での議論を踏まえ、国際舞台でのリーダーシップ発揮が期待される。
まとめ
・2026年6月11日、高市早苗総理大臣は第10回中東情勢に関する関係閣僚会議を主宰。
・原油調達先の多角化が進み、7月には平年並みの調達回復、2028年3月末までの石油安定供給見通しが立った。
・ホルムズ海峡への依存度を大幅に低減し、全量ホルムズ外からの調達体制を確立。
・ナフサ価格は落ち着き、化学製品や潤滑油の供給網再構築、川下事業者への支援も進展。
・6月13日から欧州歴訪、G7サミットに出席し、エネルギー安全保障に関する国際協調策を提案予定。