2026-05-12 コメント投稿する ▼
国家情報会議法案で市民監視拡大?大門実紀史議員が民主的統制なしと批判
日本共産党(共産)の大門実紀史議員は2026年5月12日の参院内閣委員会で、政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能を強化する「国家情報会議」設置法案について、民主的統制の仕組みがないまま市民監視を拡大・強化し、国民の人権を侵害する危険があると告発し法案の撤回を求めました。法案は衆院で可決済みで今国会中の成立が見通されています。過去に裁判で違法と断じられた公安警察や自衛隊による市民監視事件が解決されないまま、情報機関だけが強化される問題の深刻さを大門氏が三つの視点から追及しました。
国家情報会議・国家情報局とは——内調を格上げし情報の司令塔に
国家情報会議設置法案は、首相を議長とする「国家情報会議」を新設し、内閣官房の内閣情報調査室(内調)を「国家情報局」に格上げするものです。衆院内閣委員会では2026年4月22日に共産を除く賛成多数で可決され、衆院本会議を通過しており、今国会中の参院での成立が見通されています。
国家情報局は各省庁からの情報を集約・総合分析する機能を持ちます。各省庁は議長である首相の求めに応じて情報を提供する義務を負い、これまで各機関が個別に収集してきた情報が一元的に集約・共有される仕組みが生まれます。政府はこの法案を「情報活動のあり方に何ら変更を加えるものではない」と説明しますが、情報の集中と共有の規模は大きく変わります。
民主的統制なき監視拡大——過去の違法事件が示す危険
共産の大門実紀史議員は2026年5月12日の参院内閣委員会で、本来であれば法案とセットで提案すべき国会や第三者機関によるチェック制度など、民主的統制の仕組みがなぜ設けられていないのかと強く追及しました。
木原稔官房長官は「法案は新たな調査・捜査権限を付与するものではなく、情報活動のあり方に何ら変更を加えるものではない」として民主的統制の規定がない法案を正当化しましたが、大門氏はこの答弁を鋭く批判しました。
大門氏が民主的統制を必要とする理由の第1として挙げたのは、「変更を加えない」と言っても今も市民への合法性が疑われる監視・調査が秘密裏に行われている可能性があるという点です。大垣警察による市民監視事件や、イラク戦争時に自衛隊情報保全隊が市民を無差別に監視していた事件は裁判で違法と断じられましたが、政府はこうした情報収集活動自体をやめるとは言っていません。
警察庁の千代延晃平警備局長は委員会で「公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で必要な範囲で行われるべきもの」と述べ、情報収集・市民監視を行っていること自体を否定しませんでした。
「政府のやりたい放題を止める仕組みがないのに、監視機関だけ強化する。これはおかしい」
「情報保全隊がデモ参加者を監視してたって聞いて、今もやってるんじゃないかって思う」
「年金反対の集会に参加しただけで監視されてたなんて、自由に声を上げられない社会になる」
「国家情報局って、国民を監視する機関だよね。本当に怖くなってきた」
「付帯決議なんて守らせる力がないのに賛成した野党、責任とってほしい」
「重要情報活動」の定義があいまい——市民監視の拡大に道を開く
大門氏は情報保全隊の事件では「年金改悪反対」「消費税増税反対」という市民の正当な政治活動までが監視の対象になっていたと指摘しました。法律の拡大解釈による市民監視が繰り返されてきたのが実態であり、その問題が解決されないまま新たな強力な情報機関が設置される危惧は深刻です。
第2の問題として大門氏が指摘したのは、法案第2条が定める「重要情報活動」の定義があいまいな点です。その定義は「安全保障の確保、テロリズムの発生の防止…その他の我が国の重要な国政の運営に資する情報の収集調査に係る活動」とされており、「その他の重要な国政の運営」という文言が何を指すのかは不明確です。恣意的に市民監視の範囲が拡大される危険があります。
情報の一元集約・共有化——個人情報の目的外使用リスクも
第3の問題として大門氏は、国家情報会議が情報活動の総合調整機能を持つことで、これまで各情報機関や省庁が個別に収集してきた個人情報が一元的に集約・共有されるようになると指摘しました。収集目的が異なる個人情報が統合されて目的外使用される危険が生まれ、個人のプライバシーが侵害されるおそれがあると批判しました。
主要野党は衆院段階でプライバシー保護などを求める付帯決議を条件に賛成しましたが、付帯決議に法的拘束力はありません。自由民主党(自民)と日本維新の会(維新)の連立政権合意書にはスパイ防止関連法制やCIA(米中央情報局)をモデルにした対外情報庁の創設も掲げられており、今回の法案がさらなる監視社会構築への入り口になりかねないという懸念は根強くあります。
まとめ
- 国家情報会議設置法案は首相を議長とする「国家情報会議」を新設し、内調を「国家情報局」に格上げするもの
- 衆院内閣委員会で2026年4月22日に共産を除く賛成多数で可決、今国会で成立の見通し
- 大門実紀史議員は参院内閣委で民主的統制の規定がないと批判し、撤回を求めた
- 木原官房長官は「情報活動のあり方に変更なし」と正当化したが、実態と矛盾
- 過去に大垣警察や自衛隊情報保全隊の市民監視事件が違法と認定されたが、活動停止の保証はなし
- 「重要情報活動」の定義があいまいで市民監視の恣意的拡大に道を開く恐れ
- 個人情報の一元集約により目的外使用されるリスクが生まれる
- 連立政権合意にはCIA型対外情報庁・スパイ防止法も含まれており、監視社会化がさらに進む懸念