2025-06-24 コメント投稿する ▼
岐阜県が「防災庁」誘致を正式要望 地盤の強さとリニアで“安全拠点”アピール
岐阜県が「防災庁」誘致を正式要望 知事「津波リスクなく地盤強固、最適地だ」
2026年度に創設が予定されている「防災庁」をめぐり、岐阜県が本格的な誘致活動を開始した。江崎禎英知事は6月24日、赤沢亮正・防災庁設置準備担当相と内閣府で面会し、防災庁の本庁または分局の岐阜県設置を正式に要望した。
江崎知事は「岐阜県は内陸県であり、津波や高潮といった海洋災害のリスクがない。また地盤が強固で災害時の継続機能に優れている」と説明。立地面での優位性を強調し、南海トラフ地震や首都直下地震といった巨大災害時の中枢的役割を果たす「安全拠点」として最適だと訴えた。
「首都圏じゃなくてもいい仕事は山ほどある。岐阜みたいな場所こそ適地」
「中央省庁の地方分散、もっと本気で進めてほしい」
“災害リスク分散”と“国家機能の分散”を両立へ
今回の要望には、単なる誘致にとどまらない国家的戦略の視点もある。江崎知事は「南海トラフ地震が発生すれば、太平洋沿岸の多くの自治体が同時に機能不全になる」と指摘し、岐阜のような“リスク分散地”に防災庁を置く意義を強調した。
また、首都直下地震などで東京都心がまひした際、国の災害対応機能そのものが停止するリスクに対しても「岐阜がバックアップ拠点として機能を果たせる」と述べた。中山間地域にありながら高速交通インフラの整備が進む岐阜県にとって、まさに“内陸の要”としてのポテンシャルを売り込んだ形だ。
「首都がやられた時のバックアップを本気で考える時期に来てる」
リニア中央新幹線の開業を武器に“東京1時間圏”をアピール
知事は特に岐阜県南東部の利便性をアピール。リニア中央新幹線が開業すれば、東京都心から約1時間で移動可能なエリアになるとして、「平時から東京との一体的な運用ができる」と述べた。リニアの結節点として、首都機能と連携した省庁運用が可能であるとし、防災庁の平時・有事双方の拠点運営に適しているとの考えを示した。
リニア開業によって東海地域の機能分散が加速する中で、防災庁の設置がその先駆けになる可能性もある。
「リニアで1時間なら、東京と一体運用できるのは確かに強み」
「分散型行政」のモデルケースになるか
中央省庁の地方移転は、かつて安倍政権下でも一部検討されたが、官僚機構の反発やコスト面で見送りが続いてきた。しかし、首都圏一極集中のリスクが高まる中、分散型行政のモデルケースとして、防災庁が地方に設置される意義は極めて大きい。
実際、東日本大震災や能登半島地震など、複数の大災害を経験する中で、被災地支援の意思決定機能や指揮命令系統を東京に集中させる危険性は再三指摘されてきた。岐阜県が今回要望した背景にも、災害時の“国家機能の冗長性”を担保する必要性がある。
今後、政府内での省庁設置場所に関する議論が本格化する中で、「防災庁の岐阜設置」が全国的な注目を集めることは必至だ。
「防災庁を地方に置くって、ようやくまともな議論になってきた」