2026-09-15 コメント投稿する ▼
中国側、高市氏の台湾発言を名指し批判 北京で日中友好議連と会談
中国人民対外友好協会の楊万明会長が、訪問中の日中友好議員連盟メンバーに対し、高市早苗氏の「台湾有事」に関する国会答弁が中日関係の政治的基盤を著しく損ねたと厳しく批判したことが15日までに明らかになりました。 中国外務省も同様の見解を強調しており、台湾問題に対する中国側の強い警戒感が浮き彫りになっています。
楊会長が高市氏の発言を名指しで批判
中国人民対外友好協会の楊万明会長は、先週14日に北京で開かれた日中友好議員連盟の若手メンバーとの会談において、高市早苗氏による「台湾有事」に関する過去の国会答弁に名指しで言及し、強い不満を表明しました。会談の要旨を公表した同協会によると、楊会長は高市氏の発言が「中日関係の政治的基盤を著しく損ない、双方の交流・協力の雰囲気を大きく損ねた」と断じました。
楊会長はさらに、高市氏の発言は、中国が「核心的利益」と位置づける台湾問題に触れたものであり、「日本側が歴史問題や台湾など、中国の政治的基盤に関わる問題で繰り返しレッドラインを越えている」との認識を示しました。その上で、訪中した議員団に対し、「高市氏の一連の誤った言動による深刻な危害を、日本の各界に十分に認識させてほしい」と、日本国内での世論喚起を促すよう働きかけたのです。この発言からは、中国側が台湾問題に対して極めて敏感であり、日本の言動を厳しく監視している様子がうかがえます。
日中友好議連との会談における中国側の狙い
楊会長の批判は、単なる意見表明にとどまらず、日本側の政策や世論形成に対する中国としての強いメッセージを発信する意図があったとみられます。中国は、台湾を不可分の領土とする「一つの中国」原則を外交の前提条件としており、日本の政治家による台湾有事への関与を示唆する発言は、中国の主権と安全保障に対する挑戦と受け止めています。
今回、楊会長が名指しで批判し、その内容を公表したのは、日中友好議連という、両国の議員間の対話チャネルを持つ組織との会談であったことも重要です。中国側は、この対話の場を利用して、日本国内の親中派や対話重視派に対し、高市氏の発言がもたらす「悪影響」を訴え、日本国内世論の動向に影響を与えようとした可能性があります。
一方で、会談に臨んだ日中友好議連のメンバー、高村正大・元法務副大臣らは、中国側に対し、在中国日本人の安全確保などを要請したと報じられています。これは、両国の関係が緊張する中でも、対話を通じて懸案事項の解決を図ろうとする日本の議員外交の一環と言えるでしょう。しかし、中国側が「レッドライン」問題で圧力をかける姿勢を崩さない現状は、両国の間の根深い認識のずれを示唆しています。
台湾問題への中国の強い警戒感
中国外務省も、この問題に対する中国政府の立場を改めて強調しました。同省の郭嘉昆副報道局長は15日の記者会見で、中国外務省の劉彬外務次官補が日中友好議連メンバーとの会談で、「高市氏の誤った言動が中日関係が深刻な困難に直面している最大の要因だ」と述べたことを明らかにしました。これは、楊会長の発言と軌を一にするものであり、中国指導部がこの問題をいかに重視しているかを物語っています。
中国が台湾問題にこれほど神経をとがらせる背景には、習近平指導部が掲げる「中華民族の偉大な復興」という国家目標達成のため、台湾統一を最重要課題と位置づけていることがあります。台湾海峡の平和と安定は、日本にとっても死活的に重要であり、日本政府は「一つの中国」原則を尊重しつつも、台湾海峡の平和と安定の重要性を訴え、日米同盟を基軸とした抑止力強化を進めています。高市氏の発言も、こうした日本の安全保障政策の延長線上にあると解釈できますが、中国側はこれを「内政干渉」であり、「一つの中国」原則への挑戦と強く反発しているのです。
このような状況下で、鳩山由紀夫元首相が中国の安全保障に関する論壇で「『一つの中国』政策の尊重」を訴えたという報道もあります。これは、台湾情勢を巡る日本の言論空間においても、様々な立場が存在することを示していますが、中国側としては、あくまで原則の厳格な遵守を日本に求めていることは明らかでしょう。
今後の日中関係への影響と課題
中国側が、日本国内の有力政治家(高市氏)の発言を名指しで批判し、しかもその内容を公表して「関係悪化の最大の要因」とまで断じたことは、極めて異例のことと言えます。これは、中国が台湾問題に対する日本の姿勢に強い危機感を抱いており、今後、日中関係を論じる上で「台湾問題」を一層前面に押し出し、日本側に圧力を強める可能性を示唆しています。
日中友好議連との対話では、日本側が中国在留邦人の安全確保などを要請したように、経済や人の往来といった分野での関係改善も模索されています。しかし、中国側が「レッドライン」問題で譲歩の姿勢を見せない限り、両国の関係改善は一進一退を繰り返すことが予想されます。
日本としては、台湾海峡の平和と安定を維持するという国益を守りつつ、対話による意思疎通を通じて不測の事態を回避するという、極めて難しい舵取りを迫られることになります。中国側の主張に一方的に屈することなく、しかし、対立を煽ることもなく、冷静かつ毅然とした対応を続けていくことが求められるでしょう。今回の楊会長の発言は、両国間に横たわる構造的な課題と、今後の日中関係の険しさを改めて浮き彫りにしたと言えます。
まとめ
- 楊万明会長が高市早苗氏の台湾発言を名指しで批判。
- 高市氏の発言が中日関係の政治的基盤を損ねたと指摘。
- 台湾問題に対する中国側の強い警戒感が浮き彫りに。
- 日中関係の改善には、双方の理解と対話が必要。