2026-09-28 コメント投稿する ▼
長崎旧県庁舎跡地整備計画案を公表 石垣再整備で「岬の輪郭」を出島と一体に
長崎県は2026年9月25日、長崎市江戸町の旧県庁舎跡地(約13,000平方メートル)の活用に向けた整備基本計画案を県議会総務委員会で公表しました。かつて長崎湾に突き出した岬の突端に位置するこの跡地には、長崎奉行所西役所の石垣遺構が埋設されており、出島との10メートルの高低差を生かした「岬感」のある景観を取り戻す設計が目指されています。2027年度から設計、2029年度から工事を開始し、2031年度のオープンを予定。事業費は当初の20億〜30億円から資材高騰による上振れが見込まれますが、国の交付金活用などで県負担を圧縮する方針です。
海に突き出した岬に刻まれた歴史
長崎県は2026年9月25日の県議会総務委員会で、長崎市江戸町にある旧県庁舎跡地の活用に向けた整備基本計画案を公表しました。この跡地は、かつて長崎湾へ突き出た岬の突端に位置し、江戸時代にはキリスト教の国内拠点として機能した後、長崎奉行所西役所が置かれた歴史的に重要な場所です。明治期から2018年に移転するまでの約150年にわたって県庁舎が建ち続けたこの地に、長崎の歴史を色濃く映す「岬の輪郭」を再び浮かび上がらせる整備が進もうとしています。
同跡地は江戸時代の初期、キリスト教の布教拠点が置かれた場所であり、禁教令が厳しくなる中で長崎奉行所の西役所が設けられ、江戸幕府による長崎支配の中枢を担いました。過去の発掘調査では、奉行所西役所の石垣遺構が出土しており、その最下部は江戸初期に築かれたものとみられています。現在は埋め戻されている部分もありますが、この石垣こそが今回の整備計画の核心に位置づけられています。
石垣を「見える形」で再整備、出島との一体性を重視
計画案のポイントは、埋設されている石垣遺構を地上から確認できる形で再整備することです。県の説明によれば、「出島との一体性の中で石垣を顕在化し、『岬感』を出す」ことが基本コンセプトとなっています。跡地と出島の間には10メートル前後の高低差があり、出島側から跡地を望むと、石垣に囲まれた岬のように見えるデザインを追求するとしています。
隣接する国指定史跡「出島和蘭商館跡」と一体的に保存・活用することで、訪れる人が江戸時代の長崎の空間的なつながりを肌で感じられる場づくりを目指します。約13,000平方メートルの跡地には、広場、情報発信施設、交流支援施設の3機能が設けられ、展示室やシアタールーム、ラウンジ・カフェなども整備される予定です。
「石垣が見えるようになるなら、長崎の歴史を子どもたちに伝えられる場所になってほしい」
「奉行所と出島を合わせて見て回れるなら観光客も増えるんじゃないか」
「費用が膨らまないか心配だけど、文化財を守るためなら必要な投資だと思う」
「出島と一体で整備されることで、世界遺産級の観光地になれるかもしれない」
「2020年代になっても江戸時代の石垣が出てくるなんて、長崎の歴史の深さを感じる」
2031年度オープンをめざすスケジュール
計画によれば、2027年度から2年間かけて基本設計および実施設計を行い、2029年度から建築・土木工事を開始する予定です。2031年度のオープンを目指す形です。設計を担う事業者は、建築や空間設計、長崎の歴史に詳しい専門家の意見を反映しながら、2026年度内に選定される予定です。設計が本格化する前に、地元自治会などの関係者を対象としたワークショップも予定されており、地域の声を取り込んだ整備が進められます。
県議会では、自由民主党(自民)の虎島泰洋氏と改革21の赤木幸仁氏が質問を行い、これらの整備方針が明らかになりました。
膨らむ事業費、国費活用で県負担を最小化へ
事業費については、基本構想段階で20億〜30億円と概算されていましたが、近年の資材費高騰の影響でさらに膨らむ見通しです。現在精査中で、2026年10月にも事業費を盛り込んだ基本計画を確定させる方針ですが、県の財政負担をどこまで圧縮できるかが課題となっています。
県は「国の交付金なども活用し、県の負担をできるだけ少なくしたい」としており、長崎奉行所西役所跡としての国史跡指定を申請する計画もあることから、国費による補助が期待されます。国史跡に指定されれば、石垣の修理や整備に対する国の補助対象となり、財政効率を高める道が開けます。物価高が続く中で、公共事業の事業費膨張は全国的な課題となっています。国費の有効活用とコスト管理の両立が、この事業の成否を左右するポイントとなるでしょう。長崎が持つ世界的な歴史価値を正当に継承するためには、費用対効果を示しながら、透明性の高い事業運営が求められます。
まとめ
- 長崎県は2026年9月25日、旧県庁舎跡地(長崎市江戸町)の整備基本計画案を公表した
- 埋設されていた長崎奉行所西役所の石垣遺構を地上から確認できる形で再整備する
- 隣接する国史跡「出島和蘭商館跡」との一体性を重視し、「岬感」を演出するデザインを追求
- 約13,000平方メートルの跡地に広場・展示室・交流施設などを整備、2031年度オープン予定
- 事業費は基本構想段階で20億〜30億円だが、資材高騰で上振れ見通し。国費活用で県負担を圧縮へ