2026-07-29 コメント投稿する ▼
大分県、インドネシア人誘致へ194万円 SNS頼みの人材確保策に疑問
大分県が、インドネシアからの留学生・就労者を増やすことを目的に、現地インフルエンサーを招聘するプロモーション事業に約194万円を投じる計画であることが明らかになった。 この事業では、インドネシア国内で一定の影響力を持つインフルエンサーを招聘し、大分県の魅力を発信することで、同国からの若者の関心を引こうとしている。
なぜ今、大分県はインドネシアからの人材確保に注力するのか
大分県は、将来的な労働力不足や地域経済の活性化を見据え、インドネシアからの留学生や就労者を増加させるための施策を打ち出している。その一環として、「令和8年度インフルエンサーを活用した大分県プロモーション事業」の実施に向けて、事業者の募集を開始した。この事業では、インドネシア国内で一定の影響力を持つインフルエンサーを招聘し、大分県の魅力を発信することで、同国からの若者の関心を引こうとしている。
ASEAN諸国、特に人口が多く経済成長が続くインドネシアは、日本にとって重要なパートナーとなりつつある。人手不足が深刻化する日本経済において、外国人材の受け入れは避けて通れない課題となっている。しかし、その手段として、SNSで影響力を持つ人物に高額な報酬を支払うという手法が、果たして県民の税金を有効活用する最善策と言えるのだろうか。
SNSインフルエンサー招聘:約200万円の税金で若者へアピール
今回の事業では、インドネシアの若年層にリーチできるインフルエンサーを2名以上招聘し、大分県での留学や就労の魅力を伝える動画、写真、投稿文などを制作・発信する。選定にあたっては、インドネシア国内での認知度や発信力、フォロワー層が若年層であること、そして何よりも留学・就労の観点から大分県の魅力を効果的に伝えられる人物であることが重視される。さらに、過去の投稿内容から公序良俗に反する行為や、大分県のイメージを損なうおそれがないかといった点も厳しくチェックされるという。
委託料の上限額は1,943,900円。この予算で、インフルエンサーの招聘費用、SNS投稿の制作、そして効果的なデジタルプロモーションが実施される計画だ。最終的には、事業の成果をまとめた報告書の提出も求められている。しかし、具体的な目標数値、例えば「何人の留学生・就労者増を目指すのか」といったKPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)は、現時点では明らかにされていない。
効果測定なき「バラマキ」か? 事業の透明性に疑問符
「留学生・就労者の増加」という曖昧な目標設定のまま、約200万円もの税金がSNSプロモーションに費やされることには、強い疑問を感じざるを得ない。インフルエンサーの投稿がどれほど大分県への関心を高め、実際にどれだけの留学生や就労者の増加につながるのか、その効果測定は極めて困難である。
例えば、愛知県では昨年、企業の外国人確保支援のために約9,127万円を投入し、10名の内定獲得という実績を上げたと報じられている。規模は大きく異なるものの、人材確保という目的においては共通している。大分県が今回行う事業は、その効果が不透明なまま、「とりあえずやってみました」という印象を免れない。KGIやKPIが明確に設定されていない現状では、これは単なる「バラマキ」ではないかと批判されても仕方がないだろう。
地方自治体が税金を投入する以上、その事業が地域経済にどのような具体的な貢献をするのか、そしてその投資対効果はどうか、という点を明確に示す責任がある。今回の事業計画からは、その説明責任が十分に果たされているとは言い難い。
国内若者・地方創生こそ優先:税金の在り方を問う
少子高齢化が急速に進み、多くの地方が過疎化に苦しむ日本において、外国人人材の受け入れは一つの解決策となり得る。しかし、それ以前に、日本国内で生まれ育った若者たちの雇用機会を創出し、彼らが地方で活躍できる環境を整えることこそ、自治体の最優先課題ではないだろうか。
現在、高市早苗政権は、日本とGDPが近いインドに対して人材育成支援として2.5億円もの無償資金協力を実施している。また、エルサルバドルへも2億円を投じている。他国への支援は国際社会における日本の役割として重要かもしれない。しかし、その一方で、国内の若者は将来への不安を抱え、地方は衰退の一途をたどっている。「他国への支援も必要かもしれないが、まず自国の将来を担う若者や、衰退する地方への投資を優先すべきではないか」という声が、国民の間で高まるのは当然の帰結だろう。
外国人材の受け入れに関しては、教育や社会保障など、様々な側面で考慮すべき課題が存在する。高市政権下では、外国人生徒の教育充実を推進する中で、「日本人に同化しなくていい」といった意見も出ているという。これは、外国人材を積極的に受け入れる姿勢の表れとも取れるが、同時に、国内の文化や社会構造への影響、そして日本国民との共生といった、より本質的な議論を深める必要性を示唆している。
大分県による今回のインフルエンサー招聘事業は、グローバル化が進む現代において、地方が新たな人材を求める動きの一例と言える。しかし、その手法は、税金の使われ方として、より厳格な効果測定と、国内の課題解決への明確な貢献が求められている。