2025-06-20 コメント投稿する ▼
アベノマスク訴訟で国の敗訴確定 契約文書の不開示は「違法」と認定、説明責任問う判決
控訴せず判決確定 国の不開示対応に司法がノー
新型コロナ対策として全国に配布された「アベノマスク」を巡る文書開示訴訟で、国の敗訴が確定した。大阪地裁が6月5日に出した判決は、業者との契約過程を記した文書を開示しなかった国の対応について「違法」と判断し、原告に11万円の賠償を命じた。国は控訴期限の6月19日までに上訴せず、判決は確定した。
裁判の原告となったのは、神戸学院大学の上脇博之教授。2020年4月から7月にかけて、厚生労働省および文部科学省に対し、「アベノマスク」に関する契約書類、発注情報、業者とのメールや報告書などの開示を求めていた。
しかし国側は「保有していない」「文書は存在しない」として大半を不開示とし、原告はこれを不当として提訴に踏み切った。地裁は、業者との交渉が文書化されていないことに強い疑義を示し、「調達に関するメールや報告書が1通も存在しないとは考え難い」として、不開示決定は違法であると認定した。
「メール1通もないって、誰が信じるんだよ」
「こんなのがまかり通るなら、全部口頭でやれば証拠残らないって話になる」
文書の存在を否定 “なかったことにする”行政手法に批判
判決が問題視したのは、文書の保存期間が1年未満だったとして、国が探索も開示も行わなかった点にある。公文書管理法では、行政文書の作成・保存は原則義務であり、それを回避するために「保存期間が短いから不存在」と扱う手法は、行政の透明性を著しく損なう。
裁判所は、契約や発注に関するやりとりを「通常であれば当然作成されるもの」とした上で、「文書が存在しないことを理由に不開示とするのは違法」と明言した。
「“保存期間1年未満”って魔法の言葉かよ」
「これ行政が都合の悪いこと全部“記録なし”で逃げる気か?」
今回の判決確定により、厚労省や文科省は、これまで開示を拒んできた契約文書の探索・開示に踏み切らざるを得なくなる見通しだ。政府が透明性を口にしながらも、実際には「書かない」「残さない」ことで責任の所在を曖昧にしている現実が、改めて浮き彫りになった。
「アベノマスク」問題の本質 税金の使途に対する説明責任
「アベノマスク」は、2020年の感染拡大初期に全国の世帯へ布マスクを2枚ずつ配布するという事業として実施された。約260億円という多額の税金が投入されたにもかかわらず、マスクのサイズが合わない、品質にばらつきがある、実際には不要だったといった批判が噴出。大量の在庫が保管費用とともに国民負担として残る結果となった。
その過程で、どのような基準で業者が選定され、どんな金額で契約が結ばれたのかという「意思決定のプロセス」がブラックボックスとなっていた点が、今回の訴訟の出発点である。
「260億使って契約書が見つからないって、どんな冗談だ」
「これはもはや“行政の危機管理”じゃなくて、“証拠隠し”のレベルだと思う」
この件は単なるマスク配布の是非ではなく、「公金をどう使ったか」の検証責任に直結する問題だ。官僚組織が書類の作成義務を免れるために“記録を残さない”という運用を続ければ、民主主義の根幹である説明責任が機能不全に陥る。
行政の説明責任をどう果たすのか 透明性なき政治への警鐘
今回の判決は、政府に対して「記録しないことによる逃げ道は許さない」という明確なメッセージを突きつけた。電子メールや報告書といった基本的な記録がなければ、行政の検証も改善も不可能になる。
また、今回の敗訴確定により、国は今後、類似の不開示対応について見直しを迫られることになるだろう。税金の使い道について、国民に説明しなくてもいいという姿勢は、もはや許される時代ではない。
国が「記録していないから知らない」で済ませようとする限り、政治への信頼は失われる一方だ。公文書の管理、契約過程の透明性、そして国民への説明責任——この三本柱が、行政と政治の信頼回復に必要不可欠である。