2025-04-15 コメント投稿する ▼
住宅リースバック悪用で高齢者が被害 “押し買い”に国会が対策要求
住宅「押し買い」に高齢者が狙われる現実
高齢者の住まいが、今、悪質業者の標的になっている。問題視されているのは「リースバック」という仕組みを悪用した“住宅の押し買い”だ。2025年4月15日の参院国土交通委員会では、日本共産党の大門実紀史議員がこの問題を取り上げ、国に対策を求めた。
住宅を売ったあとも同じ家に住み続けられるリースバック契約は、本来なら老後の安心材料になるはずだ。しかし、実際には「市価より大幅に安く買いたたかれ、退去を迫られる」などの被害が多発。高齢者を中心に、深刻なトラブルが相次いでいる。
実例に見る“押し買い”の手口と被害
大門議員が紹介したのは、東京都内に住む85歳の独り暮らしの女性のケースだ。彼女の自宅は市場価値でおよそ2,500万円と見られていたが、六本木に本社を置くある企業に、たった1,000万円で買いたたかれた。その後、「家賃を9万円滞納した」として退去を迫られているという。
こうした押し買いの典型的な手口は、高齢者の家に業者が押しかけ、長時間にわたって売却を迫るもの。判断能力が落ちている高齢者にとって、逃げ場がないほどのプレッシャーだ。契約後、業者はすぐに不動産を転売し、利益を得る。その一方で、元の住人には不安定な生活が残される。
国土交通省は「適切に対応する」と表明
この問題を受け、国土交通省の楠田幹人住宅局長は「国民生活センターなどと連携し、適切に対応していく」と答弁。だが、被害のスピードに行政の対応が追いついていないのが現実だ。
国民生活センターにも、リースバックをめぐる相談が急増している。2024年度には、60歳以上の住宅売却関連の相談件数が過去最多を記録。家を売っても住み続けられる安心感を逆手に取った悪質業者が、高齢者を狙い撃ちにしている。
被害を防ぐには? 家族と地域の連携がカギ
こうした被害を防ぐには、周囲のサポートが欠かせない。以下のような点に注意しておきたい。
* 自宅を売る前に、複数の業者に査定を依頼し、価格の妥当性を確認する
* 契約内容は必ず第三者(家族や専門家)と共有する
* 少しでも不審に感じたら、消費者ホットライン(188)や弁護士に相談する
2024年には、弁護士による「不動産押し買い被害対策弁護団」も立ち上がり、被害者の支援に乗り出している。今後は、行政・法律の専門家・地域社会が一体となって、悪質業者の排除と高齢者の保護に取り組むことが急務だ。