2026-09-06 コメント投稿する ▼
衛星コンステレーション100基以上へ、TEL探知で反撃能力高める
政府は、長射程ミサイルによる「反撃能力」の実効性を高めるため、多数の人工衛星を連携させて目標を探知・追尾する「衛星コンステレーション」を100基以上の体制に増強する方向で検討に入ったことが2026年8月31日に明らかになりました。現行計画では数十基体制を想定していましたが、次期計画において大幅な増強を行い、中国・北朝鮮などが多数運用する移動式ミサイル発射台(TEL)の探知能力を抜本的に向上させます。年内に改定する安全保障3文書に方向性が明記される予定です。関連経費は現行計画の2倍以上に拡充される見通しで、国内の宇宙産業振興にもつなげる「防衛と経済の好循環」を目指します。
現行計画では数十基体制を想定していましたが、次期計画において大幅な増強を行い、中国・北朝鮮などが多数運用する移動式ミサイル発射台(TEL)の探知能力を抜本的に向上させます。年内に改定する安全保障3文書に方向性を明記する予定です。
衛星コンステレーションとは何か 防衛に不可欠な「宇宙からの目」の仕組み
衛星コンステレーションとは、同一の軌道上に多数の小型人工衛星を打ち上げ、一体的に運用する仕組みです。高度2000キロメートル以下の低軌道に多数を配置することで、地球上のあらゆる地点を頻繁かつ継続的に監視することができます。
防衛省の計画では、解像度の高い光学衛星と、夜間や曇天でも対応可能な合成開口レーダー(SAR)衛星を組み合わせて情報収集を行います。光学衛星は昼間に可視光で撮影し、SARは電波の反射を観測するため悪天候・夜間でも使用できます。この2種類を組み合わせることで、24時間・365日の継続的な監視体制が実現します。
国家の安全保障のために宇宙をどんどん活用してほしいです。衛星100基以上というのは心強い取り組みだと思います
100基以上に増強する検討 現行計画の2倍超の経費を見込む次期計画の全容
現行計画では、2027年度末までに衛星数十基体制による監視網を構築し、2030年度末まで運用する予定です。2026年2月19日、防衛省は三菱電機・スカパーJSAT・三井物産が設立した特別目的会社「トライサット・コンステレーション」と、約2831億円の事業契約を締結済みです。Synspective、QPS研究所、アクセルスペースなど国内の宇宙スタートアップ企業も協力企業として参画しています。
今回新たに検討されている100基以上体制は、2031年度以降の次期計画として実現を目指すものです。関連経費は現行計画の2倍以上に拡充する方向で調整が進んでいます。2026年8月31日に公表された令和9年度概算要求では、宇宙分野が重視する9項目のひとつに位置づけられました。
日本の宇宙スタートアップが防衛省の大規模事業に参画できるのは、業界全体にとっても大きなチャンスですね
反撃能力の「目」としての役割 TEL探知から極超音速兵器への対応まで
衛星コンステレーションの増強が急がれる最大の理由は、「反撃能力」の実効性向上です。射程1000キロメートル超の25式地対艦誘導弾(熊本県配備済み)や、トマホーク巡航ミサイルを実射できるイージス艦「ちょうかい」は8月末に改修を終え長崎県に帰港しました。しかしこれら長射程ミサイルは、目標を正確に特定できなければ意味をなしません。
移動式発射台(TEL)の探知こそが反撃能力の最大の課題です。中国や北朝鮮は多数のTELを運用しており、地上のレーダーや偵察機だけでは発射前の正確な位置を把握することが極めて困難です。衛星コンステレーションを100基以上に増強することで、TELの移動を継続的に追跡し、発射前の段階で把握する能力を大幅に向上させます。
中国や北朝鮮のミサイル発射台がどこにあるか特定できなければ、長射程ミサイルを持っていても意味がない。宇宙からの監視強化は絶対に必要だと思います
また、防衛省は中国やロシアが開発を進める「極超音速滑空兵器(HGV)」の探知・追尾に向けた観測網の整備も並行して目指しています。HGVは通常のミサイルより速く飛行経路が予測しにくいため従来の防衛システムでは対応が困難で、衛星コンステレーションによる赤外線観測ネットワークの構築が対策として検討されています。
防衛と経済の好循環 国内企業参画とPFI方式が生む宇宙産業振興
衛星網の増強は現行計画と同様、国内の民間企業が保有・運用する衛星を活用するPFI方式で進められます。画像撮影の優先権は防衛省が持ちますが、余力がある場合は別の企業などへの画像販売も認められます。防衛省幹部は「防衛と経済の好循環」と表現しており、防衛目的の需要が国内宇宙産業の育成につながるとしています。
防衛目的の衛星ビジネスが宇宙スタートアップの育成につながる仕組みは良い発想だと思います。成果を国民に分かりやすく報告してほしいです
警戒管制レーダーが少ない太平洋側の防衛体制強化にもこの衛星監視網は役立てられる予定です。日本が自前の衛星網を構築することで、当面は米軍の衛星情報に頼る部分を補いながら、自律した防衛情報収集能力を持つことが急務となっています。
自前の衛星網を持てれば、アメリカの情報に頼るだけでなく自国で判断できる防衛体制が整う。主体的な安全保障への第一歩だと思います
まとめ
・政府は衛星コンステレーションを数十基から100基以上に増強する方向で検討に入った(2026年8月31日)。
・100基以上体制は2031年度以降の次期計画で実現を目指す。関連経費は現行計画の2倍以上を見込む。
・主な目的はTEL(移動式発射台)の探知能力向上と「反撃能力」の実効性向上。中国・北朝鮮のTEL多数運用が課題。
・現行計画では三菱電機・スカパーJSAT・三井物産SPC「トライサット・コンステレーション」と約2831億円で契約済み(2031年度末まで)。
・PFI方式で国内民間企業が保有・運用し、余剰画像を他企業に販売可能。「防衛と経済の好循環」を目指す。
・防衛省は極超音速滑空兵器(HGV)の探知・追尾観測網の整備も並行して検討している。