2026-05-13 コメント投稿する ▼
再エネ活用で地域を守れ|岩渕友議員が参院調査会でエネルギー地産地消の未来を問う
参議院資源エネルギー・持続可能社会調査会は2026年5月13日、エネルギー安全保障をテーマに参考人質疑を行いました。日本共産党の岩渕友議員が、中小水力発電など国内の地域資源を活用したエネルギーの地域内経済循環について専門家に見解を求めました。日本総合研究所の瀧口信一郎シニアスペシャリストはドイツの自治体公社モデル「シュタットベルケ」を参照し、地域主体でエネルギーを管理することが地域経済の活性化に直結すると強調しました。早稲田大学の所千晴教授は、地球環境の限界を見据えたサーキュラーエコノミー(循環経済)の重要性と課題を訴えました。エネルギーを「外に出さない」仕組みづくりが、地方再生の鍵となり得ることが改めて示されました。
参院調査会で「地域エネルギー循環」が焦点に
参議院資源エネルギー・持続可能社会調査会は2026年5月13日、「国際情勢の変化とエネルギー安全保障の確立、持続可能社会の実現」をテーマに参考人質疑を実施しました。
質疑に立ったのは、日本共産党(共産党)の岩渕友議員です。岩渕氏は、中小水力発電を含む「山の国内資源」の活用が、日本のエネルギー政策にとって今こそ重要だと主張しました。
岩渕氏は参考人として招かれた日本総合研究所創発戦略センターの瀧口信一郎シニアスペシャリストに、エネルギーの地域内経済循環についての見解を求めました。
地域の川や山を使って発電しているのに、電気代はちっとも下がらない。利益を地元に戻す仕組みが絶対に必要だ
瀧口氏は2011年の東日本大震災後にドイツを視察した際、「シュタットベルケ」と呼ばれる自治体出資の公社が地域の電力・ガス・水道などを一体的に運営し、地域経済を支えている実態を学んだと説明しました。
瀧口氏は「エネルギー費用が外部に流出している状況から、地域主体で取り組むことにより、地域内の経済循環のきっかけになり、非常にプラスになると確信している」と強調しました。
ドイツ「シュタットベルケ」に学ぶ地域主導のエネルギー管理
シュタットベルケとは、ドイツ語で「都市公社」を意味し、自治体が出資して設立する公益的な事業体です。電力・ガス・熱供給・上下水道・ごみ処理・公共交通など、複数の公益サービスを一体的に運営することが特徴です。
ドイツ全土には約1,400社のシュタットベルケが存在し、電力小売り市場での占有率は約60%に達します。儲かる事業で得た収益を、公共交通など赤字になりやすい分野に補填することで、地域全体の生活インフラを維持する仕組みが成立しています。
再エネで発電しても、収益が大企業や都市に流れるだけでは地方は報われない。お金の流れを変えなければ地域は疲弊する一方だ
瀧口氏が着目したのは、このモデルが日本の地方が抱える「エネルギー費用の域外流出」という問題を解決するヒントになるという点です。現在、日本の多くの地域では、電気代として支払ったお金が大都市や海外の化石燃料輸入に流出し、地域内にとどまらない構造になっています。
エネルギーの地域内経済循環を実現するためには、地域の再生可能エネルギーを地域主体で管理し、収益を地域に還元する仕組みが不可欠です。日本でも、長野県飯田市や鹿児島県薩摩川内市などが再エネと地域金融を結びつけた「エネルギー地産地消モデル」の先進事例として注目されています。
中小水力発電が持つ可能性と「山の国内資源」の活用
岩渕氏が特に強調したのが、中小水力発電を含む「山の国内資源」の活用です。日本は急峻な地形と豊富な降水量に恵まれており、水力発電に適した地点が全国各地に残っています。
現在の日本の電源構成では、水力全体で約7.9%を占めていますが、1,000kW(キロワット)以下の小水力発電はいまだ本格的な普及が進んでいません。未開発地点の約6割が3MW(メガワット)未満の小規模なものであり、地域レベルで取り組めるポテンシャルが広く残されています。
課題も少なくありません。円安・インフレ・人材不足による設備費の高騰が事業の採算性を圧迫しており、地元との調整や関係法令の手続きに長い時間がかかることも普及の妨げとなっています。
水力発電って古いイメージがあったけど、地元の川を使って地元に収益が残るなら、これほど理にかなった話はないと思う
政府は2026年度以降の中小水力発電の調達価格・基準価格のあり方について引き続き検討を進めています。地域資源を活かしたエネルギー自給の仕組みを整えることが、エネルギー安全保障と地方創生の両立につながると専門家は指摘しています。
サーキュラーエコノミーが問いかける「地球の限界」
参考人として出席したもう一人の有識者、早稲田大学理工学術院の所千晴教授は、エネルギー問題をより広い視野から提起しました。所氏は「このまま人類がやみくもに汚してしまえば地球が悲鳴を上げるという警鐘が鳴らされるようになった」と述べ、一方通行的な資源消費を続けることへの危機感を示しました。
所氏が訴えたのは、サーキュラーエコノミー(循環経済)の重要性です。これは、廃棄物をできる限り再び資源として使うことで、経済的価値と環境保全を同時に実現しようとする考え方です。従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」という使い捨て型の経済モデルから脱却することが求められています。
地球の資源は有限なのに、使い捨てを続けてきた。サーキュラーエコノミーは理想論じゃなく、もはや生存戦略だと思う
政府は2024年12月に「循環経済への移行加速化パッケージ」を閣議決定し、2026年度までにバリューチェーン(製品が作られてから消費者に届くまでの一連の流れ)の循環性指標を整備する方針を示しています。エネルギーの地域内循環と資源の循環利用という二つの「循環」が、持続可能な社会への道筋として議論の核心に据えられています。
まとめ
- 参議院資源エネルギー・持続可能社会調査会が2026年5月13日に参考人質疑を実施
- 共産党の岩渕友議員が中小水力発電など地域資源を活かしたエネルギー地産地消を主張
- 日本総研の瀧口信一郎氏がドイツ・シュタットベルケモデルを参照し、エネルギー収益の地域内循環が地方経済活性化の鍵になると強調
- 日本の電気代の多くが大都市・海外へ流出する構造的問題が改めて浮き彫りに
- 早稲田大学の所千晴教授がサーキュラーエコノミー(循環経済)の重要性と課題を提起
- 政府は2026年度以降の中小水力発電の価格制度や循環経済指標の整備を継続検討中