2025-05-08 コメント投稿する ▼
薬剤師の職能発揮と医薬品物流の課題、零売薬局規制強化で議論|田村麻美議員が厚労省に提言
零売薬局規制見直しと関係者の意見聴取に疑問
参議院厚生労働委員会で、国民民主党の田村麻美議員は、零売薬局の規制強化について、関係者への意見聴取が不十分であると指摘した。田村氏は、零売薬局の「やむを得ない場合」という規定が曖昧であり、省令で具体化される内容についても関係者の声を十分に反映していないと批判した。
厚生労働省医薬局長は、規制の見直しに際して関係者の意見を広く聞く方針を示したが、具体的な進め方は明確にされなかった。また、日本総研の成瀬道紀主任研究員は、零売の原則禁止という表現の削除を求め、薬剤師がプライマリケアの一環として職能を発揮できる仕組みを確立すべきだと提案した。
薬剤師の職能発揮とリフィル処方箋の普及課題
田村議員は、薬剤師の職能発揮を阻む要因として、リフィル処方箋の活用が進んでいない現状を強調。リフィル処方箋は、医師が発行する一定期間内で繰り返し使える処方箋だが、実際の活用は0.07%にとどまっているという。医師との連携が不十分で、薬剤師が処方提案を行っても医師が受け入れないケースが多いと指摘した。
また、田村氏は、登録販売者の活用を進めることや、試験の基準を統一することも求めた。福岡厚生労働大臣は、薬剤師の専門性を尊重し、地域での役割を強化する方針を示したものの、具体的な政策は示されなかった。
医薬品物流の不採算と薬価制度の課題
医薬品物流についても、田村氏は問題を指摘。特に、低価格の医薬品が流通コストに見合わず、採算が取れない状況が続いていることを問題視した。彼女は、物流費用の「見える化」と、そのコストを薬価に反映する仕組みの導入を提案。
厚労省の調査によると、低密度地域では医薬品の供給が赤字となり、安定した供給が難しくなっているという。福岡大臣は、物流改善ガイドラインの遵守を強調しつつ、薬価制度の見直しについては具体策を明示しなかった。
医薬品供給と薬剤師の役割を巡る課題
今回の質疑応答は、医薬品の安定供給と薬剤師の職能発揮が複雑に絡み合っている現状を浮き彫りにした。零売薬局の規制、リフィル処方箋の普及、医薬品物流の不採算という三つの問題は、いずれも政府の対応が不十分であることを示している。
今後は、零売薬局規制に関する関係者への意見聴取の充実、医師と薬剤師の連携を強化する具体策の推進、医薬品物流の不採算問題を解消するための薬価見直しが求められるだろう。