2026-07-16 コメント投稿する ▼
精神障害による労災認定が7年連続で最多更新
精神障害を原因とする労働災害の認定件数が過去最多を更新し続けており、7年連続で最多記録を塗り替えるという異常事態が発生しています。 近年、労働災害として精神障害の認定を受けるケースが増加しています。 精神障害の労災認定件数の増加は、審査や調査を行う労働基準監督署の現場に大きな負荷をかけています。
精神障害の労災申請が増加する背景
近年、労働災害として精神障害の認定を受けるケースが増加しています。厚生労働省の発表によれば、精神障害(脳血管疾患及び虚血性心疾患を含む)に起因する労災請求件数は増加傾向にあり、その認定件数も過去最多を更新し続けています。2026年度の速報値においても、この流れは変わらず、7年連続で最多記録を塗り替える事態となりました。
この背景には、現代社会における労働環境の変化が大きく影響していると考えられます。長時間労働の常態化、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントといった職場でのいじめ・嫌がらせ、過度なノルマや責任の増加などが、労働者の精神に深刻な負担を与えています。さらに、社会全体でメンタルヘルスへの関心が高まったことも、これまで泣き寝入りしていた人々が自身の不調を労災として申請する後押しとなっているのかもしれません。
労基署の現場が直面する課題
精神障害の労災認定件数の増加は、審査や調査を行う労働基準監督署の現場に大きな負荷をかけています。労災認定のプロセスには、専門的な知識を持つ担当官による慎重な調査と判断が不可欠です。しかし、労基署の職員数は限られており、増加する申請件数に十分対応しきれていないのが実情です。
職員一人ひとりが抱える業務量は増大し、調査や審査に十分な時間を割くことが難しくなっています。その結果、労災申請をしてから認定が下りるまでの期間が、当初の想定よりも大幅に長引くケースが全国で相次いでいます。本来であれば、被災した労働者が一刻も早く適切な補償を受け、安心して療養に専念できる環境を整えるべき労災行政ですが、現状ではその迅速性が損なわれつつあると言えるでしょう。
当事者が抱える苦境と専門家の指摘
労災認定までの期間が長期化することは、当事者にとって計り知れない苦痛を伴います。精神障害により就労が困難となり、収入を断たれた状況下で、補償がいつ受けられるか分からないという不安は、精神状態をさらに悪化させかねません。
実際に、労災申請から認定まで1年近くを要したという29歳の女性は、取材に対して「決定までに時間がかかり、とてもしんどい思いをした」と声を詰まらせました。彼女は、精神障害を患いながらも収入がなく、貯金を切り崩して生活する日々を送っていたといいます。このような切実な声は、氷山の一角に過ぎないのかもしれません。認定が遅れることで、生活再建への道筋が見えず、治療にも十分な費用をかけられないという悪循環に陥ってしまうケースも少なくないようです。
この問題に対し、労働問題に詳しい専門家からは、労基署の体制強化を求める声が強く上がっています。精神障害の労災認定件数の増加は、単なる統計上の数字ではなく、労働者の心身が置かれている厳しい現実を映し出しています。この現実に対応するためには、労基署の増員や、専門的な調査・審査ができる人材の育成・配置が急務であると指摘されています。
また、申請者への丁寧な聞き取りや、複雑化する精神障害の認定基準に対応するための審査体制の充実も求められています。単に認定件数を増やすだけでなく、質の高い審査を迅速に行い、被災した労働者が安心して社会復帰できるよう支援していくためには、行政の抜本的な改革が不可欠です。高市早苗総理大臣をはじめとする政府・厚生労働省には、この喫緊の課題に対し、実効性のある対策を講じることが強く期待されています。