2026-05-21 コメント投稿する ▼
西村智奈美副代表が衆院憲法審で「緊急政令は論外」と自民案を痛烈批判 改憲を急ぐ姿勢にも深刻な懸念
衆議院憲法審査会は2026年5月21日、緊急事態条項の条文イメージ案を巡る討議を行った。自由民主党の新藤義孝議員が内閣による「緊急政令」や「緊急財政処分」の必要性を訴えたのに対し、中道改革連合の西村智奈美副代表は「国会としておよそ認められない条項が紛れ込んでいるということは論外」と強く批判した。さらに西村氏は、前週の審査会で維新の馬場伸幸前代表が「権力の暴走は改憲反対ありきの常套句」と発言したことにも正面から反発した。緊急政令の恣意的な運用による選挙停止の懸念など、民主主義の根幹に関わる議論の核心が浮き彫りとなった討議となった。
「緊急政令は論外」 西村氏、自民案を真っ向批判
衆議院憲法審査会は2026年5月21日、緊急事態条項の条文イメージ案を巡り討議を行いました。中道改革連合(中道)の西村智奈美副代表は、自由民主党(自民党)が主張する「緊急政令」や「緊急財政処分」の条項について「国会としておよそ認められない条項が紛れ込んでいるということは論外」と強く批判しました。
自民党の新藤義孝氏は、大規模災害などで国会が開けなくなった際に内閣が法律に代わって発出できる「緊急政令」と、財政支出機能を代替する「緊急財政処分」について「立憲主義国家として当然備えるべきものだ」と必要性を訴えました。衆院法制局が2026年5月14日の審査会に提示したイメージ案には、「法律と同一の効力を有する」政令の制定と予算措置としての緊急政令・緊急財政処分が盛り込まれており、国会の事後承認を義務づける設計となっています。
これに対し西村氏は「憲法を改正してまで議員の任期延長をして国会機能を維持しようという議論と同時に、国会が機能しない場合を想定した議論をすることは論理矛盾ではないか」と反論しました。国民民主党(国民民主)の玉木雄一郎代表が「あえて蒸し返さないほうが得策」と述べていることにも言及し、「通らないことを見越してバッファーとして入れているとすら思えてくる」と皮肉交じりに批判しました。
国会の機能を守るための改憲と言いながら、緊急政令で国会を飛ばす規定を入れるとは矛盾もいいところです
「権力の暴走は常套句」発言に反発 歴史的な懸念を示す
西村氏はさらに、改憲議論の姿勢そのものについても強い懸念を示しました。前週の審査会で日本維新の会(維新)の馬場伸幸前代表が「『権力の暴走につながる』との主張は、改憲反対ありきの常套句だ」と発言したことに対し、真っ向から反発しました。
西村氏は「権力の暴走はナチスドイツの例をはじめとして現実的かつまっとうな懸念です」と述べ、歴史的な事例を踏まえた批判は正当なものだと主張しました。そのうえで「中東情勢やその影響など深刻な課題が山積する今、それより優先して憲法の議論が進んでいくことに深刻な懸念を感じている」と、改憲論議を急ぐことへの疑問を呈しました。
憲法制定時の議論では、緊急政令に相当する制度は「民主政治を徹底し国民の権利を守るため、政府の一存での処置は極力防止すべき」との判断から退けられた経緯があります。代わりに設けられたのが現行憲法の参議院緊急集会の制度であり、緊急政令の導入はこうした憲法制定の根本的な趣旨を覆すことになりかねません。
権力の暴走への懸念を常套句と切り捨てるのは、歴史から何も学んでいない姿勢に見える
選挙困難事態の悪用懸念 「戦争で危機を乗り越えた指導者は少なくない」
西村氏の批判は緊急政令にとどまりませんでした。存立危機事態が緊急事態の対象範囲に含まれる可能性についても深刻な懸念を示しました。
西村氏は「支持率低下のタイミングにおける衆議院任期満了選挙を避けるために、内閣の恣意的な判断で存立危機事態を認定するとともに選挙困難事態の認定がなされ、選挙が停止され続けるという濫用が懸念されます」と述べ、「古今東西みずからの政治的な危機を乗り越えるために戦争を始めた指導者は少なくありません」と具体的なリスクシナリオを示しました。
緊急事態条項に存立危機事態が含まれた場合、内閣が政治的な思惑で安全保障上の判断を行い、選挙を無期限に止めることが可能になりかねないという指摘は、民主主義の根幹に関わる問題です。緊急事態の要件と対象範囲を厳格に絞り込まないまま条文化を急ぐことへの警鐘として、真剣に受け止めるべき指摘といえます。
選挙を止めて権力を維持する道を内閣に与えたら、民主主義の終わりへの一歩になりかねない
改憲論議の行方 慎重な合意形成が求められる
玉木国民民主代表は今回の審査会でも「議論が煮詰まっておらず合意が得にくいテーマを付け加えない方が得策だ」と述べており、緊急政令は改憲推進派の内部でも意見が割れています。维新の馬場前代表は条文起草委員会の設置と改憲発議の加速を強く求める立場で、各党の間には議論の進め方をめぐる温度差が際立っています。
憲法改正は国民投票による最終的な国民の判断を要する重大事であり、一党一派の利害ではなく、国民全体のための開かれた議論を積み重ねることが不可欠です。
改憲自体には賛否あっていい。でも、国会の権限を骨抜きにするような条項を紛れ込ませるなら絶対に反対します
審査会での討議は今後も継続される予定で、各党が条文案をまとめ実質的な協議に移れるかが焦点となっています。
まとめ
- 衆議院憲法審査会は2026年5月21日、緊急事態条項の条文イメージ案について討議
- 自民党の新藤義孝氏が「緊急政令」「緊急財政処分」の必要性を訴えた
- 中道改革連合の西村智奈美副代表が「国会としておよそ認められない条項は論外」と強く批判
- 議員任期延長を守ろうとする議論と、国会が機能しない場合の規定の同時議論は「論理矛盾」と指摘
- 国民民主・玉木雄一郎代表も「蒸し返さないほうが得策」と慎重姿勢
- 維新・馬場伸幸前代表の「権力の暴走は常套句」発言に西村氏が「ナチスドイツ等の歴史的懸念は正当」と反論
- 存立危機事態を口実に選挙を停止し続ける恣意的な運用の危険性も指摘
- 緊急政令の導入は、日本国憲法制定時に意図的に排除された経緯がある
- 審査会での討議は今後も継続予定