2026-07-30 コメント投稿する ▼
高市総理、2027年度予算は「投資枠」新設 - 積極財政へ転換
会議では、内閣府が示した年央試算や中長期的な経済財政の見通しが議論され、高市総理は「責任ある積極財政」への転換を打ち出し、経済成長を後押しするための新たな財政運営の枠組みを提示しました。 2027年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針として、政府は「強く豊かな日本」投資枠を新たに創設することを決定しました。
熊本地震への哀悼と経済対策の重要性
会議冒頭、高市総理は7月28日に発生した熊本地震に触れ、犠牲者への哀悼の意を表明しました。これまでに人的被害や建物倒壊などの甚大な被害が確認されており、総理は被災された全ての方々へ心からのお見舞いを述べました。こうした自然災害による影響が国民生活や経済活動に及ぶ中、総理は「賃上げによる所得増」や「各種政策効果の下支え」を通じて、経済の持続的な成長と国民生活の安定を図ることの重要性を強調しました。不測の事態に備えつつ、前向きな経済の流れを強化していく必要性を改めて示した形です。
成長見通しと財政状況の最新試算
今回の会議で示された内閣府の年央試算によりますと、日本経済は2026年度に実質0.9パーセント程度の成長率が見込まれています。これは、原油価格の上昇などによる下押し要因があるものの、継続的な賃上げによる所得の増加や、政府による各種政策効果が経済を下支えすると見込まれるためです。さらに2027年度には、これらの下押し要因が一巡することもあり、実質1.1パーセント程度の成長率に達すると予測されています。政府は、世界経済の変動が大きい中でも、「物価・賃金」が継続的に上昇し、「所得の増加」が「消費」や「投資」を生み出す「民需主導の循環」が生まれつつあると分析しています。
財政状況についても、昨年度(2025年度)のプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)が概ね均衡する見込みとなりました。これは、財政規律の回復に向けた重要な一歩と位置づけられています。さらに、仮に毎年10兆円規模の追加的な財政支出が行われたとしても、十分な経済成長が実現すれば、国の債務残高対GDP(国内総生産)比は安定的に低下し、PBも2027年度以降は黒字に転換するという試算が示されました。政府はこの試算結果に基づき、財政の持続可能性を確保しつつ、経済成長を促進する方針ですが、一部からは、この楽観的な見通しが財政健全化への不安を払拭するためのものだ、といった指摘も出ています。
新設「投資枠」と予算編成の柔軟化
2027年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針として、政府は「強く豊かな日本」投資枠を新たに創設することを決定しました。これは、危機管理投資や成長分野への投資など、国内投資を通じて日本の潜在成長率を引き上げる施策を、予見可能性を持って実施するために設けられるものです。この投資枠の最大の特徴は、「要求上限を設けず」、真に効果的な施策については事項要求も含め、所要額を適切に要求できる仕組みとなっている点です。
この「上限なし」という方針に対し、日本経済新聞などは「企業は半信半疑」「数字先行の370兆円投資」といった見出しで、実質的な財政規律の緩和や、具体的な成果が見えにくいのではないか、といった懐疑的な見方を示しています。
また、予算編成プロセスにおいても、賃金や調達価格の上昇といった経済・物価動向を的確に予算に反映させる方針が打ち出されました。これまで財政赤字の穴埋めなどに使われがちだった補正予算への依存から脱却し、恒常的な施策は当初予算に計上することを目指します。必要に応じた「事項のみの要求」も活用し、実質的な予算要求を可能にするとしています。高市総理は「もはやシーリング(予算上限)と呼ぶべきものはありません」と述べ、必要な予算要求を十分に行える仕組みになったと強調しました。これは、従来の財政規律の枠組みからの大きな転換点となる可能性があります。
「責任ある積極財政」への転換と市場の信認
高市総理は、今後の予算編成過程において、「財政支出の額」よりも「経済成長に与える効果」を重視する考えを改めて示しました。そのために、補助金や基金の見直しをはじめ、歳出全般にわたる施策の優先順位を洗い直し、予算の中身を大胆に重点化させていく方針です。これは、『骨太方針2026』に基づき、持続可能な経済成長と財政健全化を両立させる「責任ある積極財政」への転換を目指すものです。
この「責任ある積極財政」への転換にあたっては、市場とのコミュニケーションを透明性高く、かつ丁寧に行うことで「市場の信認」を確保することが不可欠となります。政府は、試算通りの経済成長が実現するか、また、歳出削減や政策効果の検証が着実に実施されるかどうかが、市場の信頼を得るための鍵となると認識しています。高市総理は、「この挑戦を必ずやり抜きます」と決意を表明しました。本日決定された「予算の全体像」や「令和9年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」に基づき、2027年度予算編成を進め、「責任ある積極財政元年」にふさわしい予算を作り上げていく考えです。
まとめ
- 2027年度予算編成に向け、経済財政諮問会議で基本方針が決定された。
- 「責任ある積極財政」への転換を掲げ、成長投資を後押しする「強く豊かな日本」投資枠を新設。
- 内閣府試算では、2027年度以降の財政収支黒字化と債務残高対GDP比の低下を見込む。
- 新投資枠は要求上限を設けず、予算編成の柔軟化を図る。
- 経済成長と財政健全化、そして市場の信認確保の両立が今後の重要な課題となる。