2026-07-16 コメント投稿する ▼
WHO東京事務所が開設 日本の国民皆保険の経験を世界に、途上国8カ国の政策担当者を育成
世界保健機関(WHO)の東京事務所が2026年7月14日、東京都千代田区内幸町に開設され、記念の式典が開かれました。正式名称は「WHO東京事務所-UHCナレッジハブ」で、日本政府・世界銀行・WHOが連携し、途上国の保健財政の強化を世界的に後押しする拠点となります。上野賢一郎厚生労働大臣氏は「2030年までのUHC実現に向け、世界銀行やWHOと連携し、知見の共有や人材の育成を行う世界的な拠点にするため取り組みを進めてきた」と意義を強調しました。UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)とは、経済的な状況に関係なく、世界中のすべての人が必要な保健医療サービスを負担可能な費用で受けられる状態を指します。健康増進から予防、治療、リハビリテーション、緩和ケアまでを幅広くカバーする概念で、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標3.8にも盛り込まれています。
日本の「国民皆保険」60年超の経験を世界に
今回の東京事務所開設は、2023年5月のG7広島サミットで「UHCに関わるグローバルなハブ機能の重要性」が確認されたことを出発点の一つとしています。2024年4月の世界銀行春季会合では「UHCナレッジハブを2025年に日本に設立する」と発表され、2025年12月6日に東京で開催された第1回「UHCハイレベルフォーラム」では設立および共同宣言が正式発表されました。今回はその運営拠点の整備が完了し、開所にこぎつけたものです。
日本がこの拠点に選ばれた背景には、世界に誇れる医療制度の実績があります。日本は1961年に国民皆保険制度を確立し、すべての国民が医療保険に加入する体制を構築しました。少子高齢化という世界が直面する課題にも対応しながら質の高いUHCを維持してきた60年以上の経験は、途上国にとって学ぶべき手本となります。UHCナレッジハブはこの日本の知見・経験を世界に発信する役割を担います。
また、外国への資金援助・支援については、単なる拠出にとどまらず、数値目標と成果の検証が求められます。今回の東京事務所は研修・人材育成という具体的な成果を生む枠組みであり、KPI(重要業績指標)を伴った形での国際協力として評価できます。
「日本の国民皆保険の経験を途上国に伝えることは意義深い。ただし支援の成果をしっかり測って公表してほしい」
「資金援助だけじゃなく、人を育てる仕組みを作ることのほうが長期的にはずっと大切だと思う」
8カ国の政策担当者を対象に研修を実施済み
UHCナレッジハブは、低所得国および下位中所得国の保健省・財務省の政策担当者を対象に、能力強化と知見共有を行うプラットフォームです。初回プログラムの参加国は、インドネシア、エジプト、エチオピア、カンボジア、ガーナ、ケニア、ナイジェリア、フィリピンの8カ国です。
すでに2026年2月24日から28日にかけて、参加8カ国の保健省・財務省の政府高官を対象に東京での対面研修が実施されました。プログラムは各国と共同で設計され、各国の主導権と固有のニーズを重視した内容となっています。公的財政管理、保健財政、UHC実現に向けた改革の実施能力を強化することを目的としています。
重要なのは、保健省だけでなく財務省の担当者も対象にしている点です。医療制度の改革は財政と切り離せません。保健省と財務省が連携しなければUHCの実現は困難であり、この両省庁をセットで育成するアプローチは実践的です。
医療と財政の両方の担当者を育てるというのは理にかなっている。現場でも連携が最大の壁だから
東京を「知見を共有する国際都市」に、ただし成果検証が不可欠
世界銀行東京防災ハブに続く形で今回のUHCナレッジハブが東京に設置されたことは、日本が「知見を共有する国」として国際的な地位を高める機会といえます。日本は世界銀行への第2位の出資国でもあり、資金面だけでなく知識・経験の面でも世界の開発課題に貢献できる立場にあります。
日本は今後、2030年までのUHC達成という国際目標に向け、東京事務所を軸に途上国の保健財政改革を後押ししていきます。ただし外国への支援は国民の税金で賄われることも多く、資金提供と人材育成の成果についての透明な報告と数値による検証が不可欠です。今回の枠組みが着実に機能するかどうか、継続的な注視が求められます。
「こういう取り組みこそ日本が世界で果たすべき役割だと思う。でも効果の検証もきちんとやってほしい」
「ODAや援助はKGIを示さず成果が見えないことが多い。今回は研修という形で成果が見えやすいのは良い」
まとめ
- 2026年7月14日、WHO東京事務所(WHO東京事務所-UHCナレッジハブ)が東京都千代田区内幸町に開設。日本政府・世界銀行・WHOの三者連携による運営拠点が整備された。
- 上野賢一郎厚生労働大臣氏は「2030年までのUHC実現に向け、知見の共有や人材育成を行う世界的な拠点にする」と説明。
- 2023年G7広島サミットでのハブ機能の重要性確認を経て設立が決定。2025年12月の第1回UHCハイレベルフォーラムで正式発表され、今回の事務所開設に至った。
- 日本が1961年に確立した国民皆保険制度の60年超の経験と知見を、低・中所得国の政策担当者に伝えることが主な目的。
- 初回プログラムの参加国はインドネシア・エジプト・エチオピア・カンボジア・ガーナ・ケニア・ナイジェリア・フィリピンの8カ国。2026年2月に東京で対面研修を実施済み。
- 外国への支援にはKPI・KGIによる成果の数値化と公開が不可欠であり、研修という具体的な成果指標を持つ今回の枠組みが着実に機能するか今後の検証が求められる。