2026-06-12 コメント投稿する ▼
次期戦闘機GCAP、英国の資金拠出遅れが日本防衛に影 高市首相が首脳会談で働きかけへ
この次期戦闘機は、将来の航空自衛隊の主力となることが期待されており、2035年の初号機配備を目指しています。 特に、日本の航空自衛隊が運用するF2戦闘機は2035年から順次退役が始まる予定であり、後継機である次期戦闘機の配備が遅れれば、日本の防空体制に一時的な「穴」が生じかねません。
次期戦闘機開発、英国の資金拠出が鍵
高市早苗首相は、2026年6月14日にロンドンで予定されている日英首脳会談において、次期戦闘機の共同開発を進める英国に対し、長期にわたる安定した資金拠出を直接働きかける方針を固めました。この開発計画は、日本、英国、イタリアの3カ国が協力して進める「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」として知られています。
この次期戦闘機は、将来の航空自衛隊の主力となることが期待されており、2035年の初号機配備を目指しています。開発の司令塔となる合弁会社「エッジウィング」は、三菱重工業、英BAEシステムズ、イタリアのレオナルドが出資して設立され、設計などの実務が開始されています。しかし、計画の根幹を揺るがしかねない問題が浮上しています。
配備遅延は防衛力に「穴」
問題となっているのは、英国側の財政事情です。英国は、防衛分野における長期的な投資計画を策定することが困難な状況にあり、次期戦闘機開発に関する官民間の長期契約を締結できずにいます。そのため、現在は3カ月という短期的な契約しか結ばれておらず、6月末までの長期契約への移行が目されていますが、その見通しは不透明な状況です。
この英国による長期資金拠出の遅れは、次期戦闘機全体の開発スケジュールに遅延をもたらす可能性をはらんでいます。特に、日本の航空自衛隊が運用するF2戦闘機は2035年から順次退役が始まる予定であり、後継機である次期戦闘機の配備が遅れれば、日本の防空体制に一時的な「穴」が生じかねません。
防衛省関係者からは、「英国やイタリアは、現在運用しているユーロファイター戦闘機の退役までにはまだ時間的余裕があるため、開発に対する危機感が日本側と比べて薄い」との指摘も聞かれます。この日・英・伊の間での開発に対する意識のずれが、事態を複雑にしている側面もあります。
中国の脅威と日本の防衛網
次期戦闘機の開発・配備が予定通りに進まなければ、日本はF2戦闘機の退役時期を延期せざるを得なくなる可能性も考えられます。しかし、その場合でも、老朽化が進むF2では、急速に近代化を進める中国の脅威に対処しきれないという懸念が、航空自衛隊内部からも上がっています。
中国はすでに第5世代ステルス戦闘機「殲20」の配備を進めており、周辺地域の安全保障環境は厳しさを増しています。このような状況下で、次期戦闘機の導入が遅れれば、日本の航空優勢の確保は極めて困難になるとの見方が強まっています。将来の防衛力を支える次期戦闘機の開発が停滞することは、日本の安全保障戦略全体に深刻な影響を及ぼしかねません。
国際協力の行方と今後の見通し
次期戦闘機開発を巡っては、国際協力の枠組みも変化の兆しを見せています。これまでフランスなどと独自の戦闘機開発計画「FCAS」を進めてきたドイツが、その計画を事実上中止し、日英伊が進めるGCAPへの参加に関心を示しているとされています。
しかし、開発に参加する国が増えることは、必ずしも計画の推進に有利に働くとは限りません。参加国の増加は、要求仕様の調整や技術移転、費用負担など、さらなる複雑化と難航を招く可能性も指摘されています。日本政府内にも、開発の遅延や複雑化を懸念する声は少なくありません。
今回の高市首相による直接的な働きかけは、こうした開発の遅延リスクに対する日本側の強い危機感の表れと言えます。首脳間の直接交渉を通じて、英国の早期決断を促し、次期戦闘機開発の確実な推進につなげることができるかが、今後の焦点となります。トップ外交が、日本の未来の防衛力を左右する重要な開発プロジェクトを前進させられるか、その手腕が問われています。
---まとめ---
- 高市早苗首相は、2026年6月14日の日英首脳会談で、次期戦闘機(GCAP)開発における英国への長期資金拠出を要請する方針。
- 英国の財政難により、開発の基盤となる長期契約が結べておらず、3カ月の短期契約に留まっている。
- 英国の拠出遅延は、次期戦闘機の2035年初号機配備計画に遅れをもたらし、日本の防衛力に空白期間を生じさせる懸念がある。
- 日本のF2戦闘機は2035年から退役開始予定だが、英伊は後継機配備まで余裕があり、開発への危機感にずれがある。
- 中国のステルス戦闘機「殲20」配備など、安全保障環境の悪化も日本の防衛力強化を急がせる要因となっている。
- ドイツがGCAPへの参加に関心を示す一方、参加国増加による開発の難航も懸念されている。
- 高市首相のトップ外交が、英国の早期決断を促し、開発を前進させられるかが注目される。