タンチョウ、絶滅危惧種から除外 環境省レッドリスト改訂で格上げ

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タンチョウ、絶滅危惧種から除外 環境省レッドリスト改訂で格上げ

環境省は2026年3月17日、絶滅の恐れがある野生生物をまとめた「レッドリスト」の改訂版を公表しました。国の特別天然記念物に指定されているタンチョウは、個体数の回復に伴い、絶滅危惧種から初めて除外され、1段階下の「準絶滅危惧(現時点での絶滅危険度は小さい)」に変更されました。同じく特別天然記念物のトキも、新潟県・佐渡島での野生復帰の取り組みが進み、絶滅の危険性のランクが「IA類(極めて高い)」から、1段階下の「IB類(高い)」に改善しました。保全活動の成果が数字に表れた形です。

タンチョウ、33羽から1200羽へ回復


タンチョウは北海道に生息する大型のツルで、体長約140センチメートル、翼を広げると約240センチメートルにもなる優雅な鳥です。明治期の乱獲などで一時絶滅したと考えられていましたが、1924年に釧路湿原で生息が確認されました。その後も個体数は減少を続け、1952年にはわずか33羽まで減少しました。

しかし、給餌による越冬支援や生息地の保全活動の結果、現在は成鳥が約1200羽程度生息していると試算されています。環境省は2007年に「タンチョウの給餌に係る実施方針」を策定し、2013年には「タンチョウ生息地分散行動計画」を策定するなど、長期的な保護活動を続けてきました。

「保護活動の成果が出た」
「33羽から1200羽は奇跡だ」
「次世代に残したい宝物」
「北海道の誇り」
「絶滅危機を乗り越えた」

今回の評価で、タンチョウは絶滅のリスクが低いと判断され、絶滅危惧II類から準絶滅危惧に格上げされました。ただし、生息地が北海道東部に集中していることや、給餌に依存している個体が多いことなど、課題も残されています。環境省は引き続き保護活動を継続する方針です。

トキ、野生絶滅から絶滅危惧IB類へ


トキは学名を「ニッポニア・ニッポン」といい、日本を象徴する鳥として知られています。全身うすい桃橙色で、顔の大部分と脚が赤く、後頭部には長い冠羽があります。江戸時代には日本の水辺の至る所で見られましたが、明治以降の乱獲や環境破壊により激減しました。

1981年に佐渡島に残された最後の野生のトキ5羽全てが捕獲され、人工飼育下に移されました。これにより、日本のトキは野生絶滅となりました。人工繁殖の試みは成功せず、2003年に最後の日本産トキ「キン」が死亡したことで、日本産トキは完全に絶滅しました。

転機となったのは、1999年に中国から贈呈された2羽のトキです。この2羽から人工繁殖による雛が誕生し、その後も提供された個体を含めて飼育下での繁殖が成功しました。2008年9月には秋篠宮ご夫妻を迎えて第1回目の放鳥が行われ、以降、年2回のペースで放鳥が続けられています。

2012年には野生下で36年ぶりにトキ同士が繁殖し、雛の誕生が確認されました。2014年には当面の目標である「60羽の定着」が達成され、2016年には42年ぶりに野生下生まれ同士のペアから雛が誕生し、巣立ちを迎えました。現在では佐渡島で約500羽以上が生息しているとみられ、野生での繁殖も順調に進んでいます。

生き物を育む農業が鍵


トキの野生復帰が成功した背景には、佐渡島で行われてきた「生き物を育む農業」があります。トキの餌となるドジョウやカエル、昆虫などが生息できる環境を整えるため、農家は農薬の使用を減らし、冬場も田んぼに水を張る「冬期湛水」などの取り組みを行ってきました。

佐渡市では、トキの飼育繁殖に取り組む「佐渡トキ保護センター」と、放鳥に向けた順化訓練を行う「野生復帰ステーション」を運営しています。野生復帰ステーションには、奥行き約80メートル、幅約50メートル、高さ約15メートルの巨大な順化ケージがあり、内部には林や田んぼなど自然界が再現されています。

施設生まれのトキは、この順化ケージで約3か月間、自力で餌をとったり、天敵から逃れるために早く飛んだりする訓練を経て、自然界で生きていく術を身につけます。放鳥には、順化ケージの扉を開放して放つソフトリリース方式と、島内の生息候補地まで車で運んで放つハードリリース方式の2通りがあります。

環境省、概ね5年ごとに見直し


環境省レッドリストは、日本に生息または生育する野生生物を対象に、専門家で構成される検討会において生物学的観点から種の絶滅の危険度を客観的に評価してリストにまとめたものです。絶滅危惧種の保存施策は、生物学的知見に立脚し、時機を失うことなく適切に実施する必要があるため、概ね5年ごとに見直しています。

レッドリストは、捕獲規制等の直接的な法的効力を生むものではありませんが、社会への警鐘として広く情報提供することにより、環境影響評価法に基づく環境アセスメントをはじめ様々な環境政策において基礎資料として活用されています。

レッドリスト掲載種の中で特に保護の優先度の高い種は、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定し、個体の譲渡規制、生息地の保護、保護増殖事業の実施など保全のために必要な措置を講じています。

タンチョウとトキの格上げは、長年にわたる保護活動の成果を示すものです。しかし、両種とも依然として保護が必要な状況に変わりはなく、環境省は引き続き保全活動を継続する方針です。絶滅の危機から回復した貴重な成功例として、今後も注目が集まりそうです。

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2026-03-17 11:22:54(植村)

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