2026-07-17 コメント投稿する ▼
訪問看護師の賃上げ、来年度介護報酬改定で要望。看護協会など3団体が実現求める
来年度(2026年度)に予定されている介護報酬改定を前に、訪問看護師全体の処遇改善を求める動きが加速しています。 さらに、他社の報道によると、厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会では、2026年度の介護報酬改定において、通常改定とは別に、臨時(期中)改定を実施し、「介護に携わる全スタッフ」の賃上げを検討すべきとの意見も出ていることが報じられています。
訪問看護師の役割と処遇の課題
訪問看護は、病気や障害を抱えながらも自宅や地域で療養生活を送る人々に対し、看護師などが専門的なケアを提供するサービスです。利用者の容態に応じた医療処置の実施、日常生活の支援、家族への介護指導や精神的なサポートなど、その業務内容は多岐にわたります。特に、終末期ケアや難病患者への対応など、高度な専門知識と技術が求められる場面も少なくありません。
しかし、訪問看護ステーションの多くは、介護報酬の改定率が低いことなどから経営が圧迫されており、十分な人件費を確保することが難しい状況にあります。その結果、訪問看護師の給与水準が、病院勤務の看護師などと比較して低い傾向にあることが指摘されています。この処遇の格差が、人材の確保や定着を困難にし、慢性的な人手不足を招く一因となっていると考えられます。
3団体が賃上げを要望する理由
今回、3団体が「全ての訪問看護師の賃上げ」を要望した背景には、こうした現状への強い危機感があります。要望書では、訪問看護師の専門性の高さに見合った報酬体系への見直しを具体的に求めています。専門職としてのスキルアップやキャリア形成を支援し、より多くの人材が訪問看護の分野で意欲を持って働き続けられる環境を整備することが、質の高いサービス提供体制の維持に不可欠であるとの認識が示されています。
また、地域包括ケアシステムの推進においても、訪問看護の果たす役割は極めて重要です。利用者が可能な限り自宅で療養を続けられるよう、医療と介護、生活支援がシームレスに連携する体制が求められる中、訪問看護師の不足は、このシステムの根幹を揺るがしかねない問題です。3団体は、訪問看護師が安心してその専門性を発揮できるような、持続可能な報酬制度の確立を強く訴えています。
介護報酬改定への期待と議論の広がり
今回の要望は、2026年度に実施される介護報酬改定に向けた動きの一環です。この改定で、訪問看護師の報酬がどのように位置づけられ、具体的な賃上げにつながるかが最大の焦点となります。
さらに、他社の報道によると、厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会では、2026年度の介護報酬改定において、通常改定とは別に、臨時(期中)改定を実施し、「介護に携わる全スタッフ」の賃上げを検討すべきとの意見も出ていることが報じられています。この「介護に携わる全スタッフ」という言葉には、介護職員だけでなく、訪問看護師も当然含まれると解釈できます。
通常改定を待つことなく、より迅速な処遇改善を目指す議論も水面下で進んでいる可能性があり、今後の動向が注目されます。訪問看護師だけでなく、介護現場全体の処遇改善に向けた議論が活発化していることは、この分野で働く人々にとって希望となるかもしれません。
訪問看護師の確保と地域包括ケアの未来
訪問看護師の有効求人倍率は、近年上昇傾向にあり、人材不足は深刻化しています。訪問看護の仕事には、利用者やその家族との深い信頼関係を築ける、在宅医療の最前線で専門性を活かせる、といった魅力がある一方で、多忙な業務、オンコール対応の負担、そして前述した処遇面での課題が、若手人材の参入や経験者の定着を阻む要因となっています。
今回の3団体の要望が、介護報酬改定において訪問看護師の賃上げに結びつけば、人材確保・定着に向けた大きな一歩となります。それは、訪問看護ステーションが安定した経営基盤を築き、質の高いケアを持続的に提供できる体制へとつながります。ひいては、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることを支える、地域包括ケアシステムの強化にも貢献することになるでしょう。
来年度の介護報酬改定は、訪問看護の未来、そして日本の高齢者福祉のあり方を左右する重要な節目となります。関係各所の慎結な議論と、現場の実情を踏まえた具体的な支援策の実施が強く求められています。