「国産AI」に固執しない日本の選択肢:塩崎彰久氏が語る「AI主権」戦略

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「国産AI」に固執しない日本の選択肢:塩崎彰久氏が語る「AI主権」戦略

では、塩崎氏が提唱する「AI主権」とは、具体的に何を意味するのでしょうか。 このような事態を防ぐため、塩崎氏は「全面的な国産主義に固執するのではなく、AI技術を自国でコントロールできる能力を確保すること、すなわち『AI主権』を目指すべきだ」と主張します。

人工知能(AI)技術の急速な発展が、社会のあり方を根底から変えようとしています。米国や中国といった巨大な技術覇権国がしのぎを削る中、日本はどのような戦略でAI時代を生き抜くべきなのでしょうか。自民党の「AI・web3小委員会」事務局長を務める塩崎彰久衆院議員は、従来の「国産技術」へのこだわりから一歩進み、「AI主権」の確立こそが日本の取るべき道だと提言します。同党がこのほどまとめたAI政策に関する政府への提言「AIホワイトペーパー2.0」について、塩崎氏に聞きました。

AI進化の加速と国際競争の現実


塩崎氏によると、AI政策を巡る議論はわずか1年で大きく変化しました。2023年当時は、米OpenAI社の「ChatGPT(チャットGPT)」が登場し、社会に驚きをもたらしていた時期でした。当時の認識は、「AIを恐れるのではなく、まずは活用しよう」というものでした。

しかし、AI技術の進化は想像を超えるスピードで進んでいます。塩崎氏は、「2025年後半には、AIが一定の目標を与えられれば、自ら段取りを考え、実行に移す『エージェントAI』の時代が到来する」と指摘します。これは、単に質問に答えるだけでなく、自律的にタスクをこなすAIであり、社会への影響力はこれまでの比ではありません。
このようなAIの進化は、私たちの生活、経済、そして安全保障にまで大きな影響を及ぼします。AIを適切にコントロールし、その恩恵を最大限に享受するためには、単なる技術開発にとどまらず、それを支える「ルール(法律や制度)」や、AIを使いこなすための「利用者のリテラシー(能力や判断力)」が不可欠であると、提言では位置づけられています。

「AI主権」が意味するもの


では、塩崎氏が提唱する「AI主権」とは、具体的に何を意味するのでしょうか。それは、AIの基盤となる技術、特に大規模言語モデル(LLM)などの開発競争において、米国や中国が圧倒的な先行をしている現状を踏まえた戦略です。

「日本が全てのAI技術を国産でまかなうことは、現実的に困難です」と塩崎氏は述べます。莫大な開発資金や優秀な人材を確保し、世界最先端の技術をゼロから開発し続けるのは容易ではありません。

しかし、AI技術を他国、特に巨大IT企業が支配する技術に過度に依存することは、深刻な「経済安全保障上のリスク」をはらんでいます。例えば、重要なインフラや社会システムが、海外のAIプラットフォームなしには機能しなくなった場合、その国の自律性は大きく損なわれます。サイバー攻撃や、国際情勢の変化によって、AIサービスが突然利用できなくなる可能性も否定できません。

このような事態を防ぐため、塩崎氏は「全面的な国産主義に固執するのではなく、AI技術を自国でコントロールできる能力を確保すること、すなわち『AI主権』を目指すべきだ」と主張します。

現実的なアプローチとしての「AI主権」


「AI主権」の考え方は、AI開発における日本の立ち位置を再定義しようとするものです。それは、他国の技術を単純に模倣するのではなく、国際協調やオープンソースの活用なども視野に入れつつ、日本が主体的にAI技術とその利用に関与していくことを目指します。

具体的には、自国で開発されたAIモデルの利用促進はもちろんのこと、海外の優れたAI技術であっても、その仕組みやデータ、リスクなどを理解し、自国にとって安全保障上、あるいは経済的に問題のない範囲で、主体的に活用・管理できる能力を培うということです。

この「AI主権」を確保するためには、先述した「技術的制御」「ルール」「リテラシー」の三つの要素が重要になります。技術面では、基盤モデル開発への支援だけでなく、特定の分野に特化したAIや、既存技術をうまく組み合わせる応用力の強化も含まれるでしょう。法制度面では、AI開発や利用に関するルール作りを進め、倫理的な問題や著作権侵害、偽情報への対策などを整備する必要があります。さらに、国民一人ひとりがAIの特性やリスクを理解し、適切に使いこなせるような教育や啓発活動も欠かせません。

AI政策の司令塔、政府への提言


塩崎氏らがまとめた「AIホワイトペーパー2.0」では、これらの課題に対応するため、政府に対して具体的な提言を行っています。その一つが、AI政策を総合的に推進する「司令塔」を政府内に設置することです。

現在、AIに関する政策は複数の省庁にまたがっており、縦割りの弊害が生じやすい状況にあります。AIの急速な進化と広範な影響力を考慮すれば、省庁横断的な政策立案と実行体制を構築することが急務です。

また、デジタル庁の権限強化や機能拡充も視野に入れています。デジタル庁は、国のデジタル化を推進する中核組織であり、AI政策においてもその役割は大きいと考えられます。

塩崎氏は、「AIは、良くも悪くも社会を大きく変える力を持っています。その力を最大限に活かし、リスクを最小限に抑えるためには、政府が明確なビジョンを持ち、戦略的に政策を推進していく必要があります」と強調します。

「AI主権」の確立は、単なる技術開発競争への参加ではなく、AIという強力なツールを、日本の国益と国民生活の向上に資するように、主体的に使いこなし、管理していくための国家戦略なのです。この提言が、今後の日本のAI政策の議論にどのような影響を与えるのか、注目されます。

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2026-05-23 10:23:24(さかもと)

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