2026-03-25 コメント投稿する ▼
再プラ使用の新車認証制度を環境省が検討、2028年試験運用へEU義務化に対抗
環境省は、使い捨てなどで廃棄されたプラスチックを再利用した「再生プラスチック(再プラ)」を用いて製造された自動車を、第三者機関が認証する新たな制度の検討に乗り出すことを明らかにしました。2026年度末までに業界団体や学識経験者を交えた会議で詳細を詰め、2028年度にも試験運用を開始する方針です。欧州連合(EU)が新車部品への再生材使用の義務化を進める中、国内メーカーが国際競争力を維持できるよう、国が品質を保証する仕組みを整える狙いがあります。こうした動きは、廃プラスチックを資源として繰り返し使う「循環型経済」の実現に向けた、国の本格的な取り組みのスタートとも位置づけられています。
なぜ今、再プラの認証制度が必要なのか
再生プラスチック(再プラ)とは、廃棄されたペットボトルや自動車の廃材などを回収・選別・加工して作り直したプラスチック素材のことです。これをバンパーやダッシュボードなどの自動車部品に使おうというのが今回の取り組みです。しかし現在、国内の自動車製造に再プラはほとんど使われていません。廃プラスチックのうち約6割が「燃やして熱を取り出す」だけの熱回収にとどまっており、本来の意味でのリサイクル(素材として再利用)は進んでいないのが実情です。
環境省の資料によると、廃自動車の解体・破砕後に出るシュレッダーダストに含まれるプラスチックのうち、素材として再利用されているのはわずか約2%にすぎません。こうした現状を変えようと、環境省は経済産業省とも連携し、2024年11月に自動車メーカー、部品・素材メーカー、リサイクル業者、学識経験者からなる「自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアム」を設立しました。
2025年3月には「アクションプラン」も公表し、再プラの市場整備を本格的に進める体制が整いつつあります。今回の認証制度の検討はその流れを受けたものです。
認証制度の仕組みと「国のお墨付き」の意義
新たな認証制度では、自動車に使われているプラスチック素材が本当に再生材であるかを第三者機関が確認し、その使用割合に応じて認証を与える仕組みとなります。
国がお墨付きを与えることで品質と安全性を保証し、メーカーが再プラを使っても消費者や取引先から「粗悪品では」と疑われることなく販売できる環境を整えます。再生材はバージン材(新品の原料から作る素材)に比べて製造コストが高くなる傾向があるため、認証制度で価値を見える化し、コスト増を市場で評価してもらえる仕組みを作ることが重要です。
2026年度末までに業界団体や学識経験者を交えた会議で制度の詳細を固め、2028年度の試験運用につなげます。試験運用の結果を踏まえ、本格運用へ移行する計画です。
「リサイクル素材で車が作られる時代が来るのか。環境への意識が変わってきた気がする」
「再プラを使うとコストが上がるなら、結局は消費者が負担するのでは。しっかり説明してほしい」
「EUに言われる前に日本が自分からリサイクルを進める意気込みを見せてほしい」
「廃プラの98%が燃やされているとは知らなかった。もっと素材として活かせる仕組みを作るべき」
「国内メーカーがEUの規制に対応できるようにするための準備とのことで、方向性は正しいと思う」
EUの義務化に日本は追いつけるか、目標と課題
EUでは廃自動車に関する規則(ELV規則)の改正が進んでおり、2026年に適用される見通しです。この規則では新車製造に使う再プラの割合を、6年後に15%、10年後に25%と段階的に引き上げる義務が課せられます。一方、日本国内ではこれに対応できる体制がほとんど整っていません。環境省は2031年から2035年に国内で生産される新型車の再プラ使用率を「15%以上」とする目標を掲げており、EUの義務化スケジュールに合わせた体制構築が急務となっています。
経済産業省も2026年4月に資源有効利用促進法を改正し、2027年6月をめどに自動車・部品メーカーに再プラの利用計画の提出を義務付ける方針を示しています。2028年度以降は前年度の実績報告も求める方向で、事実上の再プラ使用義務化に踏み込む計画です。国際競争力の面から見ても、EUで販売する日本車がEUの再プラ義務化基準を満たせなければ、輸出に支障をきたす可能性もあります。こうした背景から、日本自動車工業会(自工会)は複合強化PP(ポリプロピレン)など主要部材ごとの目標値を公表するなど、業界全体で動きが活発化しています。
相互認定を目指す国際戦略と今後の展望
試験運用の結果を踏まえた本格運用に移行した後、将来的にはEUなど海外の認証機関と「相互認定」できる仕組みの構築を目指しています。日本が認証した再プラ使用車を、EUも同等の品質水準と認める関係を作ることで、国内メーカーが二重の認証手続きを踏まずに国際市場で戦える環境を整える狙いです。
自動車産業は日本の基幹産業であり、EV(電気自動車)化の波に加え、今度は再プラ対応という新たな課題がのしかかってきています。廃プラスチックを資源として循環させる「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現に向け、今回の認証制度が呼び水となって国内の再プラ市場が育つかどうかが問われています。環境と国際競争力の両立を目指す日本の自動車政策が、いよいよ実行段階へ踏み出します。
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まとめ
- 環境省が再プラを使った自動車を第三者機関が認証する新制度を検討。2026年度末までに詳細を決め、2028年度に試験運用を目指す
- 認証対象はバンパー・ダッシュボードなどの部品。再生材であることを確認し、使用割合に応じて認証する方向
- 現状、国内の廃プラのうち素材として再利用されているのは約2%にとどまる。廃自動車のプラのリサイクル率は特に低い
- EUは2026年にELV規則を適用予定。新車の再プラ割合を6年後15%、10年後25%と段階的に義務化
- 環境省は国内新型車の再プラ使用率「2031〜2035年に15%以上」と目標設定。経産省も利用計画の義務化を進める
- 将来はEUとの相互認定を目指す。日本の自動車産業の国際競争力維持に向けた環境整備が急務