2026-08-24 コメント投稿する ▼
ナフサ危機で休日返上半年 経産省技官・土屋博史氏が異例の昇格
米国・イスラエルによるイランへの攻撃に伴うホルムズ海峡封鎖で深刻なナフサ不足に直面した日本で、経済産業省がその危機対応を反映した人事異動を断行しました。プラスチックや化学製品の原料ナフサの調達支援に休日返上で半年近く取り組んだ素材産業課長の土屋博史氏(1998年入省・東大大学院工学系)が製造産業局総務課長に昇格しました。通常は事務官が担うポストへの技官の起用は異例で、省内では「その労に報いた」と受け止められています。今夏の人事は藤木俊光事務次官続投を軸に、将来の片岡宏一郎体制への移行を見据えた布石ともなっています。
ホルムズ海峡封鎖がもたらしたナフサ危機と経産省の総力対応
2026年2月28日、米国・イスラエルによるイランへの攻撃を端緒に、世界の原油海上輸送量の約2割を担うホルムズ海峡が事実上封鎖されました。日本の原油輸入の約9割がこの海峡を経由するため、プラスチックや化学製品の基礎原料であるナフサの調達が一気に困難になりました。
経済産業省は国家備蓄原油の放出や米国・アルジェリア・ペルーなど非中東産地からの代替調達を急ぎ、赤澤亮正経済産業大臣のもとで各省庁と連携しながら流通の「目詰まり解消」に全力を挙げてきました。重油やシンナー、酸化エチレンなど各種化学品の流通が滞る「目詰まり」が各地で発生し、関係省庁と連携して個別の供給要請に一つひとつ対応しました。
ナフサ価格は2026年1月~3月の1キロリットル当たり約6万5700円から、4月には約10万1000円台に急騰しました。自動車部品・建材・医療機器・食品包装に至るまであらゆる産業に影響が及び、物価上昇という形で国民の生活を直撃しています。
製造産業局を3年率いた伊吹英明局長の功績
製造産業局長として3年間にわたって指揮を執ってきた伊吹英明氏(1991年入省)が今夏の人事で退任しました。関税交渉で自動車メーカーなどと連携してきたほか、ナフサ・プラスチック不足の「目詰まり対策」では冷静な判断で現場を支え、若手職員から高く評価されていました。
「人海戦術で乗り切ったが、素材産業を所管する伊吹氏の冷静さに救われた」(若手)という声が残るほど、危機対応における存在感は大きなものでした。穏やかな人柄で中小企業からも丁寧に意見を聴く姿勢が、中堅・若手の支持を集めてきました。
局内の人事にも気を配り、同局総務課長の玉井優子氏(1999年入省)を会計課長に昇格させました。「本省で2人目の女性局長にまた一歩近づいた」(秘書課長経験者)と期待を集めています。
「技官の昇格は稀」 土屋博史氏の異例の抜擢が示すもの
後任の総務課長に抜擢されたのが、素材産業課長の土屋博史氏(1998年入省)です。東大大学院工学系修了の技官として入省した土屋氏が製造産業局総務課長に起用されたことは、省内で「異例」と受け止められています。
こうした人事について、SNS上でも様々な声が上がっています。
「ナフサ危機で休日返上で動いた若手官僚が昇格、これは当然の評価だよ」
「省庁でも技官が正当に評価される時代になってほしい、今回は良い前例だ」
「ホルムズ封鎖からずっと現場対応してた経産省の人たちの苦労を知ってほしい」
「ナフサ高騰で物価が上がって消費者は苦しいのに、もっと対策が見えてほしい」
「イラン危機で国のエネルギー依存体質が露わになった。根本的な改革が必要だ」
大臣官房や各局の総務課長は通常、事務官の中から厳しく選抜されており、技官出身者の起用は異例です。省内では「ナフサ対策に半年近く打ち込んできた。その労に報いたのだろう」(有力課長)との見方が広がっています。イラン攻撃以降、休日をすべて返上してナフサ・エチレンの生産流通支援に当たってきた土屋氏への評価が、形として示された格好です。
次世代リーダー群と経産省の今後 「片岡体制への助走」始まる
今夏の人事は、藤木俊光事務次官(1988年入省)の続投を軸に、次年度以降の「片岡宏一郎氏(1992年入省)へのバトンタッチに向けた助走」(有力課長)と省内ではみられています。
次世代のリーダーとして注目を集めているのが、石破茂前首相の首相秘書官として官邸の政策立案過程を熟知する井上博雄氏(1994年入省)と、経済安全保障の草分けとして知られ現在も首相秘書官を務める香山弘文氏(1995年入省)です。
今回のホルムズ危機は、日本の中東依存構造の脆弱さを改めて露わにしました。次世代リーダーには、エネルギーの多角的調達や国内石化産業の強靭化に加え、危機下の最前線で奮闘した現場人材をいかに正当に評価・登用するかという課題が課されています。
まとめ
- 2026年2月28日のイラン攻撃に端を発するホルムズ海峡封鎖で、日本のナフサ調達が深刻な打撃を受けた。ナフサ価格は4月に前期比約1.5倍に急騰。
- 経産省は国家備蓄放出と非中東産地からの代替調達を急ぐとともに、赤澤亮正大臣のもとで「流通目詰まり」の解消に全力を挙げた。
- 製造産業局の伊吹英明局長(1991年入省)が3年間の任期を終えて退任。危機対応での冷静な指揮が評価されていた。
- 後任の総務課長に、素材産業課長としてイラン攻撃以降の半年近く休日返上で対応した技官の土屋博史氏(1998年入省)が昇格。技官出身者の起用は異例。
- 総務課長だった玉井優子氏(1999年入省)は会計課長に昇格。本省での女性局長就任に向けた布石とも目される。
- 藤木俊光事務次官(1988年入省)は続投。来年以降、片岡宏一郎氏(1992年入省)への交代が確実視されており、今夏の人事はその助走となった。