2026-05-13 コメント投稿する ▼
高市早苗首相が国家備蓄第3弾を見送り 原油代替調達が6月に7割超の見通し
政府は2026年5月12日、ホルムズ海峡を通らない代替ルートでの原油調達が着実に進んでいるとして、今月(5月)は国家備蓄のさらなる追加放出(第3弾)を見送る方針を明らかにした。高市早苗首相は「6月に必要な原油を確保できる見通しが立つ」と述べ、代替ルート調達が6月には前年の7割以上に達する目途が立ったと表明。特に米国からはおよそ8倍の輸入増が見込まれるほか、アフリカへの調達先拡大も進む。一方で代替ルートの安全性には依然として懸念が残っており、中東依存からの脱却という日本のエネルギー政策の根本的な見直しが改めて求められている。
ホルムズ海峡「事実上の封鎖」から2カ月余 日本のエネルギー危機の背景
2026年2月末から3月にかけて、米国・イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖を宣言しました。ホルムズ海峡はペルシャ湾の出口にある幅わずか約50キロメートルの海峡で、世界の原油取引の約2割が通過する「原油の大動脈」です。
日本の原油輸入は中東への依存度が約94%と極めて高く、そのうちホルムズ海峡経由が約93%を占めます。この封鎖により、日本のエネルギー供給は深刻な危機に直面しました。
政府は2026年3月に国家備蓄の第1弾(約30日分)を放出し、4月にはさらに約20日分の第2弾を放出するなど、異例の連続的な備蓄放出を行ってきました。同時に国際エネルギー機関(IEA)の協調放出にも参加し、約8000万バレルを放出するなど、国際社会と連携した対応を続けています。
今月は第3弾を見送り 6月に代替調達「7割以上」の見通し
高市早苗首相は2026年5月12日、ホルムズ海峡を通らないルートでの原油調達が進展していることを受けて、今月(5月)は国家備蓄のさらなる追加放出(第3弾)を行わない方針を表明しました。
高市首相は「6月に必要な原油を確保できる見通しが立つことから、今月は第3弾の国家備蓄放出を行わないことといたします」と述べました。代替ルートによる原油調達が6月には前年の「7割以上となる目途が立った」としており、4月30日の関係閣僚会議で示した「約6割の日量約140万バレルの代替調達が確定契約ベースで実現している」との水準から上積みされる形となっています。
米国産原油は米シェブロンが手配したタンカーがパナマ運河経由で91万バレルを届けた実績もあり、さらにアフリカにも調達先を拡大する予定です。米国からの輸入はおよそ8倍に増える見通しで、調達先の多角化が着実に進んでいます。
「備蓄を使い続けるのではなく調達を拡大できているのは評価できる。でもまだ安心できない」
「代替ルートが攻撃を受けたという話もある。本当に安全なのか政府にはしっかり説明してほしい」
「ガソリン代や食品が値上がり続けている。国民生活への影響を政府は軽く見ていないか」
「エネルギーをほぼ一カ所の海峡に頼ってきた日本の構造的な問題を今こそ直視すべきだ」
「米国産原油の輸入増は対米貿易交渉上も良い効果があるのでは。一石二鳥かもしれない」
食品包装のインク不足も改善へ 供給偏在の防止を呼びかけ
高市首相はまた、食品のパッケージを白黒2色に変更する動きが出ていることを踏まえ、食品包装資材のインクの原料について「前年並みの供給が可能」と強調しました。石油は食品包装のインクや容器の原料にもなっており、供給不足の影響は国民生活の身近な場面にも及んでいます。
政府は供給の偏りを防ぐため、前年と同じ量での調達を行うよう事業者に強く呼びかける方針を示しました。不足を懸念した買い占めや偏った調達が起きれば、かえって市場全体の需給バランスを崩す恐れがあるためです。
代替調達には依然として脆弱性 エネルギー政策の根本的な見直しが急務
今回の備蓄放出見送りは代替調達が一定の進展を見せていることを示す好材料です。しかし専門家からは、代替ルートとして使われているパイプラインや港湾が軍事攻撃を受ければ調達が再び停止するリスクがあると指摘されています。2026年5月4日にはUAE本土への攻撃でフジャイラ石油工業地帯が被弾しており、「ホルムズ通航ルート」と「フジャイラ経由迂回ルート」を二者択一として整理してきた前提は根本的に再検討する必要があります。
今回のホルムズ海峡危機は、日本が数十年にわたって中東の一つの海峡に原油調達の大部分を依存してきた構造的な脆弱性を改めて浮き彫りにしました。再生可能エネルギーへの転換、石油備蓄の拡充、そして調達先のさらなる多角化が、日本のエネルギー安全保障の強化に向けた喫緊の課題です。今回の危機を契機に、エネルギー政策の抜本的な見直しが不可欠といえます。
まとめ
・高市早苗首相が2026年5月12日、今月の国家備蓄第3弾追加放出を見送ると表明
・代替ルートによる原油調達が6月に前年の7割以上となる目途が立ったことが背景
・米国からの輸入はおよそ8倍に増加見込み、アフリカへも調達先を拡大予定
・食品包装のインク原料については「前年並みの供給が可能」と表明
・供給偏在を防ぐため、前年同量での調達を事業者に強く呼びかける方針
・2026年5月4日のフジャイラ被弾など代替ルートにも脆弱性が残り、中東依存からの脱却という根本課題への取り組みが急務