2026-05-24 コメント投稿する ▼
外務省HP「南京事件」記述の核心:『組織的虐殺』否定の根拠文書に注目集まる
「戦史叢書」の記述は、中国側が主張するような大規模かつ組織的な「大虐殺」があったという見解には、事実上の否定とも取れる内容を含んでいます。 歴史認識問題研究会は、外務省HPの記述が、あたかも「戦史叢書」全体が中国側の主張を肯定するかのように誤解を招きかねない点を問題視しているのです。
外務省HPの記述とその根拠
現在、外務省のHPには、「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」との記述があります。この記述の根拠について、林芳正外務大臣(当時)は2023年4月の参議院決算委員会で、防衛庁(当時)防衛研修所戦史室が1975年に出版した戦史叢書『支那事変陸軍作戦』第1巻を挙げ、「該当する記述がある」と答弁していました。
この「戦史叢書」における南京事件に関する記述は、興味深い内容を含んでいます。そこでは、方面軍司令官が軍紀風紀の厳守を指導していたにもかかわらず、「遺憾ながら略奪、婦女暴行、放火等の事犯が頻発した」と記されています。そして、これらの事犯に対して軍は法に基づき厳重な処分を行った、とも述べられています。
一方で、「戦史叢書」は、南京で開かれた国民政府国防部審判戦犯軍事法廷(南京軍事法廷)が認定した「集団殺害19万人以上、被害総数30万人以上」といった数字に対しては、「証拠を仔細に検討すると、これらの数字は全く信じられない」と、その信憑性を強く疑問視しています。
さらに、「戦史叢書」は、南京事件が史実として取り上げられた背景について、「若干の事実があったからで、誤解、曲解、誇大宣伝されたためであろう」と分析しています。そして、南京付近の死体の大半は戦闘行動の結果であるとし、「計画的組織的な『虐殺』とは言いがたい」と結論づけているのです。
「組織的虐殺」の否定と「遺憾」の表明
「戦史叢書」の記述は、中国側が主張するような大規模かつ組織的な「大虐殺」があったという見解には、事実上の否定とも取れる内容を含んでいます。しかし、同時に「たとえ少数であったとしても無辜の住民が殺傷され、捕虜の処遇に適切を欠いたことは遺憾である」とも明記されています。
この点は、旧日本軍による一部の不法行為や規律違反があったことを認めつつも、それが「組織的虐殺」とは異なる性質のものであったことを示唆していると解釈できます。歴史認識問題研究会は、外務省HPの記述が、あたかも「戦史叢書」全体が中国側の主張を肯定するかのように誤解を招きかねない点を問題視しているのです。
国会議員からの懸念と提言
シンポジウムには、保守系の国会議員も複数出席し、活発な意見交換が行われました。参政党の和田政宗衆議院議員は、2023年の国会質問でのやり取りを振り返り、「住民が巻き添えになった、あるいは捕虜が暴れてやむなく撃ったという記述はあるが、一般住民を意図的に虐殺したとの記述は(『戦史叢書』には)ない」と指摘しました。そして、「中国側は『外務省HPに書いてある』と主張している。おおもとの記述を変えさせなければならない」と述べ、外務省HPの記述の正確な位置づけを明確にすることの重要性を訴えました。
日本維新の会の石平参議院議員は、「南京大虐殺はなかったと確信している」と断言しました。中国で生まれ育った自身の経験から、もしそのような大事件があれば、中国共産党が教育で教えないはずがない、と語りました。さらに、石氏は、この問題が単なる歴史認識にとどまらず、国防の問題でもあると警鐘を鳴らしました。中国では徹底した教育により多くの国民が「南京大虐殺」を信じており、もし将来、中国が日本のどこかを占領した場合、南京での出来事が正当化され、同様の大虐殺が行われる危険性すらある、との危機感を示しました。
自民党の山田宏参議院議員は、南京攻略戦後、国民党政府が毎日のように記者会見を行っていたにもかかわらず、南京事件への言及がなかった点を指摘し、「中国の『嘘』に国際社会がだまされている」と述べ、世界に向けて中国の主張の誤りを発信する体制の構築を求めました。自民党の高木啓衆議院議員も、「歴史認識の問題は少しずつ修正していくことが大事だ」と述べ、地道な取り組みの必要性を強調しました。
今後の見通しと課題
歴史認識問題研究会の西岡力会長は、「政府文書でいわゆる南京事件を調査したのは『戦史叢書』が唯一」と述べ、この文書の内容を外務省HPに「注」として全文掲載することを強く提唱しました。これは、旧日本軍に一部犯罪行為があったことは認めつつも、それが軍紀に基づき厳正に処罰された経緯を含め、より正確な情報を提供しようとする試みと言えます。
中国の習近平国家主席が歴史問題を、日本に対する政治的なカードとして利用しようとしているとの指摘もあります。こうした状況下で、歴史認識問題の正確な構造を明らかにし、日本の独立と国益を守っていくためには、粘り強い情報発信と、正確な歴史理解の普及が不可欠です。西岡会長が言うように、この問題への取り組みは「匍匐前進」かもしれませんが、着実な一歩を踏み出すことが求められています。外務省HPの記述に対する「注釈」追加の提案は、その一歩となる可能性を秘めています。