2026-09-17 コメント投稿する ▼
過疎地・離島の訪問介護、移動コスト評価へ 介護報酬改定に要望
過疎地域や離島で訪問介護サービスを提供する事業者から、移動にかかる時間や費用が介護報酬で適切に評価されていない現状への改善を求める声が高まっています。 また、こうした支援がなければ、過疎地・離島における訪問介護事業所の維持自体が困難になり、地域住民へのサービス提供体制そのものが揺らぎかねません。
訪問介護現場の厳しい実態
過疎地や離島における訪問介護の現場は、都市部とは大きく異なる困難に直面しています。地理的な制約から、利用者の自宅へたどり着くために、公共交通機関が限られていたり、そもそも存在しなかったりするため、自家用車や、場合によっては船、飛行機といった特殊な交通手段を利用せざるを得ない状況です。特に船での移動を伴う場合、往復に半日以上、あるいはそれ以上の時間を要することが珍しくありません。
さらに、利用者の住む島への定期船の便が少ない地域では、訪問前日や当日に移動だけで丸一日が費やされることもあります。悪天候で船が出航できなければ、訪問自体が不可能になるリスクも伴います。また、翌日の訪問に備えるために、介護職員が現地に前泊しなければならないケースも発生しており、移動だけで実質2日間が拘束されるという過酷な実態も報告されています。
評価されない移動コストの負担
このような長距離・長時間の移動や、それに伴う宿泊といったコストは、現状の介護報酬制度では十分に考慮されていません。介護報酬は、原則として利用者に提供したサービス(身体介護や生活援助など)の所要時間に基づいて算定されます。そのため、訪問介護員が移動に費やす時間や、それに付随する交通費、宿泊費などは、事業所の持ち出しとなるのが一般的です。
多くの訪問介護事業者は、限られた報酬の中でこれらの必要経費を捻出しなければならず、経営上の大きな負担となっています。関係者からは、「移動にかかる時間や費用は、サービス提供時間に含まれず、事業所の創意工夫や経営努力で吸収すべきコストだという考え方が根強い」との声も聞かれます。しかし、過疎地・離島の特殊な事情を考慮すれば、この負担はもはや個々の事業者の努力だけで吸収できる範囲を超えているのが実情です。
介護報酬改定への切実な願い
こうした状況を受け、過疎地・離島で活動する介護事業者や関係団体は、次期介護報酬改定に向けて具体的な要望を上げています。社会保障審議会介護給付費分科会などの議論の場で、「長距離・長時間の移動に対する加算措置の導入」や、「船や飛行機といった特殊な交通手段の利用にかかる実費を考慮した報酬体系への見直し」が強く訴えられています。
訪問介護員が、移動の負担に過度なストレスを感じることなく、本来のサービス提供に集中できる環境を整備することは、サービスの質の維持・向上に不可欠です。また、こうした支援がなければ、過疎地・離島における訪問介護事業所の維持自体が困難になり、地域住民へのサービス提供体制そのものが揺らぎかねません。厚生労働大臣である上野賢一郎氏をはじめ、政策決定者には、現場の切実な声に耳を傾け、地域の実情に応じた柔軟かつ実効性のある制度設計が求められています。
持続可能な地域介護提供体制のために
高齢化が進む日本では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための「地域包括ケアシステム」の構築が重要視されています。その要となるサービスの一つが、利用者の自宅を訪問して行う介護サービスです。特に、高齢化率が高く、医療・介護資源の乏しい過疎地や離島においては、訪問介護の果たせる役割は計り知れません。
しかし、移動コストの問題が解決されなければ、訪問介護事業所の経営はますます厳しくなり、サービス提供を継続できなくなる事業者が増える可能性があります。そうなれば、地域住民、とりわけ移動が困難な高齢者は、必要な時に適切な介護サービスを受けられなくなってしまいます。介護報酬改定は、単なる制度の微調整ではなく、過疎地・離島における持続可能な介護提供体制を確保するための重要な契機となるはずです。地域の実情に即した適切な評価と支援が、今後の地域医療・介護の未来を左右すると言えるでしょう。
まとめ
- 過疎地・離島の訪問介護では、船移動などで移動に長時間・高コストがかかるケースがある。
- 現状の介護報酬では、この移動コストが適切に評価されておらず、事業者の負担となっている。
- 介護報酬改定にあたり、移動時間や費用を評価する仕組みの導入が要望されている。
- 地域の実情に合った報酬体系への見直しは、持続可能な介護提供体制の維持に不可欠である。
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