2026-03-07 コメント投稿する ▼
国が進める「プレコンセプションケア」 若者の健康管理と将来の選択肢を広げる
近年、国が若い世代への健康支援策として「プレコンセプションケア」の普及に力を入れています。 武蔵野大学の坂上明子教授(生殖看護学)は、プレコンセプションケアが正しい知識の普及を通じて、将来の健康リスクを減らし、人生の選択肢を広げることにつながると期待を寄せています。
若者の健康課題に対応
近年、国が若い世代への健康支援策として「プレコンセプションケア」の普及に力を入れています。これは、性や妊娠に関する正しい知識を伝え、将来の健康管理に役立ててもらうことを目的とした取り組みです。多くの健康課題を抱える若年層を支援するため、国は「妊娠前からの健康管理」を促すこの考え方の推進に乗り出しました。
「やせすぎ」と「肥満」の現状
プレコンセプションケアは、性別に関わらず、妊娠や体の変化に備えるための健康管理を推奨するものです。世界各国で広がりを見せていますが、日本でも若い世代の健康問題が注目されています。例えば、20代女性の約5人に1人(20.2%)が、2022年から2024年の平均値で「やせすぎ」(BMI18.5未満)という状況です。これは、痩せたいという願望や過度なダイエットが背景にあると指摘されています。しかし、低体重や栄養不足が続くと、月経不順や不妊につながるだけでなく、妊娠した場合に早産や低出生体重児のリスクを高める恐れがあります。
一方で、BMI25以上の「肥満」の若者も少なくありません。肥満は、将来的に糖尿病や高血圧といった生活習慣病の原因となり得ます。さらに、妊娠した場合には、胎児の発育にも深刻な影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
高齢出産のリスクと専門家の警鐘
晩婚化や晩産化の流れもあり、35歳以上で第一子を出産するケースが2割を超えていることも、現在の課題の一つです。高齢出産は、流産などのリスクが高まることが知られています。国立成育医療研究センターの荒田尚子診療部長は、「性や妊娠に関する正しい知識を広め、支援体制を整えることが急務である」と指摘しています。将来の健康や妊娠・出産について、若いうちから正しい情報を得て、自分自身の体と向き合う機会が求められています。
国が進める5カ年計画
こうした状況を受け、国は「成育医療等基本方針」の中で、プレコンセプションケアの推進を明記しています。そして近年、その具体的な行動計画として5カ年計画を策定しました。この計画では、自治体や企業などと連携し、情報発信や啓発活動に携わる人材を、5年間で5万人以上養成することを目指しています。これは、より多くの若者にプレコンセプションケアの重要性を伝え、具体的な行動につなげてもらうための重要なステップです。
期待と誤解への注意
武蔵野大学の坂上明子教授(生殖看護学)は、プレコンセプションケアが正しい知識の普及を通じて、将来の健康リスクを減らし、人生の選択肢を広げることにつながると期待を寄せています。しかし、一方で、「支援の仕方を間違えると、『国が出産を奨励している』といった誤解を招きかねない」という懸念も示しています。大切なのは、妊娠を望む人もそうでない人もいるという前提に立ち、性別を問わず、正確な情報を提供し、一人ひとりが主体的に人生設計を考えるためのサポートをすることです。プレコンセプションケアは、単に出産を促すためのものではなく、若者が自身の健康を主体的に管理し、将来の可能性を広げるための包括的なアプローチなのです。