赤澤経済再生相が日米通商交渉を主導　関税撤廃へ“ゆっくり急ぐ”外交戦略に注目

赤澤経済再生相が日米交渉を主導　関税撤廃へ強い決意

アメリカの関税措置をめぐり、日本政府が交渉のギアを一段と上げている。特に注目されているのが、交渉の前面に立つ赤澤亮正経済再生担当相の動きだ。赤澤氏は現地時間5月30日、ワシントンでベッセント米財務長官、ラトニック商務長官らと対面交渉を行い、厳しいやりとりの中でも粘り強く日本側の立場を主張した。

自動車産業に焦点　“すでに大きな損失”と危機感

交渉後、赤澤大臣は記者団に対し、「特に自動車分野では、すでに日本経済に深刻な影響が出ている。だからこそ『ゆっくり急ぐ』という姿勢で、拙速にはならずに着実に合意へ進みたい」と語った。この発言からも、日本政府が一方的な妥協ではなく、国益を軸とした交渉戦略を描いていることがうかがえる。

加えて、石破首相とトランプ米大統領が2週続けて電話会談を行ったことについて、「両首脳の信頼関係が交渉の下支えとなっており、非常に心強い」と前向きに評価した。外交的な信頼構築が、今回の通商交渉のカギになっているようだ。

再交渉の場探るも、OECDは見送り

当初、赤澤大臣はフランスでのOECD閣僚理事会に出席し、再び米側と閣僚交渉を行うことを想定していたが、相手側との日程調整がつかず、この訪問は見送りに。ただし、交渉の機会を逃すつもりはなく、今週後半には再度アメリカを訪問する方向で調整が進んでいる。6月中旬のG7サミット（カナダ）に向け、首脳合意を見据えた動きが加速している。

慎重な姿勢の一方で野党から疑問も

こうした交渉姿勢に対し、立憲民主党の野田代表は「国難だから協力をと言って与野党党首会談を開いたのに、以後何の情報提供もない」と不満を漏らした。また、国民民主党の玉木代表も「交渉ごとといって譲ってはならないものを簡単に手放してはならない。備蓄米の輸入に頼るようでは食料安全保障が崩れる」と語り、政府に強い姿勢を求めている。

ネット上の反応

交渉のキーパーソンである赤澤氏に対して、ネットでも様々な意見が飛び交っている。

「赤澤さん、ちゃんと仕事してるな。表情にも気迫が出てた」
「“ゆっくり急ぐ”って言葉、絶妙だと思った」
「トランプ相手に真正面から交渉できる人材がいたとは」
「野党の文句はわかるけど、今は静観するべきじゃ？」
「米の備蓄輸入はやめてくれ。コメの自給は死守しないと」

今後の焦点はG7サミット前の合意形成

日本政府は、G7サミットに合わせて首脳レベルでの合意にこぎつけることを狙っており、交渉戦略の仕上げ段階に入っている。赤澤大臣が引き続き前線での交渉を担い、関税撤廃や緩和に向けた道筋をどう切り開くかが、今後の経済にも直結する注目点だ。