G7唯一の未整備国・日本が法人「実質的支配者」届け出を義務化へ マネロン新法の全容

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G7唯一の未整備国・日本が法人「実質的支配者」届け出を義務化へ マネロン新法の全容

政府は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策と経済安全保障の強化を目的に、法人の実質的支配者(BO)情報の届け出を義務付ける新法の制定方針を固めました。先進7か国(G7)の中で法制度が未整備だったのは日本のみです。早ければ2026年秋の臨時国会に法案を提出する予定で、「闇バイト」に関わる匿名・流動型犯罪グループの解明、外国人による土地取得の実態把握、経済制裁対象者の確認など、活用の幅は多岐にわたります。国際的な金融信用の維持にも直結する重要な法整備です。

G7で唯一 法制度が未整備だった日本の実態


法人の「実質的支配者(BO=ベネフィシャル・オーナー)」とは、法人の意思決定を実質的に動かす個人や団体のことを指します。議決権の25%超を直接または間接に保有する者、あるいは出資・取引などを通じて法人に支配的な影響力を持つと認められる者が該当します。

英国やドイツをはじめとするG7各国では、すでに法人に対してBOの名簿を作成し、政府機関への登録を義務付けています。ところが日本では、2022年1月に法務局(商業登記所)が株式会社の「実質的支配者リスト」を任意で保管する制度を開始しましたが、届け出は任意のままで活用実績は低迷していました。

G7の中で唯一、法人のBO情報に関する法的な届け出義務がなかったのが日本です。現行制度では代表取締役などは登記簿から確認できますが、その背後にいる株主など真の支配者の特定は難しく、犯罪組織が実態のない法人を「隠れみの」にして資金の流れを見えにくくするケースが後を絶ちません。こうした実態を踏まえ、政府はついに法整備へと踏み出すことを決断しました。

FATF審査が突きつけた「低評価」 日本の金融信用が揺らぐリスク


国際的なマネーロンダリング対策の監視機関「金融活動作業部会(FATF)」は、2021年の第4次対日審査で日本の法人悪用防止策の遅れを厳しく指摘し、BO対策の強化を勧告しました。FATFはさらに2022年3月、勧告を改訂し、登録機関などの公的機関が法人のBO情報を把握できる仕組みの義務化を各国に求める内容へと強化しました。

日本はこの審査で「重点フォローアップ国」に指定され、審査後も継続的な対応と改善報告が求められています。2028年夏ごろには第5次対日相互審査(オンサイト審査)が予定されており、書類審査は2027年ごろから始まると見られています。評価が低下すれば、日本の金融機関への国際的な信用が損なわれ、海外との取引や投資が冷え込む懸念があります。

「FATFの審査でまた低評価が出たら、日本の銀行が海外取引で不利になりかねない。早急な対応が必要だ」
「G7で法制度がないのが日本だけって、今まで知らなかった。これだけ遅れていたとは驚きだ」

政府はこうした危機感から法整備を急ぐ方針を固め、早ければ2026年秋の臨時国会への法案提出を目指しています。

新法の概要 全法人に義務付け、罰則つきで実効性を担保


新法では、非上場企業を含むすべての法人にBO情報を把握・届け出ることを義務付ける方針です。捜査当局や関係省庁が迅速にBO情報を照会できる仕組みを整えるとともに、虚偽の届け出には罰則を設けることも検討されています。

2022年から始まった任意の「実質的支配者リスト」制度は、その後オンラインでの提出手続きが可能になりましたが、それでも届け出件数は伸び悩んでいました。新法では強制力を持たせることでこの問題を解消し、制度の実効性を大きく高める見通しです。

「幽霊会社を使ったマネロンは昔から問題なのに、なぜ今まで届け出が任意だったのか理解に苦しむ」
「法人の裏に誰がいるかわからない状態が続いていたのは、経済安保的にも危険すぎた。ようやく動くか」

なお、自由民主党(自民党)外国人政策本部の新藤義孝本部長氏は2026年6月、政府への提言をまとめ、BO情報の義務的な登録制度について「土地などの実質的所有者の把握に活用するよう検討すべきだ」と明記しました。与党内からも法整備を後押しする動きが加速しています。

「闇バイト」解明から外国人土地取得の把握まで 活用の広がり


今回の法整備は、マネロン対策だけにとどまりません。「闇バイト」事件に関与する匿名・流動型犯罪グループ(通称:トクリュウ)の実態解明にBO情報を活用する方針も打ち出されています。

SNSを通じて実行役を募集し、中核人物が匿名化されているトクリュウは、特殊詐欺やSNS型投資詐欺、組織的窃盗、オンライン賭博など多岐にわたる犯罪を繰り返しています。犯罪収益を法人名義の口座に隠すケースや、法人を仲介してマネロンを専門に請け負うグループの関与も確認されています。こうした組織が法人を隠れみのにしている場合、BO情報の義務的把握は捜査の突破口となります。

外国人による土地の所有状況の把握にも活用する方向で検討が進んでいます。南西諸島や安全保障上重要な地域に隣接した土地が法人を通じて取得されるケースへの懸念は高まっており、現行制度では実質的な所有者を特定することが困難でした。外国資本が法人を介して国内の土地取得を進める動きに歯止めをかけるためにも、法整備は急務です。

また、経済制裁の対象者が法人の背後に潜んでいないかを確認する目的にも活用が想定されており、経済安全保障の観点からも重要な取り組みとなります。

外国資本が法人を使って日本の土地を取得するのを防ぐためにも、BO情報の義務化は絶対に必要だ

まとめ


・政府はすべての法人にBO(実質的支配者)情報の届け出を義務付ける新法の制定方針を固めた
・G7の中で法人のBO情報に関する法整備がなかったのは日本のみで、国際的に大きな遅れとなっていた
・FATFは2021年の第4次対日審査でBO対策強化を勧告しており、日本は現在も「重点フォローアップ国」
・2028年夏ごろ予定のFATF第5次対日審査での低評価を回避するため、政府は早急な法整備を目指す
・新法では虚偽届け出への罰則も検討され、任意制度から義務制度へ転換される
・「闇バイト」に関わるトクリュウの解明、外国人による土地取得の実態把握、経済制裁対象者の確認など活用は多岐にわたる
・自民党外国人政策本部も2026年6月、法整備と土地所有把握への活用を促す提言をまとめた
・早ければ2026年秋の臨時国会に法案を提出する予定

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2026-06-26 09:34:54(植村)

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