2026-08-22 コメント投稿する ▼
ベビーシッター税優遇、金持ち優遇か?音喜多氏「設計次第で税額控除を」
音喜多氏は、自身のブログで、仕事のためにベビーシッターや家事支援サービスを利用する費用が、現行の税制では経費や控除の対象にならないのはおかしいと指摘しています。 「高所得者優遇」という批判は、税制優遇の具体的な手法として「所得控除」が選択肢に挙がっていることに起因します。
ベビーシッター税優遇議論の火種
この税制優遇案は、共働き世帯の増加や多様な働き方に対応するための子育て支援策として検討されています。音喜多氏は、自身のブログで、仕事のためにベビーシッターや家事支援サービスを利用する費用が、現行の税制では経費や控除の対象にならないのはおかしいと指摘しています。実際、所得税法では「収入を得るために直接要した費用」は経費と認められますが、育児費用は「家事費」に分類され、原則として経費から除外されています。給与所得者向けの特定支出控除にも育児費用は含まれていません。
諸外国では、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダなどが、育児費用を「就労のための費用」として税制上の優遇対象としており、日本はこうした対応が遅れているのが現状です。音喜多氏は、こうした制度の遅れが、子育てをしながら働く人々にとって大きな負担となっていると問題提起しています。
「富裕層優遇」「利権誘導」の声にどう向き合うか
今回の税制優遇案に対して、主に二つの批判が寄せられています。一つは「高所得者優遇」、もう一つは「利権誘導」というものです。
「高所得者優遇」という批判は、税制優遇の具体的な手法として「所得控除」が選択肢に挙がっていることに起因します。所得控除は、課税所得から一定額を差し引くため、税率が高い人ほど減税額が大きくなるという性質があります。ベビーシッターや家事支援サービスを日常的に利用できる層は、一般的に所得が高い傾向にあるため、所得控除を導入した場合、結果として高所得者ほど大きな恩恵を受けることになります。この「逆進性」が二重にかかるという指摘は、感情論ではなく、制度設計上の問題として、音喜多氏もその妥当性を認めています。
また、「一部の人への優遇」という批判に対して、音喜多氏は現状の公費負担の偏りを指摘します。認可保育所には児童一人あたり相当額の公費が投入されていますが、認可保育所の開所時間外に預けざるを得ない人々や、待機児童となった人々が利用する認可外保育やベビーシッターサービスには、公的な支援がほとんど届いていないのが実情です。この現状を踏まえれば、新たな特権を作るのではなく、既存の公費支援の穴を埋めるものとして位置づけるべきだと、同氏は主張しています。
「利権誘導」という懸念については、今回の要望が「ベビーシッター」と「家事支援サービス」を同一視している点や、制度の対象を「国家資格の保有者によるサービス」などに絞る方向性が報じられていることに起因します。音喜多氏は、資格や認定を要件とすると、構造的に参入障壁が生まれ、認定を受けた事業者側に「レント」(超過利潤)が発生する可能性があることを指摘しています。安全性を担保することは重要ですが、そのために開放性を損なうことへの警鐘を鳴らしています。
音喜多氏の提言
「還付付き税額控除」で公平性を実現
こうした批判や懸念を踏まえ、音喜多氏は、ベビーシッターや家事支援サービス利用料への税制優遇は、「還付付き税額控除」によって行うべきだと提言しています。
税額控除は、納税額から一定額を直接差し引くため、所得水準に関わらず控除額が一定になります。これにより、所得控除で生じるような高所得者優遇の逆進性を回避できます。さらに、それを「還付付き」とすることで、納税額が控除額に満たない低所得世帯にも、税金が還付される形で恩恵が届くようになります。フランスが家事・育児関連サービスで採用している還付型税額控除の仕組みは、まさにこうした逆進性の回避を目的とした設計です。
また、カナダのように、育児費用の控除を所得の低い方の配偶者が申告するルールを設けることで、「高所得の夫が節税する制度」にならないよう工夫することも可能だと示唆しています。
音喜多氏が具体的に提言する制度設計の論点は以下の4点です。
1. 所得控除ではなく、還付付き税額控除とし、控除上限と所得制限を設けること。
2. 育児部分は「就労のための費用」、家事支援部分は「インフォーマルな雇用を申告される雇用に切り替える措置」として、それぞれ根拠を分けて説明すること。
3. 事業者要件を資格保有だけでなく、届出、事故報告義務、賠償保険加入などを軸とし、安全を担保しつつ、参入の裾野を広く保つこと。
4. 内閣府のベビーシッター割引券のような既存の支援策との関係を整理し、重複を防ぐこと。
実現に向けた課題と音喜多氏の決意
現在、この税制優遇案は経産省からの要望段階であり、年末の税制改正大綱にどこまで反映されるか、そして実際に制度として設計・実現されるかは、まだ不透明な状況です。音喜多氏は、こうした制度設計の論点について、政府・与党に対してしっかりと提起した上で、子育て世帯への真に公平で実効性のある税制改正につながるように、今後も働きかけていく決意を示しています。