2026-05-19 コメント投稿する ▼
豚熱の全頭殺処分を見直し 改正家畜伝染病予防法が2026年5月施行 養豚農家の負担軽減へ
農林水産省は2026年5月19日、家畜伝染病「豚熱(CSF)」が発生した農場において、事前にワクチンを接種し検査で陰性と確認された豚は殺処分の対象外とする新たな方針について、全国の関係者にオンラインで説明会を開催しました。2026年5月15日に成立した改正家畜伝染病予防法に基づく新方針は同日付で適用されています。従来の全頭殺処分は農場経営への影響が大きく作業負担も重かったため、科学的根拠に基づいて対象を限定。豚肉の安定供給にも貢献が期待されます。
豚熱(CSF)とは 高致死率の伝染病と全頭殺処分の実態
豚熱(CSF=Classical Swine Fever)は、ウイルスによって起こる豚・いのししの熱性伝染病です。強い伝染力と高い致死率が特徴で、感染した豚の唾液や糞尿を通じてウイルスが拡散します。治療法がなく、家畜業界への影響が甚大なことから、家畜伝染病予防法に基づく「家畜伝染病」に指定されています。
日本では2018年9月に岐阜県で26年ぶりに発生が確認されて以降、2026年3月時点までに25都県で発生が相次いでいます。現行ルールでは1頭でも感染が確認された農場では全ての豚が感染したとみなして殺処分する「全頭殺処分」が義務付けられてきました。この措置は感染拡大防止には有効な一方で、農場経営への打撃が極めて大きく、大量の豚を処分する作業は従事者に重い負担を課してきました。
農家の方の苦労を考えると、やっと方針が改まった。あの全頭殺処分がどれだけ大変だったかわかるか
改正法の新たなルール 殺処分対象をワクチン未接種豚などに限定
2026年5月15日に成立した改正家畜伝染病予防法には、この全頭殺処分の見直しが盛り込まれています。新たなルールでは、事前に適切なワクチン接種を受けて免疫を獲得し、かつ検査で陰性が確認された豚は、殺処分の対象外となります。
引き続き殺処分の対象となるのは、ワクチン未接種の豚のほか、接種後20日以内で免疫が十分に形成されていない豚、発育不良の豚、検査で陽性と判明した豚に限定されます。また今回の改正では、これまで獣医師だけに認められていたワクチン接種を農場管理者でも行えるようにする規定も加わりました。これにより、農家が早期かつ適切に対処できる環境が整います。
「ワクチン接種で陰性なら殺処分しないというのは科学的に合理的な判断だと思う。遅すぎたくらいだ」
「農場管理者がワクチンを打てるようになるのは現場にとって本当に助かる。迅速対応が命だから」
農水省が全国説明会 北海道は引き続き全頭殺処分
農林水産省は2026年5月19日、全国の関係者を対象にオンラインで説明会を開催しました。改正法の新方針は同日付で適用されています。
説明会では担当者が、適切なワクチン接種によって免疫を獲得し、症状もない豚であれば感染拡大リスクはないと強調しました。一方、現時点でワクチン接種区域に含まれていない北海道での発生については、今後も全頭殺処分の対象になるとしています。北海道は全国有数の養豚地帯であり、今後の感染状況やワクチン接種区域の拡大動向が注目されます。
北海道は今回の適用外と聞いてびっくりした。国内最大の養豚地帯なのに早急にワクチン区域を広げてほしい
日本養豚協会(JPPA)はこの法改正に際し、「殺処分の範囲はまん延防止に必要な範囲にとどめること」「発生農家に手当金などの十分な支援を継続すること」を農水省に要望していました。個々の農家経営への影響を最小化しながら感染拡大防止を両立させる仕組みの整備が引き続き求められます。
豚肉の供給安定にも貢献 消費者と農家双方にメリット
全頭殺処分の見直しは、養豚農家の経営負担軽減にとどまらず、消費者にもメリットをもたらします。豚熱が流行した際に全頭処分が行われると、市場に流通する豚肉が急減し、価格高騰や供給不安が生じる恐れがありました。現在の物価高が家計に重くのしかかる中、豚肉の安定供給は消費者にとっても切実な課題です。
豚肉が値上がりしていたのは豚熱の全頭殺処分の影響も大きかったと思う。この改正は歓迎したい
選択的殺処分への移行によって、感染農場でも健康な豚を引き続き飼育・出荷できるようになります。農家の経営継続性を高めながら安定した供給を維持できる今回の制度改正は、養豚業界の持続可能性にとって大きな一歩です。農水省は今後も適切なワクチン接種の徹底と飼養衛生管理の強化を関係者に求めていくとしています。
まとめ
- 2026年5月15日成立の改正家畜伝染病予防法で、豚熱発生農場の全頭殺処分を見直し、2026年5月19日付で適用開始
- ワクチン接種済みで検査陰性の豚は殺処分対象外に。対象はワクチン未接種・接種後20日以内・発育不良・陽性確認豚に限定
- 獣医師のみ可能だったワクチン接種を農場管理者でも実施可能に
- 北海道はワクチン接種区域外のため引き続き全頭殺処分の対象
- 2018年以降、豚熱は25都県で発生。農場経営への影響が甚大で全頭処分の見直しが求められていた
- 日本養豚協会は農家への十分な支援継続と経営負担軽減を農水省に要望
- 豚肉の安定供給にも貢献が期待され、物価高に苦しむ消費者にも恩恵