2026-07-16 コメント投稿する ▼
バー・スナック「喫煙目的施設」届け出制へ 加熱式たばこ規制は見送り 受動喫煙対策で厚労省が取りまとめ
厚生労働省(厚労省)の専門委員会は2026年7月16日、2020年4月施行の改正健康増進法の施行から5年を経て見直しを検討してきた受動喫煙対策を大筋で取りまとめました。主な柱は、バーやスナックなど「喫煙目的施設」への届け出制の導入です。一方、加熱式たばこについては規制を強化せず、現行の経過措置を継続することになりました。法改正には至らず、省令改正などで対応する見通しです。 改正健康増進法は、飲食店などを原則屋内禁煙と定めています。紙巻きたばこは喫煙専用室のみで吸えますが、室内での飲食は認められていません。一方、加熱式たばこには「健康への影響が明らかではない」として、専用室内であれば飲食しながら喫煙できる経過措置が設けられていました。
喫煙目的施設に届け出制を導入、なぜ問題になっていたのか
今回の対策の中心となるのが、バーやシガーバー、スナックなどの「喫煙目的施設」への届け出制の導入です。厚労省は省令を改正して自治体(保健所など)への届け出を義務付ける方針です。
現行制度では届け出は不要とされています。喫煙目的施設と認められる要件は、たばこを対面販売していること、そして主食と認められる食事を提供しないことの2点です。しかし実態として、居酒屋などの一般飲食店がこの要件を満たしていないにもかかわらず「喫煙目的施設」を名乗って営業しているケースや、自治体が実態を把握しきれていない問題が指摘されていました。
届け出制の導入により、自治体が施設の実情を正確に把握し、要件を満たさない店への行政指導が行き届くようになることが期待されます。フローチャートなどで届け出の要件を明確にし、自治体が指導しやすい環境を整えるとしています。実態に応じて喫煙目的施設の要件の整理・追加も今後検討する方針です。
「バーで少し食事するのが楽しみだったのに規制が厳しくなると困る。でも健康面は大切だからバランスが難しい」
「喫煙目的を名乗っていた居酒屋が多かったのは業界の問題。届け出制で実態がわかるようになるのはいい」
加熱式たばこの規制強化は見送り、「知見が不十分」と判断
今回の取りまとめで議論の的となったのが、加熱式たばこの扱いです。厚労省の研究班が2026年5月に報告した調査では、加熱式たばこから発生した有害物質が空気中に漂い、屋内では非喫煙者の受動喫煙につながる可能性が高いことが判明しました。しかし、発がん性など人体への影響を確定的に評価できる段階には達していないとされました。
このため取りまとめでは「現時点で科学的知見が十分に蓄積されているとはいえない」として、紙巻きたばこと同様の規制強化を見送り、経過措置を継続する判断を下しました。健康への影響については「引き続き研究を進める」としています。
ただし専門委員会の委員からは「予防の観点から国民の健康を重視し、紙巻きと同様の扱いにすべきだ」との異論も出ており、知見が更新された段階での再検討を求める声もあります。加熱式たばこは2025年4月から12月にかけてたばこ販売量の約46%を占めており、ユーザー数は増え続けています。
「加熱式でも有害物質は出ているのに規制見送りはおかしい。受動喫煙の被害を軽視していないか」
「知見が不十分ならまず予防的に規制するべきでは。被害が出てからでは遅い」
小規模飲食店の特例は3年後に再検討、学校は現状維持
施行前から営業していた小規模飲食店の一部には、紙巻きたばこを含めて店内での喫煙を認める特例措置があります。この特例については、コロナ禍の影響を考慮しながら状況を毎年調査し、3年後をめどに改めて検討する方針としました。現時点での結論は先送りになった形です。
学校など子どもが利用する施設については、敷地内禁煙の方針が継続されますが、屋外喫煙所の設置は引き続き認めるとしています。分煙措置が実行されているとの判断によるものです。
今回の取りまとめは2025年11月から続いてきた専門委員会での議論の集大成といえます。加熱式たばこという急速に普及した新しい製品への対応と、長年の課題だった喫煙目的施設の実態把握という2つの問題にようやく方向性が示されました。受動喫煙に悩む人々の声に応えながら、飲食・たばこ業界の実態とも向き合う難しいバランスの上での取りまとめとなりました。
小規模飲食店の特例を3年先送りにするのはずるい。その間に働く人は受動喫煙を強いられるということ
まとめ
- 厚労省の専門委員会は2026年7月16日、改正健康増進法施行から5年を経た受動喫煙対策を大筋で取りまとめた。法改正は行わず、省令改正で対応する見通し。
- バーやスナックなど「喫煙目的施設」を届け出制とする。要件を満たさない店が名乗るケースや自治体が実態把握できていない問題が指摘されていたため、省令改正で自治体への届け出を義務付ける。
- 喫煙目的施設の要件は「たばこの対面販売」と「主食を提供しないこと」の2点。実態に応じた要件の整理・追加も今後検討する。
- 加熱式たばこの規制強化は見送り。副流煙に有害物質が含まれると認めつつも「科学的知見が十分でない」として経過措置を継続。専門委員から「予防的に規制すべき」との異論も出た。
- 小規模飲食店の特例措置(紙巻きたばこを含む店内喫煙を認める)への結論は3年後をめどに先送り。毎年状況を調査する。
- 学校など子どもが利用する施設の敷地内禁煙は継続。ただし屋外喫煙所の設置は引き続き認める。