2026-05-14 コメント投稿する ▼
南鳥島レアアース開発へ自民が専用船建造を提言 中国依存脱却の切り札となるか
自由民主党(自民党)の海洋開発特別委員会は2026年5月13日、南鳥島(東京都小笠原村)沖の海底に眠るレアアース(希土類)泥の開発を加速するため、専用船の建造を政府に求める提言案をまとめました。深海採掘対応の大型専用船の建造費は1,000億円規模と見込まれています。中国による対日レアアース輸出規制が強まる中、南鳥島沖の資源を「経済安全保障上、切り札となり得る」と位置づけ、島の空港・港湾インフラ整備も同時に求めました。政府が夏に策定する「骨太方針」と日本成長戦略への反映を目指しています。
南鳥島沖に眠る「経済安保の切り札」 中国の脅威が開発を急かす
自民党の海洋開発特別委員会は2026年5月13日、党本部で会合を開き、南鳥島沖の海底に存在するレアアース泥の開発に特化した専用船の建造を政府に求める提言案をまとめました。
提言案は、南鳥島沖のレアアース資源を「経済安全保障上、切り札となり得る」と位置づけ、「産業規模での開発を早急に進めることが重要だ」と指摘しています。専用船建造のほか、島の空港・港湾などインフラ整備も盛り込み、政府が夏に策定する「骨太方針」と日本成長戦略への反映を目指します。
中国による経済的威圧が強まる中、日本が輸入するレアアースの中国依存度は現在約60パーセントとされており、早急な国産化が急務となっています。
中国の輸出規制を受けて、南鳥島を早期に開発しなければと思っていた。専用船の提言は当然の動きだ
中国威圧の実態と南鳥島の戦略的価値
中国は2026年1月6日、軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出を即日禁止する措置を発表しました。この措置にはレアアースも含まれるとみられており、外務省幹部からは「威圧的外交の一環」との見解が示されています。
試算によれば、レアアース輸入が3カ月間停止した場合の経済損失は約6,600億円、1年間では2.6兆円に達します。ハイブリッド車や電気自動車のモーターに不可欠な重希土類のほぼ100パーセントを中国に依存しているという現実は、日本の産業基盤の深刻な弱点となっています。
南鳥島沖のレアアース泥の推定埋蔵量は約1,600万トンとされており、国内需要の数百年分に相当します。日米両政府は2026年3月に南鳥島周辺海域でのレアアース開発に関する協力覚書を締結しており、国際連携も加速しています。
日本がこれだけの資源を持ちながら開発が遅れているのは問題だ。中国への経済的依存から脱却する絶好の機会だ
専用船建造に1,000億円規模 2027年2月の本格試掘を見据え
南鳥島沖では2026年2月、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」が深海底からレアアース泥の採取に初めて成功しました。ただ、「ちきゅう」は科学調査など他の目的にも使われており、レアアース開発に専念できる体制にはありません。
委員長の滝波宏文参院議員は取材に「中国の経済威圧の中で、切り札となり得るレアアース開発を後押ししたい。単なる経済性ではなく、経済安全保障の面から取り組まないといけない」と述べました。深海底を採掘できる大型の専用船建造費は1,000億円ほどになる見通しとされています。
1,000億円かけても国産レアアースが確保できるなら安いものだ。中国依存から脱するために国が本気で動いてほしい
政府は2027年2月にも1日350トンを目標にレアアース泥の本格採掘の実証に乗り出す計画を示しており、専用船構想はその先を見据えた布石です。
海洋安保・MDA強化も盛り込み 骨太方針への反映を急ぐ
提言案には、レアアース開発以外の内容も盛り込まれています。内閣府の総合海洋政策推進事務局の体制拡充に向け、今国会で海洋基本法などの改正を目指す方針を明記しました。
海上・海中の安全保障情報や自然災害情報を一元管理する「海洋状況把握(MDA)」の強化や、海洋無人機(ドローン)の開発についても「複数年度の視点」で予算を確保する必要性を唱えています。
海洋政策まで含めた骨太方針への反映は正しい方向だ。予算がきちんとつかなければ提言は絵に描いた餅だ
「骨太方針」への反映が実現すれば、予算措置を伴う本格的な開発体制の整備につながります。資源を持ちながら開発が遅れてきた構造的な問題を克服できるかどうか、今夏の政府の判断が試金石となります。
まとめ
- 自民党の海洋開発特別委員会が2026年5月13日、南鳥島沖レアアース開発専用船の建造を政府に求める提言案をまとめた。
- 専用船は深海採掘対応の大型船を想定し、建造費は1,000億円規模の見通し。
- 南鳥島沖のレアアース泥の推定埋蔵量は約1,600万トン。国内需要の数百年分に相当するとされる。
- 中国は2026年1月6日に対日デュアルユース品輸出禁止措置を発動。レアアースも対象に含まれる可能性があり、3カ月停止で6,600億円、1年で2.6兆円の経済損失が試算される。
- 2026年2月、探査船「ちきゅう」が南鳥島沖での深海レアアース泥採取に初成功。2027年2月に本格採掘実証が予定されている。
- 日米両政府は2026年3月に南鳥島周辺での開発協力覚書を締結。
- 提言案には島のインフラ整備のほか、MDA強化・海洋無人機開発・海洋基本法改正も盛り込まれた。
- 政府が夏に策定する「骨太方針」と日本成長戦略への反映を目指している。