2026-07-22 コメント投稿する ▼
成田空港C滑走路、強制収用手続きへ 金子国交相「B滑走路とは別」
金子恭之国土交通相は、成田空港の機能強化計画におけるC滑走路建設用地の未買収地について、土地収用法に基づく強制収用手続きが進められることに関し、過去の「強制的手段放棄」の合意は「現在のB滑走路」が対象であり、C滑走路は含まれないとの認識を示しました。 一方で、金子国交相は、C滑走路の土地収用法手続きを進めるNAAに対し、「空港会社は住民に真摯に向き合うべきだ」と強く促しました。
成田空港問題の歴史
成田空港の建設を巡っては、かつて激しい反対運動、いわゆる「成田闘争」が繰り広げられました。その混乱を経て、1994年に開かれた「成田空港問題円卓会議」において、国や空港会社、反対派などが一堂に会し、「強制的手段が用いられてはならない」という原則で合意に至ったのです。この合意は、空港問題解決に向けた「話し合い路線」の象徴として、その後の空港整備の根幹となってきました。
金子国交相は、この円卓会議の合意について、あくまで「現在運用されているB滑走路」に関するものであり、その解決はあくまで話し合いによってなされなければならないという認識を強調しました。2004年に供用が開始されたB滑走路は、この「話し合い路線」の成果とも言えるでしょう。しかし、空港機能のさらなる強化を目指す中で、新たな課題が浮上しています。
C滑走路の建設と手続き
現在、成田国際空港会社(NAA)は、B滑走路の延伸と新たにC滑走路を新設する工事を進めています。ところが、このC滑走路の建設予定地には、依然として土地の買収が完了していない区域が残されています。この未買収地の問題を解決するため、NAAや国土交通省、千葉県、そして空港周辺の自治体の首長らが参加する「4者協議会」は、2026年7月10日、NAAが土地収用法に基づく手続きを進めることで合意しました。
土地収用法の手続きが進められれば、原則として、これまで話し合いで解決が図られてきた土地問題に対し、行政が強制的に土地を収用することが可能となります。これは、空港の将来的な機能強化に不可欠なインフラ整備を進める上で、避けられない判断だったとも言えるでしょう。しかし、過去の経緯を顧みれば、この手続きの開始は、地域住民との新たな火種となる可能性もはらんでいます。
金子国交相の発言と地域への配慮
今回の国会答弁で、金子国交相は、強制収用手続きの対象となるC滑走路について、過去の「強制的手段放棄」の合意からは対象外であるとの認識を明確にしました。これは、B滑走路とC滑走路の扱いを区別し、過去の合意を尊重する姿勢を示したものと受け止められます。B滑走路については、あくまで話し合いによる解決が原則であるという立場を改めて確認した形です。
一方で、金子国交相は、C滑走路の土地収用法手続きを進めるNAAに対し、「空港会社は住民に真摯に向き合うべきだ」と強く促しました。これは、手続きを進めるにあたって、地元の理解を丁寧に得ることの重要性を訴えたものです。畑野君枝議員(共産党)からの「地元とは誰か」という問いに対して、金子国交相は4者協議会を挙げつつも、「住民全般の声に真摯に向き合いながら」空港機能強化を進めるべきだと述べ、単に協議会だけでなく、より広範な住民への配慮を求めました。
そもそも、金子国交相は2026年4月にもNAAに対し、地元の理解を丁寧に得るよう求めていました。今回の答弁は、その方針を一貫して堅持する姿勢を示したものと言えるでしょう。空港機能の強化は、経済活動の活性化や国際競争力の維持に不可欠ですが、その過程で地域住民との軋轢が生じることは、決して望ましい状況ではありません。
今後の展望:地域共生と機能強化の両立
成田空港のC滑走路を巡る土地収用法手続きの合意は、空港機能強化に向けた大きな一歩であると同時に、地域住民との関係において慎重な対応が求められる局面を迎えたことを示しています。NAAは、過去の円卓会議での合意を踏まえつつ、C滑走路建設についても、住民一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、丁寧な対話を重ねていくことが不可欠です。
空港のさらなる発展と地域社会との調和をいかに両立させていくのか。それは、NAAだけでなく、国、千葉県、そして周辺自治体も共有すべき課題と言えるでしょう。「話し合い路線」の原則を守りながら、いかにして具体的なインフラ整備を進めていくのか。金子国交相が示した「住民に真摯に向き合う」という言葉の重みを、関係者全員が改めて認識し、具体的な行動で示していくことが求められています。今後のNAAの対応、そして住民との対話の行方が注目されます。
まとめ
- 金子恭之国土交通相は、成田空港のC滑走路建設用地について、土地収用法に基づく強制収用手続きが進むことを認めました。
- しかし、過去の「強制的手段放棄」の合意はB滑走路が対象であり、C滑走路は含まれないとの認識を示しました。
- 国交相はNAAに対し、C滑走路建設にあたり「住民に真摯に向き合う」よう求めました。
- NAAはB滑走路延伸とC滑走路新設を進めていますが、C滑走路には未買収地が残っています。
- 4者協議会は、NAAが土地収用法の手続きを進めることで合意していました。
- 成田空港問題は、激しい反対運動を経て「話し合い路線」が原則となってきた経緯があります。
- 空港機能強化と地域住民との共生という、難しい課題への対応が今後も求められます。