2026-05-06 コメント投稿する ▼
バリカタン2026で自衛隊が海外初のミサイル実弾発射、小泉進次郎防衛相が視察し日米比の対中抑止力を誇示
2026年5月6日、フィリピンで行われている米比合同軍事演習「バリカタン2026」に正式参加した自衛隊が、ルソン島北部パオアイの海岸から88式地対艦誘導弾の実弾2発を発射し、洋上の標的艦を撃沈しました。自衛隊がこの演習でミサイルの実弾を発射するのは初めてです。米軍もタイフォンからトマホークを発射し、中国を強く意識した日米のミサイル網を示しました。中国は激しく反発しており、地域の緊張が高まっています。
バリカタン2026 自衛隊が初の実弾発射、標的艦を撃沈
2026年5月6日、フィリピン・ルソン島北部のパオアイ海岸で、陸上自衛隊北部方面隊第1特科団(北海道千歳市)の隊員約140人が88式地対艦誘導弾(SSM-1)の実弾発射訓練を実施しました。
移動式発射台から2発が発射され、約75キロメートル沖に浮かべられたフィリピン海軍の退役軍艦に命中させ、撃沈しました。訓練は報道陣に公開され、小泉進次郎防衛相とフィリピンのテオドロ国防相が現地で見守る中、フィリピンのマルコス大統領も首都マニラから遠隔で視察しました。
空と海のはるか先まで届く力を目の当たりにした。日本の技術はすごいと素直に思う
自衛隊が米比合同軍事演習「バリカタン」の場でミサイル実弾を発射するのは今回が初めてです。日本はこれまで同演習にオブザーバーとして参加してきましたが、2025年に日比部隊間協力円滑化協定(RAA)が発効したことを受け、2026年から正式参加に格上げされました。今回は日本のほか、カナダ・オーストラリア・フランス・ニュージーランドも初めて本格参加し、米国・フィリピンを含む7か国から1万7500人以上の軍人が集結しています。
米軍タイフォンもトマホーク発射、アメリカ国外初の実弾訓練
自衛隊の実弾発射と並行して、米軍も中距離ミサイル発射システム「タイフォン」から長距離巡航ミサイル・トマホークを発射しました。タイフォンからのトマホーク発射は、アメリカ国外では今回が初めてとなります。
トマホークの最大射程は約1600キロメートルとされ、北京など中国の主要都市も射程圏内に収まります。今回の実弾訓練は、中国が長年にわたり中距離ミサイル戦力で優位に立ってきた地域の軍事バランスを意識した、西側諸国による明確な対抗姿勢の表明と見られています。
これほどの規模と精度の演習をこの地域で見せられると、周辺国の緊張が高まるのは当然だと感じる
小泉防衛相は2026年5月5日にテオドロ国防相とマニラで会談し、防衛装備協力を強化する共同声明に署名し、作業部会を設置することで合意しています。テオドロ氏は実弾発射訓練後、88式地対艦誘導弾について「今後の相互運用性を確認できた」と評価し、日本からの同様の装備移転について「いつでも議論の用意がある」と述べ、導入検討への意欲を示しました。
中国「自衛の範囲を超えている」と猛反発 軍国主義批判も
中国の反発は激しいものです。中国外務省の林剣(リン・ジェン)副報道局長は2026年5月6日の記者会見で、日本が海外に自衛隊を派遣し「攻撃型のミサイルを発射したことは自衛の範囲をはるかに超えている」と強く批判しました。中国国防部の張暁剛報道官も、「日本の『新型軍国主義』をともに阻止しなければならない」と発言しています。
日本がフィリピンにミサイル持ち込んで撃つって、これはもう専守防衛じゃないよね。誰のための安全保障なの
中国は南シナ海において、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内での人工島造成や補給船への放水銃使用など、国際法に反する行為を繰り返しており、フィリピンとの緊張状態が続いています。そうした実態をたなに上げた上での「軍国主義」批判は、地域の実情を無視した主張です。
一方で、フィリピン国内にも演習の拡大に懸念を示す勢力が存在します。テオドロ国防相は「同演習は文民当局の監視下にあって透明性が確保されており、国防に基礎を置くものだ」と強調したうえで、「自由で開かれたインド太平洋を維持するため、志を同じくするパートナーとの連携が取れる限り、これは私たちの責務だ」と述べました。
「正式参加」で変わる日本の役割、地域安全保障の重要な転換点
今回の実弾発射には、日本の安全保障政策の大きな変化が凝縮されています。
RAAは自衛隊とフィリピン軍が互いの領域に部隊を派遣して活動できる協定で、2025年の発効以降、日比の軍事協力は急速に具体化しています。実弾を使ったミサイル発射訓練の実施は、その協力が演習参加というレベルを超え、実戦に近い水準に踏み込んだことを示すものです。
演習の規模についても特筆すべき点があります。バリカタン2026は2026年4月20日から5月8日まで行われており、参加7か国の総勢1万7500人超という大規模なものです。日本が今後フィリピンに88式地対艦誘導弾を移転することになれば、日比間の軍事的な結びつきはさらに深まり、南シナ海を巡る安全保障の構図にも影響を与えることになります。
日本が毎年こういった演習で実弾を撃ちながら、装備まで売るようになったら、それはもう新しい段階に入ったと見るべきだ
地域の安定を守るための防衛協力なのか、それとも緊張をさらに高めるリスクをはらんだものになるのか。日本がこれまで積み上げてきた専守防衛という基本原則と、急速に進む安全保障の転換とのバランスをどう保つのか。今回の「初の海外実弾発射」は、その問いに対する重い答えを求めています。
まとめ
- 2026年5月6日、自衛隊がバリカタン2026でルソン島パオアイ海岸から88式地対艦誘導弾の実弾2発を発射し、退役フィリピン海軍艦艇を撃沈(同演習で自衛隊の実弾発射は初)
- 発射訓練は陸上自衛隊北部方面隊第1特科団(北海道千歳市)の約140人が実施
- 小泉進次郎防衛相とテオドロ国防相が現地視察、マルコス大統領もマニラから遠隔で見守った
- 米軍もタイフォンからトマホークを発射(アメリカ国外でのタイフォンによるトマホーク発射は初)
- 日本は2025年のRAA(日比部隊間協力円滑化協定)発効を受け、今回から正式参加に格上げ
- 中国の林剣副報道局長は「攻撃型ミサイル発射は自衛の範囲を超えている」と強く批判
- テオドロ国防相は88式ミサイルの相互運用性を確認、装備移転議論への意欲を示した
- バリカタン2026には米・比・日・加・豪・仏・NZの7か国から1万7500人超が参加