2026-08-28 コメント投稿する ▼
高市首相が「優生思想に立ち向かう」姿勢を示すも、防衛論での認識の隔たり
高市早苗首相が、社会に根強く残る「優生思想」に対して断固として立ち向かう姿勢を表明しました。 これは、全国の障害者114人から寄せられた手紙を高市首相に直接手渡した「さよなら優生思想女性障害者の会」との面会での発言です。 しかし、同会が訴えた「軍拡反対」の主張に対し、首相は防衛力強化の必要性を強調しました。 高市首相は、面会において「優生思想には、私は断固として立ち向かう立場だ」と強調しました。
障害者団体が首相に危機感を訴える
今回の面会は、高市政権が推進する防衛力の抜本的強化に対し、強い危機感を抱いた「さよなら優生思想女性障害者の会」が中心となり企画されました。同会は、新型コロナウイルス禍での東京五輪開催に反対したことをきっかけに設立された、障害を持つ女性5人によるグループです。今回の「高市首相にお手紙アクション」では、全国から障害を持つ人々114人分の手紙を募集し、それを首相に直接手渡すことを目指しました。手紙を書いた障害者らに参加を呼びかけ、首相との面会が実現したのです。
面会に先立ち、同会のメンバーである中尾悦子氏は、障害者を取り巻く厳しい現実を訴えました。「戦争になったら、障害者は生きることが難しくなる。戦争は命の選別を生むのです。私たちの社会には、障害者は生まれてこない方がいいという優生思想が根強くあります。だからこそ、私は戦争が怖いのです」と、切実な思いを語りました。そして、「平和を守るために防衛力を強化するという考えには疑問があります。軍備を増やすことはやめてください」と、防衛力強化に反対する姿勢を明確に示しました。
優生思想と防衛力強化の論点
高市首相は、面会において「優生思想には、私は断固として立ち向かう立場だ」と強調しました。これは、障害者団体が提起した社会的な課題に対し、一定の理解を示す発言と言えるでしょう。戦後、日本が平和国家として歩んできた歴史に触れ、「決して他国を攻撃するようなことはしない」とも述べ、平和への決意を示しました。
しかし、同会が強く訴えた「軍拡反対」の主張に対しては、首相の認識は異なりました。首相は、「他国から何かを仕掛けられ、無抵抗で防衛しないことで、果たして国民の命や領土が守られるのか。そうではない」と語り、安全保障の観点から防衛力強化の必要性を訴えたのです。優生思想への対峙という点では共通認識があったかもしれませんが、その根底にある「平和の守り方」についての考え方には、大きな隔たりがあったことがうかがえます。
防衛論への首相の反論と団体の不満
面会は報道陣には非公開で行われましたが、後日、同会が公開した動画では、首相の発言部分が「長く話されたので…」というテロップと共に途中で上映が打ち切られていました。面会時間は、団体側がわずか3分であったのに対し、首相は7分間発言したとされています。この時間配分や、説明内容に対して、出席者からは不満の声が相次ぎました。
参加者の一人は、「障害者が全国から官邸に行くことの大変さが、全く感じられていないのではないか」と指摘しました。また、「終始ニコニコとフレンドリーな雰囲気と柔らかな物腰で、こちらも巻き込まれないようにという思いだった」と、首相の対応に戸惑いを感じた様子も伝えられました。さらに、「一体どこの国が日本を攻撃するというのか」という疑問も呈されるなど、政府が進める安全保障政策への不信感も滲ませました。
それでも、参加者の中には「直接受け取ってくれた場に立ち会えたことは、人生で良い経験になった」と、一定の評価をする声もあったことは付け加えておくべきでしょう。
対話のあり方と今後の課題
今回の面会は、重度の障害がある「いのちの党」の天畠大輔共同代表が、国会で高市首相に手紙を直接受け取るよう求めたことを受けて実現しました。天畠氏は、障害当事者が時間をかけて自身の言葉で綴った手紙だからこそ、郵送ではなく、自らの手で直接届けたいと訴えていました。首相もその思いに応え、手紙を直接受け取ることを約束していました。
しかし、結果として、団体側が抱える「軍拡反対」という本質的な主張が、首相の安全保障観や優生思想への言及という文脈の中で、十分に議論されなかったという印象を残しました。中尾氏は会見で、優生思想との向き合い方について、「誰かの優生思想を批判することは簡単だが、自分の中にある加害者、被害者の両方の側面を考えること、一人ひとりが自分自身の中にある優生思想と向き合うことが大事だ」と語りました。これは、今回の面会を通じて、社会全体に投げかけられた課題とも言えるでしょう。
政府が防衛力強化を推し進める中で、障害者をはじめとする市民社会の声にどう向き合い、対話を深めていくのか。今回の面会は、そのあり方について、改めて考えさせる機会となったのではないでしょうか。
まとめ
- 高市首相が「優生思想」に立ち向かう姿勢を示した。
- 障害者団体との面会で、防衛力強化に対する認識の隔たりが浮き彫りに。
- 面会では、首相の発言時間が長く、団体側から不満の声が上がった。