2026-05-12 コメント投稿する ▼
旧姓通称使用の法制化、審議日程逼迫で臨時国会へ延期 - 夫婦同姓維持し国民生活の利便性向上目指す
この法案は、国民生活における利便性向上に繋がるものとして期待されていましたが、国会日程の逼迫を理由に、秋に召集される見通しの臨時国会へ持ち越されることになりました。 この合意書には、現行の戸籍制度を維持した上で、旧姓に法的効力を持たせる制度を創設することが明記されていました。
旧姓使用法制化の経緯と政府方針
今回の旧姓使用法制化の動きは、2024年10月に結ばれた自民党と日本維新の会の連立政権合意に基づくものです。この合意書には、現行の戸籍制度を維持した上で、旧姓に法的効力を持たせる制度を創設することが明記されていました。「法制化法案を2026(令和8)年の通常国会に提出し、成立を目指す」という具体的な目標も盛り込まれていました。政府はこの合意に基づき、法案の準備を進め、今国会での提出を目指していましたが、最終的には審議日程の問題から断念せざるを得ないと判断しました。
選択的夫婦別姓との違いとは
ここで重要なのは、今回議論されている旧姓使用の法制化が、「選択的夫婦別姓制度」とは根本的に異なるという点です。選択的夫婦別姓制度は、結婚する際に夫婦がそれぞれ戸籍上の姓をどちらにするか(夫の姓か、妻の姓か)を選択できる制度を指します。一方、今回の法案は、あくまでも戸籍上の「夫婦同姓」という現行の原則を維持した上で、旧姓(通称)を社会生活においてより円滑かつ公的に使用できる基盤を整備しようとするものです。つまり、婚姻によって氏を変更しない、あるいは変更した場合でも、旧姓を様々な場面で活用しやすくすることが目的となります。
現行制度の課題と首相の指示
現行の日本の制度では、旧姓を社会生活で使うことは可能ですが、いくつかの制約が存在します。例えば、住民票や運転免許証といった公的な身分証明書に旧姓のみを単独で記載することは、原則として認められていません。旧姓を記載する場合でも、戸籍上の氏と併記する形が一般的です。このため、旧姓での契約手続きや公的手続きにおいて、煩雑さを感じる場面も少なくありませんでした。こうした国民の声を背景に、高市早苗首相は、第2次内閣発足時の担当閣僚に対し、「旧氏(姓)の単記も可能とする基盤整備の検討」を指示しています。この指示は、国民生活における旧姓使用の利便性を高めることへの政府としての意向を示すものと言えます。
法制化延期の背景
法案提出が見送られた直接的な背景には、国会における審議日程の逼迫があります。衆議院と参議院の内閣委員会では、旧姓使用の法制化以外にも、審議すべき重要法案が複数控えている状況です。特に、「日本国国章損壊罪」を創設し、日本国旗を侮辱目的で傷つける行為を処罰する法案などが審議される予定です。これらの法案の審議には相当な時間を要することが見込まれており、限られた国会会期の中で、旧姓法案まで含めて十分な審議時間を確保することが困難であると政府は判断した模様です。
今後の展望と論点
今回の法案提出見送りは、あくまで「今国会」に限った話であり、旧姓使用の法制化に向けた動きが完全に止まったわけではありません。政府は、秋に召集される臨時国会への提出を目指すとしていますが、そこでの審議がスムーズに進むかは未知数です。旧姓使用の法制化は、多くの国民、特に旧姓での活動を希望する女性などにとって、生活や仕事上の利便性を大きく向上させる可能性があります。一方で、戸籍制度や家族のあり方といった、より根源的な議論に繋がる側面も持ち合わせています。政府・与党は、国民の多様な意見に耳を傾け、理解を得ながら、どのような制度設計を進めていくのか。その具体的な内容と、国民生活への影響について、今後も注視していく必要があります。