病床削減で地方医療は危機か――松代病院と地域医療の行方

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病床削減で地方医療は危機か――松代病院と地域医療の行方

新潟県十日町市にある公立病院、新潟県立松代病院(以下、松代病院)は、2025年10月に開催された地域医療構想調整会議で、来年4月から入院病床をすべて廃止し、無床診療所に転換する方針が合意されました。 県側によると、松代病院の入院機能廃止の背景には経営赤字があります。 田村氏は、松代病院のような病床削減は、医療と介護の連携を掲げた地域医療構想の理念そのものを破壊する行為だと訴えました。

病床削減で地方医療に危機の兆し 日本共産党 田村貴昭氏が医療法改定案を厳しく批判

地域医療構想見直しと病床削減の現状


衆院厚生労働委員会は2025年11月21日、入院・外来・在宅医療・介護の連携を強める目的で打ち出された医療法改定案についての質疑を行いました。改定案は、いわゆる「地域医療構想」の見直しを通じて、地域の医療・介護の提供形態を再編する内容を含みます。
こうした再編の中、特に公立病院の経営が厳しい地域では、入院病床の削減や統廃合が進んでいます。

松代病院の無床診療所化―新潟・十日町の事例


新潟県十日町市にある公立病院、新潟県立松代病院(以下、松代病院)は、2025年10月に開催された地域医療構想調整会議で、来年4月から入院病床をすべて廃止し、無床診療所に転換する方針が合意されました。

現在39床ある入院機能は廃止され、入院患者は同市内の新潟県立十日町病院に集約されます。県側は「急性期施設の集約と回復期の拡充により、医療体制の効率化を図る」と説明しています。十日町病院では急性期病棟を削減しながらも、回復期病棟を拡充し、回復期病床数が58床から116床になる予定です。

県側によると、松代病院の入院機能廃止の背景には経営赤字があります。2024年度には経営損益の黒字化に至らず、県立病院全体の経営悪化が重荷となったようです。

田村貴昭議員の指摘 ―「介護・医療の連携」を壊す危険性


このような医療再編に対し、田村貴昭議員(日本共産党)は強く反対しています。田村氏は、松代病院のような病床削減は、医療と介護の連携を掲げた地域医療構想の理念そのものを破壊する行為だと訴えました。松代病院は、地域の保健師やケアマネジャーと密接に連携し、高齢者の入院から在宅復帰までを支えてきた存在だったからです。

田村氏は、今回の診療報酬改定の抑制が経営悪化の一因としてあると指摘し、各地で同様の事態が広がれば「日本全体で大変な状況が生まれる」と警鐘を鳴らしました。

政府側の対応 ― 補正予算と支援パッケージで何を守るか


一方で、厚生労働省を代表する上野賢一郎厚労相は、医療・介護を切れ目なく支えるための「医療介護等支援パッケージ」を緊急措置で講じ、補正予算でも対応を図ると答えました。これは、病床削減による地域医療の空洞化を防ぎたいとの意図と受け止められます。

しかし、議論では「補助では限界」「根本的には病院の経営構造と報酬制度の見直しが必要」といった意見も少なくありません。

地方の実態と制度の整合性 ― 医療の地盤沈下の懸念


地方では人口減少と高齢化が進み、医療ニーズの構造も変化しています。ただ、地域医療のなかで重要なのは「入院できる場所があるか」「退院後の介護や在宅支援があるか」です。急性期医療や救急対応だけでなく、慢性疾患や高齢者医療に対応する柔軟な体制が求められます。

統廃合や病床削減を行う際、行政はコスト削減と効率化を強調します。しかし現場では、地理的なアクセスが難しい地域、高齢で移動手段が限られる人、医療と介護の連携が必要な人たちが取り残されるリスクがあります。松代病院の入院機能廃止に対し、約1万6000人分、地域住民の7割にあたる署名が集まったのは、こうした懸念の現れです。

制度は「医療・介護の連携」を名目としますが、実際の再編が「病床減らし」「施設削減」に偏れば、理念とは逆方向に進む可能性があります。

今後の課題 ― 真の地域医療とは何かを問う時


国としては、医療費の抑制や行政コストの削減も無視できない事情があります。しかし、医療や介護は「コスト」ではなく「命と暮らしの基盤」です。現在の制度見直しや再編が「効率化の名の下で命の受け皿を減らす」ことになっていないか、慎重かつ厳しい検証が必要だと考えます。特に、地方の過疎地・高齢化地域の事情を無視した施策は、地域医療の崩壊につながりかねません。

今後は、病床削減や再編を進めるにあたって、財政支援だけでなく、住民の実態を踏まえた医療アクセスの確保、介護・在宅支援の充実、交通や移動手段を含めた地域の実情を反映させる方策が不可欠です。

以上のように、松代病院の無床診療所化は、単なる病院再編の一例ではなく、日本全国で進む医療法改定と地域医療構想の見直しが、どのように地域の暮らしと医療の命綱に影響を及ぼすかを示す重要な分岐点となっています。

病床削減や効率化だけではなく、理念と住民の暮らしを守る医療制度のあり方を、社会全体で問い直す必要があります。

病床削減で地域医療が壊れる――国の医療再編策を今、一歩立ち止まって見るべきです。

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2025-11-30 10:21:01(S.ジジェク)

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