2025-04-04 コメント投稿する ▼
警察と自衛隊のサイバー能力、違いは? 平井大臣「優劣の問題ではない」
橋本議員は、「外国から攻撃があった場合に自衛隊が対処するという前提の議論が見られるが、本当にそうなのか。警察の能力と自衛隊の能力、具体的にはどう違うのか確認したい」と疑問を投げかけた。
これに対し、平井大臣は「まず、外国が相手だからといって常に自衛隊が出るというわけではない」と前置きしたうえで、「場合によっては警察が対応することもある」と説明。そのうえで、「組織的な攻撃や高度な計画性が見られるケースでは、自衛隊が出動することが適切とされる」と述べ、対応の線引きは状況に応じて判断されるべきだとの認識を示した。
また、大臣は「警察と自衛隊、どちらが“上”かという認識は持っていない」と強調。「それぞれが異なるネットワーク環境や経験を持ち、技術の練度も異なる。得意分野を生かして、組織ごとに役割を担っていくことが重要」と述べ、能力を比較するのではなく、補完的に活用していく姿勢を示した。
なぜ今「能動的サイバー防御」が必要なのか
能動的サイバー防御とは、従来のように攻撃を受けてから対応する「受動的」な防御ではなく、攻撃者の意図を察知し、時に相手のシステムへのアクセスも視野に入れて、事前に対策を打つというもの。政府はこの新たな手法を、国家的なサイバー脅威への対応として導入しようとしている。
背景には、中国やロシアなどを発信源とすると見られるサイバー攻撃が、政府機関やインフラ事業者を標的にして頻発している現実がある。情報漏洩や機能停止など、被害は深刻化しており、「やられる前に守る」体制の構築が急務だとされている。
それぞれの強みを生かした役割分担がカギ
警察は主に国内のサイバー犯罪を取り締まる役割を担い、個人情報の漏洩事件や不正アクセス、ネット詐欺といった案件への対応に長けている。一方で、防衛省の「サイバー防衛隊」は、国家レベルの脅威への対応に特化し、自衛隊自身のシステムや通信ネットワークを守る任務を果たしている。
今回の議論からは、「どちらが優れているか」ではなく、「それぞれの専門性をどう生かすか」が問われていることが見てとれる。平井大臣の答弁も、それを意識したものだった。
- 橋本幹彦議員が、警察と自衛隊のサイバー能力の違いについて質疑。
- 平井デジタル大臣は「どちらが上とは考えていない」と回答。
- 状況に応じて、警察と自衛隊が役割分担する必要性を強調。
- 能動的サイバー防御は、攻撃者への先制的対応を可能にする新たな仕組み。
- サイバー空間の脅威が高まる中で、政府は防御力の強化を急いでいる。