2026-05-08 コメント投稿する ▼
仁比聡平議員が国会で皆伐禁止を要求 鹿児島豪雨被害が問う日本の林業政策転換
日本共産党(共産党)の仁比聡平参議院議員は2026年5月8日、参院災害対策・復興特別委員会で、鹿児島市喜入一倉町の国有林での大規模な皆伐(区域の木を一度に全部切る方法)が2025年8月の豪雨被害と深く関わっているとして、国に抜本的な林業・森林政策の転換を求めました。欧州では1ヘクタール以上の皆伐を原則禁止する動きが広がる一方、日本では水源涵養林でも20ヘクタールの大規模皆伐が認められており、住民や専門家から見直しを求める声が高まっています。
鹿児島の豪雨被害と皆伐の深い関係
鹿児島市の喜入一倉(きいれひとくら)町では、水を蓄えて洪水や干ばつを防ぐ役割を担う「水源涵養保安林(みなもとかんようほあんりん)」に指定されている国有林が、約8.5ヘクタールにわたって皆伐されていました。水源涵養保安林は、水源の涵養や洪水の緩和など、地域の安全に直結する重要な役割を持つ森林です。皆伐とは、決められた区域の木をすべて一度に切り倒す伐採方法のことで、短期間に大量の木材を効率よく収穫できる反面、地盤への影響が大きいとされています。
2025年8月、激しい豪雨が降ると大量の土砂が下流の集落や農地へと流れ込む深刻な被害が発生しました。被害を受けた住民の間では、「また同じことが起きるのではないか」という不安の声が今も広がっています。
山が丸裸になってから、大雨のたびに土砂が怖くて眠れない夜が続いています
日本共産党(共産党)の仁比聡平参議院議員(弁護士出身・3期)は2026年5月8日の参院災害対策・復興特別委員会で、この問題を正面から取り上げました。住民の不安の声を委員会の場で直接示しながら、国に対して林業・森林政策の抜本的な転換を強く迫りました。
「伐採が原因ではない」という林野庁答弁への批判
仁比氏の質問に対し、林野庁の長﨑屋圭太・国有林野部長は「伐採が被害の原因ではない」と強弁しました。対策として再造林や、雨水を分散させる土のうの設置を行うとしましたが、なぜ皆伐後に土砂が流れたのかという根本的な説明には踏み込みませんでした。
国は伐採のせいじゃないと言うが、木を全部切った後に土砂が流れた事実をどう説明するんですか
専門家の間では以前から、皆伐や作業路の開設が土砂災害のリスクを大きく高めるという指摘が相次いでいます。木の細根は網のように土壌層をつなぎ止め、地盤の崩壊を防ぐ重要な働きをしています。また、葉や枝が雨水を受け止め、地面への急激な流入を和らげる機能も果たしています。皆伐によってこうした機能が一度に失われると、急傾斜地では土砂崩れのリスクが格段に高まります。
仁比氏は「とりわけ集落や農地に近接する急傾斜地では、リスクを適切に評価したうえで、皆伐ではなく木を選んで間引く択伐(たくばつ)を進め、住民へ丁寧に説明を行うべきだ」と追及しました。長﨑屋部長は「地域からの要請があれば説明に努める」と述べるにとどまり、自発的な対応には消極的な姿勢を示しました。
欧州との落差 ドイツ・スイスは1ヘクタール以上の皆伐を原則禁止
仁比氏は欧州各国の林業政策と日本の現状の大きな開きを委員会で明らかにしました。ドイツの一部の州法やスイスでは、1ヘクタール以上の皆伐を原則として禁止しています。環境への負荷が高く、災害リスクを高める皆伐を縮小する方向への政策転換が、欧州では現実に進んでいます。ドイツでは伐採した後の天然更新(自然に木が育つ方法)を活用した持続可能な林業が広まっており、森林の機能を維持しながら木材を生産する取り組みが定着しています。
一方、日本では水源涵養林においても最大20ヘクタールもの大規模な皆伐が認められており、国際的な水準との隔たりは明らかです。
先進国が皆伐をやめる方向に進んでいるのに、なぜ日本では水源の森で20ヘクタールもの皆伐が今も許されているのか
仁比氏は、伐採した木をワイヤロープで宙づりにして運ぶ「架線集材(かせんしゅうざい)」を活用した択伐を採用しても採算が取れる環境を国が整えるべきだと提案しました。「気候危機が深刻化するなかで、水源の保全・土砂災害の防止・二酸化炭素の吸収といった森林の多面的な機能はますます重要になっている。皆伐の上限面積を抜本的に見直すべきだ」と強く訴えました。
国と都道府県の責任強化が急務 市町村任せでは限界
長﨑屋部長は「市町村の森林整備計画の中で適切に運用されている」と答弁しましたが、仁比氏はこの姿勢では不十分だと厳しく指摘しました。
岩手県の大船渡市や大槌町など、山林火災が繰り返し発生している地域も増えています。火災や水害に強い山づくりを進めるためには、市町村に任せきりにするのではなく、国と都道府県が主体的な役割を果たすことが欠かせません。
地域の市町村だけに任せていては、いつか必ず限界がきます。国と都道府県がもっと責任を持つべきです
日本の国土の約3分の2は森林に覆われています。しかし大規模な皆伐や作業路の開設が土砂災害の一因になっているという指摘は、専門家の間で根強く続いています。気候変動の影響で豪雨の頻度や強さが年々増している今、森林の適切な管理は住民の命と暮らしを守ることに直結します。国には一刻も早い政策の転換が求められています。
まとめ
- 2026年5月8日、日本共産党の仁比聡平参議院議員が参院委員会で国有林の皆伐問題を追及した。
- 鹿児島市喜入一倉町の水源涵養保安林(国有林)約8.5ヘクタールが皆伐され、2025年8月の豪雨で土砂被害が発生。住民の不安が続いている。
- 林野庁は「皆伐が原因ではない」と主張したが、専門家からは「皆伐・作業路開設が土砂災害リスクを高める」との指摘が以前から続いている。
- ドイツ一部州法・スイスでは1ヘクタール以上の皆伐を原則禁止。日本では水源涵養林でも20ヘクタールの皆伐が認められており、国際水準との差は大きい。
- 仁比議員は急傾斜地での択伐推進、皆伐上限の見直し、架線集材の活用支援、国・都道府県の責任ある関与強化を政府に求めた。