2025-04-25 コメント投稿する ▼
米価上昇も農家に届かず 佐賀・山口知事が持続可能な稲作支援を訴え
米価上昇も農家の収入に直結せず 現場に残る深刻な課題
佐賀県の山口祥義知事は25日の記者会見で、コメの価格上昇が続く中でも農家の経営は依然厳しいままであることに強い懸念を示し、「米価はこのまま維持されてしかるべきだ」と訴えた。全国のスーパーでのコメ販売価格は5キロ当たり4217円と、15週連続で値上がりを記録しているものの、農家が実際に受け取る取引価格にはほとんど反映されていないのが現状だ。
農家の厳しい現実と「米価安すぎる」問題提起
山口知事は「消費者が価格を下げてほしいという気持ちは理解できる」としつつも、「コメはどれだけ手間暇をかけて作られているかを考えれば、今の米価は他の農産品目に比べて安すぎる」と強調した。背景には、稲作農家が生産資材の高騰や人手不足に直面しているにもかかわらず、取引価格が低水準に据え置かれている実態がある。知事は、「価値のあるものには、それに見合った価格が付くべきだ」とし、持続可能な農業経営への支援の必要性を訴えた。
消費者価格上昇と農家収入の乖離
コメの店頭価格は高騰しているものの、流通過程で中間マージンが膨らみ、農家への支払いには十分に反映されていない。農林水産省によると、2023年産のコメの農家手取り価格は1俵(60キロ)あたり概ね1万2000円前後と、10年前と比べても大きな改善は見られない。このため、価格上昇の恩恵を受けるどころか、肥料・燃料費の上昇分を吸収できず、経営破綻に追い込まれる農家も出始めている。
食料安全保障と骨太な議論の必要性
さらに山口知事は、現在進行中の日米関税交渉にも言及し、米国産コメの輸入拡大の動きに警戒感を示した。「将来の食料安全保障、そして日本の稲作農家の存在意義について、骨太な議論を行う必要がある」と指摘。コメは単なる農産物ではなく、国の文化や安全保障にも直結する存在だとし、安易な市場開放には慎重な対応を求めた。
- 全国のコメ店頭価格は5キロあたり4217円と最高値更新、15週連続で上昇
- 農家の受け取る価格(手取り)は上がらず、経営状況は依然厳しい
- 生産コスト増にもかかわらず、農家収入は改善せず
- 山口知事「コメは他品目に比べて安すぎる」と問題提起
- 日米関税交渉による輸入拡大に警戒感、骨太な議論を要求
- 食料安全保障の観点からも国産米の価値向上が急務